メルクマニュアル18版 日本語版
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腸リンパ管拡張症(特発性低蛋白血症)

腸リンパ管拡張症は,小腸の粘膜内リンパ管の閉塞または奇形である。主に小児および若年成人が罹患する。症状として,吸収不良の症状があり,浮腫および発育遅延を伴う。診断は小腸生検により行う。治療は通常,支持的に行う。

リンパ系の奇形は先天性または後天性である。先天性症例は通常,小児および若年成人にみられる(発症の平均年齢:11歳)。男性と女性の罹患率は同等である。後天性症例では,欠陥は,後腹膜線維症,収縮性心膜炎,膵炎,腫瘍,リンパ管を閉塞させる浸潤性疾患に続発することがある。

リンパ排液障害によって,圧上昇および腸管腔へのリンパ液漏出が起こる。カイロミクロンおよびリポ蛋白の吸収障害の結果として脂肪および蛋白質の吸収不良を来す。炭水化物はリンパ系を介して吸収されないため,取り込みは障害されない。

症状,徴候,診断

早期症状には,広範な,しばしば非対称性の末梢浮腫,間欠性下痢,悪心,嘔吐,腹痛がある。軽度から中等度の脂肪便を認める患者もいる。乳糜胸水(乳糜胸)および乳糜性腹水を認めることがある。10歳以前に発症した場合は,発育が遅延する。

診断は通常,小腸内視鏡生検を必要とし,この検査で粘膜および粘膜下リンパ管の著明な拡張および弛緩を確認する。代わりに,リンパ管造影(足の静脈より造影剤を注入)で腸リンパ管の異常を確認できる。

異常検査所見として,リンパ球減少および血清アルブミン,コレステロール,IgA,IgM,IgG,トランスフェリン,セルロプラスミン低値がある。バリウム検査では,積重ねた貨幣に類似する肥厚した結節性の粘膜ヒダを認めることがある。d-キシロース吸収は正常である。腸の蛋白喪失はクロミウム51で標識したアルブミンを用いて実証できる。

治療

リンパ管の異常は矯正できない。支持療法として,中鎖脂肪酸トリグリセリドサプリメントを含む低脂肪(30g/日未満)高蛋白食がある。Caおよび脂溶性ビタミンを補給する。腸切除術または異常リンパ管静脈吻合術が有効なことがある。胸腔穿刺により胸水を排出すべきである。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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