メルクマニュアル18版 日本語版
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消化不良

消化不良は上腹部に感じる痛みまたは不快感である。消化障害,ガスの充満,早期満腹,食後の膨満感,かみつかれるような痛み,灼熱痛と表現されることもある。

病因

消化不良の一般的な原因として,消化性潰瘍,運動障害,胃食道逆流,薬物(例,エリスロマイシン,NSAID,アレンドロン酸),食道または胃の悪性腫瘍などがある。しかしながら,身体的異常のない患者が多い(機能性または非潰瘍性消化不良)。症状とあまり相関していない所見(例,十二指腸炎,幽門部機能不全,運動障害,ヘリコバクター-ピロリ胃炎,乳糖不耐症,胆石症)を有する患者もいる(すなわち,疾患の治癒によって消化不良は緩和しない)

評価

病歴: 症状は時に潰瘍症状型,運動不全型,または胃食道逆流型に分類される;これらの分類は,病因を示唆するが,病因を確定するものではない。潰瘍症状型の症状は,心窩部に限局した疼痛で,食前に発現することが多く,食事,制酸薬,H2ブロッカーで軽減する。運動不全型の症状は,疼痛ではなく不快感で,早期の満腹感,食後の膨満感,悪心,嘔吐,鼓腸,食事により悪化する症状を伴う。胃食道逆流型の症状は,胸焼けまたは胃酸の逆流である。しかしながら,症状はしばしば重複している。

消化不良とともに便秘と下痢が交互に起こる場合は,過敏性腸症候群,または一般用緩下剤もしくは止瀉薬の乱用が示唆される。

消化不良の警告症状として,食欲不振,悪心,嘔吐,体重減少,貧血,血便,嚥下障害,嚥下痛,H2ブロッカーなどの標準的治療無効などがある。

身体診察: 身体診察で消化不良の原因が示唆されることはまれであるが,便潜血陽性の場合はさらに検査を行うべきである。

検査: ルーチン検査として,CBC,便潜血検査(消化管出血を除外するため),ルーチンの血液生化学検査などがある。結果が異常である場合,追加検査(例,画像検査,内視鏡検査)を検討すべきである。悪性腫瘍のリスクのため,45歳以上の患者および警告症状の初発患者には,上部消化管内視鏡検査を実施すべきである。警告症状のない45歳未満の患者については,酸分泌抑制薬または消化管運動機能改善薬による経験的治療を行った後,治療無効例に対して内視鏡検査を行うよう勧めている専門家もいる。C14尿素呼気試験または便検査によるヘリコバクター-ピロリ感染のスクリーニングを勧めている専門家もいる(胃炎および消化性潰瘍: 非侵襲的検査を参照 )。しかしながら,症状を説明するためにヘリコバクター-ピロリまたは他の非特異的所見を用いる際には注意が必要である。

上部消化管内視鏡検査および2〜4週間のプロトンポンプ阻害薬投与後に逆流症状が持続している場合に食道内圧検査およびpH検査の適応となる。

治療

特異的な病態を治療する。病態を同定できない患者については,経過観察を行い,安心させる。症状をプロトンポンプ阻害薬,H2ブロッカー,または粘膜保護剤(例,スクラルファート)で治療する。懸濁液として投与する消化管運動機能改善薬(例,メトクロプラミド,エリスロマイシン)もまた運動不全型消化不良患者に対して試みてもよい。しかしながら,特異的症状(例,逆流vs運動不全)に合った薬剤クラスを選択することが結果に影響を及ぼすということを示す明らかな証拠はない。ミソプロストールおよび抗コリン薬は機能性消化不良には無効である。知覚を変化させる薬物(例,三環系抗うつ薬)が有用なことがある。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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