メルクマニュアル18版 日本語版
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裂肛(肛門裂創;肛門潰瘍)

裂肛は,肛門管の扁平上皮における急性の縦走する裂傷,または慢性の卵形の潰瘍である。特に排便時に,重度の疼痛を引き起こし,時に出血を伴う。診断は視診による。治療は,局所の清潔,便軟化剤,および時にボツリヌス毒素注射による。

(See also the American Gastroenterological Association's technical review and medical position statement on the diagnosis and care of patients with anal fissure.)

裂肛は,硬いまたは太い便による裂傷に起因すると考えられ,二次感染を伴う。外傷(例,肛門性交)はまれな原因である。裂肛は内括約筋の痙攣を引き起こすことがあり,血液供給が減少し,裂肛が持続する。

症状,徴候,診断

裂肛は通常,後方正中部に起こるが,前方正中部に起こることもある。正中線を外れた裂肛は,特定の病因,特にクローン病を有することがある。肛門周囲皮垂(前哨痔核)が裂肛の下端に,拡大肥大乳頭が上端にみられることがある。

乳児では急性裂肛が生じることがあるが,慢性裂肛はまれである。慢性裂肛は,癌,梅毒の初期病変,結核,クローン病による潰瘍と鑑別する必要がある。

裂肛は痛みおよび出血を起こす。疼痛は,排便時または排便直後に典型的に起こり,数時間持続し,そして次の排便まで鎮静化する。検査は優しく行う必要があるが,観察を可能にするために臀部を十分に広げる。

治療

(See also the Cochrane review abstract: nonsurgical and surgical therapy for anal fissure.)

裂肛はしばしば,排便時の外傷を最小限に抑える保存的治療に反応する(例,便軟化剤,オオバコ,食物繊維)。保護的な亜鉛華軟膏または下部直腸をなめらかにし,便を軟らかくする刺激の少ない坐薬(例,グリセリン)の使用は治癒を助ける。局所麻酔薬(例,ベンゾカイン,リドカイン)の投与ならびに,排便後毎回および必要に応じて,温湯(熱湯ではない)による10〜15分間の坐浴を行うことによって,一時的に苦痛が和らぐ。

局所ニトログリセリン0.2%軟膏,ニフェジピンクリーム0.2%または0.3%,アルギニンゲル,および内括約筋へのボツリヌス毒素注射は,肛門括約筋を弛緩させ,また最大肛門静止圧を低下させて,治癒を助ける。保存的療法が失敗した場合は,内肛門括約筋の痙攣の繰り返しを抑制するために手術(内肛門括約筋切開術または制御的肛門拡張術が必要となる。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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