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Sidney Cohen, MD
胃石は,胃から出ることができない部分的に消化された物質または未消化物質が密集したものである。胃の手術後に起こることがある胃内容排出異常を有する患者にしばしば発生する。多くの胃石は無症候性であるが,幽門閉塞症状を引き起こすものもある。酵素で溶解できるもの,内視鏡下に摘出可能なもの,外科手術を要するものがある。
部分的に消化された植物性物質または毛髪の凝塊は,それぞれ植物胃石,毛髪胃石と呼ばれる。薬物胃石は,薬剤(特に,スクラルファートおよび水酸化アルミニウムゲル)の結石である。胃石には他に多くの物質が含まれている。
病因
毛髪胃石は,数kgに及ぶことがあり,毛髪を噛み,飲み下す精神障害患者に最も多くみられる。植物胃石はビルロートⅠ法またはⅡ法による胃部分切除術施行患者,特に迷走神経切断術を併施した場合にしばしばみられる。主な素因は,低酸症,前庭部運動の低下,不十分な咀嚼である。他の素因として,糖尿病性胃麻痺および病的肥満の胃形成術がある。最後に,柿(シブオールというタンニンを含有する果物で,このシブオールは胃内で重合する)の摂取によって胃石が形成されることが知られており,症例の90%以上が外科手術を要する。柿胃石はしばしば柿が栽培されている地域で流行する。
症状,徴候,診断
大部分の胃石は無症状であるが,食後の膨満感,悪心および嘔吐,疼痛,消化管出血が起こることがある。
胃石は,上部消化管症状を評価するために行われる大部分の検査(例,X線,超音波,CT)で腫瘤病変として検出される。腫瘍と間違えられることがあるので,通常上部消化管内視鏡検査を行う。内視鏡上,胃石は間違えようのない不整な表面をもち,色は黄緑から灰黒色まで様々である。内視鏡生検で毛髪または植物性物質を認めれば診断となる。
治療
内視鏡検査によって初期診断が下されれば,そのときに摘出を試みてもよい。鉗子,ワイヤースネア,ジェットスプレー,場合によってはレーザーを用いた破砕術で胃石が破砕されることがあり,これにより通過または摘出が可能となる。メトクロプラミド40mg,24時間かけて静脈内投与,または10mg,4時間毎に筋肉内投与を数日間行うことによって,蠕動が亢進し,破砕された物質の胃排出が促進されることがある。
内視鏡検査を最初に行わなかった場合は,症状に基づいて治療を行う。他の理由で行った検査で偶然に胃石が発見された無症候性患者については,必ずしも治療を必要としない。症例によっては,酵素療法を試みてもよい。酵素として,パパイン(10,000U,毎食時),食肉軟化剤(透明な液体8オンス[240mL]に5mL[茶さじ1杯],毎食前),セルラーゼ(10gを水1Lに溶解,24時間かけて摂取,2〜3日間)がある。酵素療法が失敗した場合または患者に症状がある場合は,内視鏡的摘出術を試みてもよい。岩のような結石および毛髪胃石は通常,開腹術を要する。
最終改訂月 2007年2月
最終更新月 2005年11月
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