メルクマニュアル18版 日本語版
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ビタミンC

Larry E. Johnson, MD, PhD

ビタミンC(アスコルビン酸)は,コラーゲン,カルニチン,ホルモン,アミノ酸生成の役割を果たしている。これは創傷治癒に必須で,熱傷の回復を促進させる。ビタミンCは抗酸化物質でもあり,免疫機能を維持し,鉄の吸収を促進する。

ビタミンC欠乏症

先進国では,欠乏症は全身的な低栄養を伴って起こることがあるが,重度の欠乏症(壊血病を発症する)は,あまりみられない。症状には,疲労,うつ状態,結合組織の異常(例,歯肉炎,点状出血,発疹,内出血,創傷治癒の障害)が含まれる。乳幼児および小児においては,骨成長が障害を受ける可能性がある。診断は通常臨床的に行う。治療はビタミンCの経口投与からなる。

重度の欠乏症では壊血病を発症するが,これは出血および類骨組織や歯の象牙質の形成異常を特徴とする急性または慢性疾患である。

病因

成人における原発性欠乏症は通常,不適切な食事によるものである。食事によるビタミンC補給の必要性は,熱性疾患,炎症性疾患(特に下痢性疾患),無酸症,喫煙,甲状腺中毒症,鉄分欠乏症,寒さや暑さによるストレス,手術,熱傷,蛋白欠乏症により,高くなる。熱(例,調整乳の殺菌や調理)により,食物中のビタミンCはいくらか破壊される。

病態生理

結合組織,骨,象牙質における細胞間のセメント質形成に障害が起こり,その結果毛細血管が脆弱化し,続いて出血,および骨やその関連構造の障害が起こる。

骨組織形成に障害が起こり,小児では,骨病変および骨成長不良を引き起こす。骨幹と骨端の間に線維組織が形成され,肋骨軟骨接合部の間隔が拡大する。密に石灰化した軟骨の断片が,線維組織内に包埋される。ときに小さな骨折により起こる骨膜下出血が,小児または成人に起こることがある。

症状と徴候

成人では,ビタミンC欠乏状態が数カ月続いて初めて症状が現れる。しかし倦怠,衰弱,いらいら,体重減少,漠然とした筋肉痛や関節痛が,初期に発現することがある。

後に,結合組織異常に関連する症状が現れる。毛包周囲角化症,螺旋状毛髪,毛包周囲の出血が現れる。歯肉が腫れ,紫色,海綿状になってもろくなり,重度の欠乏症では簡単に出血する。やがて,歯がぐらつくようになり抜け落ちる。二次感染が生じることもある。創傷治癒は不十分で簡単に開き,特に下肢皮膚における斑状出血,または眼球結膜出血のように,自然出血が起こることがある。

他の症状や徴候としては,大腿神経鞘への出血から起こる大腿部神経障害(深在静脈の血栓症に類似する),下肢の浮腫,関節内での出血,浸出液,関節痛がある。

診断

診断は通常,皮膚または歯肉の徴候を示し,ビタミンC欠乏のリスクがある患者に対して臨床的に行う。臨床検査により,診断を確定することも可能である。貧血は一般的にみられる。出血,凝固,そしてプロトロンビン時間は正常である。

骨格X線撮影が,幼児期の壊血病の診断に役立つ(成人の場合は当てはまらない)。最も顕著な変化があるのは長骨端部においてであり,特に膝部に著しい。初期変化は萎縮症に似ている。骨梁の減少により,すりガラス状の陰影を示す。皮質は薄くなる。石灰化し,でこぼこした軟骨の線(Fraenkelの白線)が,骨幹端で認められる。白線に近傍かつ平行の希薄化領域,または線状骨折が,わずかに三角形状の欠損として,骨外側部に認められることがあり,特異的である。骨端は圧迫されることがある。骨膜下出血の治癒により,骨膜が持ち上がり,石灰化することがある。

血漿アスコルビン酸値の測定が必要な臨床検査診断が,ときに学術研究センターで行われる。血漿アスコルビン酸値の正常範囲から0.6mg/dL(34μmol/L)未満への低下は,境界域と考えられ,0.2mg/dL(11μmol/L)未満になると,ビタミンC欠乏症を示す。遠心分離した血液の白血球血小板層におけるアスコルビン酸値の測定は,広く普及しておらず,標準化もされていない。

成人では,壊血病は関節炎,出血性障害,歯肉炎,蛋白-エネルギー栄養不良との鑑別が必要である。周辺の充血,または出血を伴う毛包角化症は,ほとんど疾病特徴的である。歯茎の出血,結膜出血,ほとんどの点状出血,斑状出血などは,非特異的である。

予防と治療

女性は75mg,男性は90mgのビタミンCを1日1回経口摂取することにより,欠乏症を予防する。喫煙者の場合は,さらに35mg/日分多く摂取すべきである。成人の壊血病では,アスコルビン酸500mgを1日1回から4回経口により,徴候が消失するまで1〜2週間投与し,続く数週間は推奨摂取量(DRI)の1〜2倍を含有する栄養食を摂る。壊血病の場合,治療的用量のアスコルビン酸投与により,数日でビタミンCの作用が回復する。症状と徴候は通常,1〜2週間で消失する。広範囲な皮下出血を伴う慢性的な歯肉炎は,より長期間持続する。

ビタミンC中毒症

ビタミンCの摂取上限は,2000mg/日である。ウイルス感染の予防または罹患期間の短縮,癌またはアテローム動脈硬化の進行を食い止めるなどのために,10g/日を上限としてビタミンCを服用することがあるが,健康上の便益があるかどうかは証明されていない。こうした大量投与により,尿が酸性化し,悪心および下痢を起こし,サラセミアまたはヘモクロマトーシスの患者では,鉄分の過負荷を促進する。健康な成人では,上限以下の摂取による毒性の影響はない。

最終改訂月 2007年4月

最終更新月 2005年11月

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