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慢性腹痛(CAP)は,3カ月以上連続的または間欠的に持続する腹痛である。間欠痛は,反復性腹痛(RAP)と呼ばれることがある。急性腹痛については,急性腹症と消化器外科: 急性腹痛で考察。CAPは5歳以上で起こる。最大10%の小児においてRAPの評価を行う必要がある。成人の約2%,主に女性において,CAPが認められる。
ほぼ全てのCAP患者が,病歴聴取,身体診察,および基本的な検査を行った後に診断が下されなかったという医学的評価歴を有する。おそらくこれらの患者の10%は潜在的な生理学的疾患を有するが,多くは機能的病変を有する。特定の異常(例,癒着,卵巣嚢胞,子宮内膜症)が症状の原因であるのか,または偶発所見であるのかを確認することは困難なことがある。
病因と病態生理
CAPは生理学的原因がある場合(上部消化管症状を訴える患者へのアプローチ: 慢性腹痛の生理学的原因表 1: を参照)や機能的疾患である場合がある。
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表 1
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慢性腹痛の生理学的原因
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原因
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診断方法
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泌尿生殖器疾患
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経静脈的尿路造影,超音波検査
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尿培養
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内診
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婦人科的診療(もしくは診察)依頼
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消化器疾患
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バリウム嚥下,X線透視検査
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肝機能検査
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超音波検査
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血清アミラーゼおよびリパーゼ値,CT
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内視鏡検査,ヘリコバクター-ピロリ呼気試験,便潜血検査
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便の寄生虫卵検査
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テクネシウムスキャン
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赤血球沈降速度,注腸バリウム
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ツベルクリン検査
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S状結腸鏡検査,直腸生検
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内視鏡検査,X線,大腸または小腸生検
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上部消化管造影,SBFT,高位浣腸法
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超音波検査
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腹部X線,超音波検査
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全身性疾患
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血中鉛濃度,遊離赤血球プロトポルフィリン値
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病歴,尿検査
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鎌状組織標本,ヘモグロビン電気泳動
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除去食
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脳波検査
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尿中ポルフィリン濃度
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家族性地中海貧血,家族性血管神経性浮腫,片頭痛等価症
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家族歴
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SBFT =小腸造影
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Adapted from Barbero GJ: “Recurrent
abdominal pain.” Pediatrics in Review 4:30, 1982; reproduced
by permission of Pediatrics in Review.
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機能性腹痛症候群(FAPS)は,生理学的疾患の所見なく,6カ月以上持続する疼痛で,生理学的事象(例,食事,排便,月経)との関連は認められず,日常機能を妨げる。FAPSについては,不明な点が多いが,痛覚異常を伴うようである。様々な要因の組み合わせによって,脊髄後角の感覚ニューロンは,異常に興奮性および痛覚過敏となりうる。認知および心理的要因(例,抑うつ,ストレス,文化,副次的利益,対処,支援メカニズム)は,疼痛のシグナルを増幅する遠心性刺激を引き起こすと考えられ,その結果,低レベルの刺激の入力で疼痛を知覚し,刺激中止後,長時間疼痛が持続する。さらに,疼痛自体がストレス要因として作用することがあり,正のフィードバックループを持続させる。
評価
CAPが生理学的疾患であるのか,または機能的疾患であるのかを確認することは困難なことがある。
病歴と身体診察:
生理学的原因による疼痛は極めて限局性で,特に臍周囲以外の部位に限局している。患者はしばしば疼痛で目覚め,疼痛は背部に放散することもある。高リスクの重大な基礎疾患を示す関連所見として,食欲不振;反復性または持続性の発熱;黄疸;貧血;血尿;関節症状;浮腫;体重減少;血便;吐血;便の硬さ,色,または排便パターンの変化;腹部膨満,腫瘤,または肝腫大などがある。器質的原因による間欠痛は,特定の活動によって起こる傾向があるか,食事,摂食,または排便に関連している。
機能性CAPでは,生理学的原因による疼痛に類似した疼痛が起こることがある。しかしながら,高リスクを示す関連所見は認められず,心理社会的特徴は著明である。身体的または性的虐待の既往歴は,機能性CAPをさらに示唆する。離婚,流産,または家族の死など,未解決の喪失が手がかりとなることもある。患者はしばしば心理的障害または人格障害を有し,職場,学校,家庭,および社会的環境における機能障害が認められることがある。疼痛はしばしば患者の生活の中心を占め,“疼痛キャリア”につながる。家族歴としては,慢性の身体的愁訴または体性痛,消化性潰瘍,頭痛,“神経過敏”,うつ病が多い。
機能性CAPの小児は,未熟性,両親への異常な依存,不安または抑うつ,憂慮,緊張,完全主義を示すことがある。しばしば両親は子供を家族内の立場(例,一人っ子,末っ子,大勢の子供の中で唯一の男児または女児),または医学上の問題(例,疝痛,摂食困難)のため特別視する。両親はしばしば心配症,過保護,権威主義的で,子供のことで頭がいっぱいである。
検査:
一般に,単純な検査(尿検査,CBC,肝機能検査,ESR,アミラーゼ,およびリパーゼなど)を実施すべきである。過去の精密検査の結果が陰性であっても,これらの検査で異常が認められる場合,または高リスクの症状および徴候が認められる場合には,さらに検査を行う必要がある。特異的な検査は所見によって異なるが,通常,腹部および骨盤造影CT検査,上部消化管内視鏡検査または大腸内視鏡検査,おそらく小腸X線検査などである。
高リスクの症状および徴候が認められない患者に対する検査の有益性は不明である。50歳を越える患者にはおそらく大腸内視鏡検査を行うべきである;50歳以下の患者については経過観察を行い,画像検査が望ましい場合には腹部および骨盤造影CT検査を行う。ERCPおよび腹腔鏡検査は,特異的な適応がない限り,めったに役立たない。
初診とフォローアップ来院の間,患者(患者が小児の場合は家族)は,あらゆる疼痛について,その性質,強度,持続時間,増悪因子などを記録すべきである。食事,排便パターン,試みた全ての治療(およびその結果)についても記録すべきである。この記録によって,不適切な行動パターンおよび疼痛に対する過剰反応が判明し,そうでなければ診断が示唆されるであろう。乳糖不耐症は,特に黒人において高頻度に認められるので,牛乳および乳製品が腹部痙攣,鼓腸,または腹部膨満を引き起こすかどうかについて特に質問する必要がある。
予後と治療:
生理学的病態を治療する。身体愁訴に重点が置かれるもしくは身体愁訴が過大評価される,または医師が診断に自信がないということを示唆する可能性があるので,機能性CAPの診断が下されれば,頻繁な診察および検査を避けるべきである。
機能性CAPの治療法はないが,多くの緩和療法がある。これらの方法は,医師,患者,家族の間の共感的な信頼関係の基盤の上に成立する。危険な状態にないと患者を安心させるべきである;具体的な問題を探究し,それに取り組むべきである。医師は検査所見および問題の性質を説明し,疼痛の発生機序および患者の感じ取り方(すなわち,ストレスがあると疼痛を感じる体質的傾向があること)について説明すべきである。慢性疼痛の否定的な心理社会的影響(例,長期不登校または欠勤,社会活動からの脱落)の永続を回避し,独立,社会参加,自立を促進することが重要である。このような方法は,患者が日常活動に全面的に参加しながら,症状を抑制したり,耐えたりするのに有用である。
NSAIDおよびおそらく三環系抗うつ薬の随時使用を除いて,薬物は無効である。オピオイドは必ず薬物依存を引き起こすので,使用を避けるべきである。
認知療法(例,弛緩訓練,バイオフィードバック,催眠)が,患者の健康および疾患抑制の感覚に寄与することがある。患者の必要に応じて,定期的なフォローアップ来院を毎週,毎月,または隔月組み込み,問題の解決から十分な期間が経過するまで継続すべきである。症状が持続する場合,特に患者がうつ状態である場合または家族に重大な心理的困難がある場合には,精神科医への紹介が必要となることがある。
教職員はCAPの小児を助けるべきである。小児は登校した日も,15〜30分後に授業に戻るつもりで,一時的に保健室で休んでもよい。学校看護師に弱い鎮痛薬(例,アセトアミノフェン)を投与する権限を与えてもよい。学校看護師は,時に小児が親に電話することを許可でき,このとき,親は子供が学校に残るよう励ますべきである。しかしながら,両親が子供を特別扱いすること,または病人扱いすることをやめると,症状は軽快する前に悪化することがある。
最終改訂月 2005年11月
最終更新月 2005年11月
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