メルクマニュアル18版 日本語版
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消化管の血管病変

複数の異なる先天性または後天性の症候群は,消化管の粘膜または粘膜下の血管異常を伴う。これらの血管は再発性出血を引き起こすことがあるが,大出血であることはまれである。診断には内視鏡検査のほか,時に血管造影法を用いる。治療として内視鏡的止血術が行われるが,時に血管造影による塞栓術または外科的切除が必要なことがある。

血管拡張症(血管形成異常)は,盲腸および上行結腸に典型的に発達する拡張した蛇行血管である。主に60歳を超えた人に起こり,同年齢層における下部消化管出血の最も一般的な原因である。変性疾患と考えられ,他の血管異常に合併して起こらない。大部分の患者は,2つまたは3つの病変を有し,それらの病変は通常0.5〜1.0cm,鮮紅色で,扁平またはわずかに隆起し,非常に薄い上皮で覆われている。血管拡張症はまた,多くの全身性疾患(例,腎不全,肝硬変,クレスト症候群―自己免疫リウマチ性疾患: 病因と病態生理を参照 )に合併して起こるほか,腸への放射線照射後にも起こる。

胃前庭部毛細血管拡張症(西瓜様胃)は,胃に沿って直線状に走る大きな拡張した静脈から成り,西瓜を連想させる縞状の外観を形成している。この疾患は主に高齢女性に起こり,病因は不明である。

遺伝性出血性毛細血管拡張症(ランデュ-オスラー-ウェーバー症候群―血管異常による出血: 遺伝性出血性毛細血管拡張症も参照 )は,全消化管をはじめとする身体各部に多数の血管病変をもたらす常染色体優性遺伝疾患である。消化管出血が40歳未満で起こることはめったにない。

デュラフォイ病変は,消化管壁を貫通する異常に大きな動脈で,時に粘膜を侵食し,大出血を引き起こす。主に近位胃に生じる。

動静脈奇形(AVM)および血管腫はいずれも血管の先天性疾患で,消化管に生じることがあるが,まれである。

症状,徴候,診断

血管病変は無痛で,しばしば潜血陽性便または直腸からの中等度の鮮血がみられる。出血はしばしば間欠的で,時に出血と出血の間が長期にわたる。上部消化管病変では下血がみられることがある。大出血はまれである。

血管病変は内視鏡検査で診断されることが最も多い。ルーチンの内視鏡検査で診断できない場合には,小腸内視鏡検査,カプセル内視鏡検査,術中内視鏡検査,または内臓血管造影が必要であろう。99mTc標識赤血球スキャンは感度が低いが,病変の位置を特定する能力は内視鏡検査を容易にするのに十分であろう。

治療

内視鏡的凝固(ヒータープローブ,レーザー,アルゴンプラズマ,双極電気凝固)は多くの血管病変に有効である。血管拡張症はしばしば再発するが,経口エストロゲン-プロゲステロンの併用でこれが最小限に抑えられるという証拠がある。

軽度の再発性出血は長期鉄療法だけで治療できる。内視鏡治療で効果がみられないより重度の出血は,血管造影による塞栓術または外科的切除が必要なことがある。しかしながら,外科的治療を行った患者の約15〜25%において再出血が起こる。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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