メルクマニュアル18版 日本語版
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はじめに

胃石および異物: 異物を参照 および消化管の腫瘍: 肛門直腸癌を参照 。)

肛門管は肛門括約筋から肛門直腸接合部(櫛状線,粘膜皮膚接合部,歯状線)までを指し,肛門直腸接合部には8〜12の肛門陰窩と5〜8の乳頭がある。肛門管は,肛門周囲の皮膚の延長である肛門上皮に裏打ちされている。肛門管および隣接した皮膚は体性感覚神経に支配され,痛覚刺激に対して感受性が高い。肛門管からの静脈還流は大静脈系を経由するが,肛門直腸接合部は,門脈系と大静脈系の両方に流れ出る。肛門管からのリンパは,内腸骨リンパ節,後腟壁,および鼠径リンパ節へと流れる。静脈とリンパ管の分布によって,悪性疾患および感染がどのように広がるかが決まる。

直腸は,第3仙椎の高さでS状結腸に続いて始まり,肛門直腸接合部まで続く。直腸の内層は,赤くキラキラ輝く腺性粘膜からなり,自律神経に支配され,痛みに対して比較的鈍感である。静脈還流は門脈系を経由する。直腸からのリンパは,上直腸血管茎に沿って下腸間膜および大動脈リンパ節に戻る。

肛門管を取り囲む括約筋輪は,内括約筋,挙筋の中央部および外括約筋の成分から構成されている。その前方は外傷を受けやすく,外傷を受けると便失禁が起こることがある。恥骨直腸筋は,排便時の支持と補助のために,直腸の周囲に支持帯を形成する。

病歴には,出血,痛み,突出物,排泄物,腫脹,異常感,便通,便の性質,瀉下剤や浣腸の使用,腹部および泌尿器の症状の詳細を含めるべきである。全ての患者に,肛門性交および,外傷や感染の他の可能性のある原因について訊ねるべきである。

身体診察 は,十分な照明のもとでやさしく行うべきである。身体診察として,外部視診,肛門周囲と直腸内指診,腹部診察,および直腸腟双手診を行う。肛門鏡検査と肛門縁の上方15〜60cmまでの硬性または軟性S状結腸鏡検査もしばしば行われる。視診,触診,肛門鏡検査およびS状結腸鏡検査は,患者を左側臥位(シムス体位),膝胸位,またはチルトテーブルの上で頭低位にした体位にして行うのが最もよい(消化管の診断と治療に関する手技: 肛門鏡検査とS状結腸鏡検査を参照 )。痛みを伴う肛門病変の場合,表面麻酔(リドカイン5%軟膏),局所麻酔,または全身麻酔さえ必要なことがある。耐えられれば,洗浄用のリン酸塩浣腸がS状結腸鏡検査を容易にすることがある。生検,塗抹,および培養を行うことがあり,適応があればX線検査を指示する。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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