メルクマニュアル18版 日本語版
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ホウィップル病(腸性脂肪異栄養症)

ホウィップル病は,トロフェリマ-ホウィッペリという細菌に起因するまれな全身疾患である。主症状は,関節炎,体重減少,下痢である。診断は小腸生検により行う。治療として,トリメトプリム-スルファメトキサゾールを1年以上投与する。

ホウィップル病は主に30〜60歳の白人男性に発症する。身体の多くの部分(例,心臓,肺,脳,漿膜腔,関節,眼,消化管)が侵されるが,小腸粘膜はほぼ必ず侵される。罹患患者では,トロフェリマ-ホウィッペリ感染の素因となる細胞性免疫のわずかな欠損が認められることがある。患者の約30%はHLA-B27を有する。

症状と徴候

臨床症状は罹患臓器によって異なる。通常,初期症状は,関節炎および発熱である。腸症状(例,水様性下痢,脂肪便,腹痛,食欲不振,体重減少)は通常,後になって,時に最初の訴えから数年後に発現する。腸の肉眼的出血または潜血が認められることがある。臨床経過後期に診断される患者では,重度の吸収不良が認められることがある。他の所見として,皮膚の色素沈着増加,貧血,リンパ節腫脹,慢性咳,漿膜炎,末梢浮腫,中枢神経系症状がある。

診断

著明な消化管症状のない患者では,診断を誤ることがある。関節炎および腹痛,下痢,体重減少,または他の吸収不良症状がある中年の白人男性については,ホウィップル病を疑うべきである。そのような患者には小腸生検を伴う上部消化管内視鏡検査を行うべきである;腸病変は特異的で本疾患の診断となる。近位小腸において,最も重度の一貫した変化がみられる。光学顕微鏡検査では,絨毛構造を変形させるPAS陽性マクロファージを認める。粘膜固有層およびマクロファージ中に抗酸性染色陰性のグラム陽性桿菌(トロフェリマ-ホウィッペリ)を認める。電子顕微鏡検査による確認が推奨される。

トリ型非定型抗酸菌(MAI)の腸内感染はホウィップル病に類似した組織学的所見を呈するが,これら2つの疾患を鑑別すべきである。しかしながら,MAIは抗酸性染色陽性である。ポリメラーゼ連鎖反応検査は確認に有用であろう。

治療

治療を行わなければ,進行して死に至る。多くの抗生物質が有効である(例,テトラサイクリン,トリメトプリム-スルファメトキサゾール,クロラムフェニコール,アンピシリン,ペニシリン,セファロスポリン)。推奨療法として,セフトリアキソン(2g/日,静脈内投与)またはプロカイン(120万単位,1日1回筋肉内投与)またはペニシリンG(150万〜600万単位,6時間毎に静脈内投与)+ストレプトマイシン(1.0g,1日1回10〜14日間筋肉内投与)に続いて,トリメトプリム-スルファメトキサゾール(160/800mg,1日2回1年間経口投与)を投与する方法がある。サルファ剤アレルギー患者は,経口ペニシリンVKまたはアンピシリンを代用してもよい。速やかな臨床改善が得られ,発熱および関節痛は数日で消失する。腸症状は通常,1〜4週間以内に改善する。

マクロファージは治療後数年間存在することがあるので,小腸生検を繰り返すことを推奨しない専門家もいる。しかしながら,1年後に生検を繰り返すよう勧める専門家もいる。後者のアプローチでは,桿菌(マクロファージだけでなく)を証明するために電子顕微鏡検査を行う必要がある。再発は高頻度にみられ,数年後に起こることがある。再発が疑われる場合は,遊離桿菌の存在を確認するために小腸生検を実施すべきである(罹患臓器にかかわらず)。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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