|
憩室症は結腸に憩室が多発したもので,これはおそらく生涯にわたる低繊維食の摂取から生じる。憩室のほとんどは無症状であるが,炎症または出血を起こすものもある。診断は大腸内視鏡検査またはバリウム注腸により行う。治療は症状によって異なる。
(See also the American College of Gastroenterology's practice
guidelines on the diagnosis
and management of diverticular disease of the colon in adults.)
憩室は大腸のどこにでも発生し,通常はS状結腸に生じるが,まれに直腸腹膜反転部の下方に発生する。直径は3mmから3cm以上にわたる。憩室のある患者は通常,数個の憩室を有する。憩室症は40歳未満の人ではまれであるが,その後は急速に多くみられるようになる;本質的に90歳の人は全て,多くの憩室を有することになる。巨大憩室は,まれであるが,直径が3〜15cmで,単発性のことがある。
病因と病態生理
憩室はおそらく,腸管内圧の上昇に起因し,腸の筋層の最も弱い部分(壁内血管隣接部位)から粘膜が突出する。憩室は低繊維食摂取者に好発する;しかしながら,その機序は不明である。一説によると,少量の便が大腸を通過するには,腸管内圧の上昇が必要であるという;他の説によると,少量の便によって大腸の内径が狭くなり,内径が狭くなるとラプラスの法則により内圧が上昇するという。
巨大憩室の病因は不明である:一説には,弁様の異常が憩室の基部に存在し,腸内ガスが入ることはできても,逃れるのはそれほど自由でないからだと言われている。
症状,徴候,診断
憩室のほとんど(70%)は無症状であり,15〜25%は痛みを伴う炎症を起こし(憩室炎),10〜15%は痛みを伴わずに出血する。出血はおそらく,憩室内の宿便によって生じる局所外傷による隣接血管のびらんに起因する。ほとんどの憩室は遠位部に生じるが,出血の75%は脾彎曲部より近位の憩室で起こる。3分の1の患者(全体の5%)においては,輸血を必要とするほど出血が重篤である。
無症候性の憩室は通常,バリウム注腸または大腸内視鏡検査時に偶発的に発見される。特に高齢患者では,無痛性の直腸出血が起こった場合に憩室症が疑われる。直腸出血の評価としては通常,大腸内視鏡検査を行うが,この検査は多量の持続性出血がない限りルーチンの前処置後に待機的に施行できる。そのような患者においては,迅速な前処置(ポリエチレングリコール溶液5〜10Lを経鼻胃管により3〜4時間かけて投与)によって,しばしば十分に観察できる。大腸内視鏡検査で出血源を観察できず,持続性出血の速度が十分に速い場合(0.5〜1mL/分以上),血管造影で出血源が特定されることがある。一部の血管造影術者は,検査の的を絞るために,放射線核種スキャンを最初に行う。
治療
憩室症の治療は,分節性痙攣を軽減することを目標とする。高繊維食は有用で,オオバコ種子の製剤またはふすまで補ってもよい。低繊維食は禁忌である。憩室に詰まる恐れのある種子類または他の食物を避けるようにとの直感的な指示に確立された医学的根拠はない。鎮痙薬(例,ベラドンナ)は効果がなく,副作用を引き起こすことがある。合併症がない場合には手術は不要である。しかしながら,巨大憩室は手術を必要とする。
75%の患者において憩室出血は自然に止まる。診断の過程でしばしば治療が行われる。診断のために血管造影を行った場合,バソプレシン動脈内注射によって70〜90%の患者の持続性出血を抑制できる。出血が2〜3日中に再発し,手術を要する症例もある。血管造影的塞栓術は有効な止血法であるが,最大20%の患者で腸梗塞が起こるため,推奨されない。大腸内視鏡検査によって血管の加熱もしくはレーザー凝固,またはエピネフリン注射が可能となる。これらの方法により止血できない場合,区域切除術または結腸亜全摘術の適応となる。
最終改訂月 2005年11月
最終更新月 2005年11月
|