メルクマニュアル18版 日本語版
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はじめに

脈管炎は,全身性または局所性の血管の炎症である。脈管炎は多数の全身性疾患の一部である可能性がある。

病因と病態生理

脈管炎は,原発性(原因は不明)疾患または薬物,毒素,感染症,その他の抗原,別の疾患の二次性疾患である。脈管炎は単一の臓器または器官系統(例,皮膚)に限られるかまたは複数の系を侵されることがある。

ほとんどの脈管炎疾患の病態生理は,十分に理解されていないが,血管壁への免疫複合体の沈着とその他の免疫介在メカニズムが関与している可能性がある。何らかの誘因におそらく反応して発症する。ときに遺伝的素因が存在する。

脈管炎は,あらゆる血管,すなわち動脈,細動脈,静脈,細静脈,毛細血管を侵しうる。ほとんどの障害は,炎症により動脈が狭小化して組織が壊死するときに起こる。

組織学的変化は類似している傾向がある。主な炎症細胞は,多くの急性病変において多核白血球(PMN)であり,慢性病変ではリンパ球となる。炎症は分節的に起こるかまたは血管全体にわたって起こる。炎症の部位では,様々な程度の細胞浸潤や壊死,または血管壁の一層または複数層内の瘢痕化が生じる 。筋性動脈の中膜内の炎症は内弾性板を破壊する傾向がある。血管壁のいずれの部分の炎症も線維化や内膜肥厚で消褪する傾向がある。内膜肥厚または二次性の凝血塊形成は動脈内腔を狭小化することがあり,組織の虚血または壊死につながる。一旦血管壁の統合性が破られると,赤血球および線維素は周囲の結合組織に漏れることがある。疾患に比較的特異的である組織学的変化が生じうる(例,巨細胞性動脈炎における多数の巨細胞と内部の弾性線維の破壊)。

分類

脈管炎疾患は主として障害される血管の大きさおよび深さに応じて分類しうる。しかしながら,かなりの共通点がしばしば存在する。脈管炎は,多くのその他の疾患,例えば,RA,SLE,小児期の多発性筋炎および皮膚筋炎などの病態生理に寄与する。

全身性壊死性脈管炎は,様々な臓器で梗塞を引き起こしうる太さが中等度の血管の全身性脈管炎疾患の一種である。それらの疾患には,結節性多発動脈炎,顕微鏡的多発脈管炎,チャーグ-ストラウス病,ウェーゲナー肉芽腫症,ときに単一臓器の孤立性脈管炎,多発血管炎オーバーラップ症候群がある。

診断

一部の脈管炎疾患には毒性を有する治療を行うことがあるので,可能であればいつでも組織生検を行って診断を確認すべきである。臨床データおよびその他のデータは,侵されやすい血管を示しうる。例えば,多発性単神経炎の臨床所見および筋電図検査(EMG)所見が特定の末梢神経の梗塞を示唆する場合,その神経に供給している動脈を生検に選択する。脈管炎疾患が疑われ,特定の動脈が選択的に侵される場合,その動脈の血管撮影を行うとその動脈の障害の有無や障害の位置を示しうる。側頭動脈炎では,症状で動脈障害のありそうな部位が示されることがある。盲目的生検は通常避けるべきである。

脈管炎はしばしば部分的または局所的であるので,たとえ障害のある血管を生検しても炎症が示されるとは限らない。1つの血管の複数の領域または長い区間からサンプリングすると,診断の感度を増すことができる。さらに,内膜肥厚や線維化または血管周囲炎は,脈管炎の隣接領域を示すことがある。ほとんどの臨床検査は非特異的であるが,抗好中球細胞質抗体の血清試験はウェーゲナー肉芽腫症および顕微鏡的多発血管炎で特に有用である。

二次性の脈管炎が疑われ,主因が分かっているかまたは推測される場合,組織生検が必要とは限らない。推測される原因が薬物またはその他の抗原である場合,抗原を取り除くと反応することがある。脈管炎が別の疾患から二次的に発症した場合,その疾患を直接治療しうる。症状および徴候が解消したら,それ以上の処置は必要ない。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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