メルクマニュアル18版 日本語版
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リウマチ性多発筋痛症(PMR)

リウマチ性多発筋痛症は,側頭動脈炎と密接に関連している症候群である。高齢者を侵し,典型的には近位筋に激痛やこわばりを起こし,筋力低下や萎縮症を起こすことはなく,非特異的な全身症状を示す。赤血球沈降速度(ESR)は通常顕著に上昇する。診断は臨床的に行う。低用量コルチコステロイドによる治療が,通常有効である。

病因と病理発生は不明である。リウマチ性多発筋痛症(PMR)が側頭動脈炎(TA)と密接に関連しているので,一部の専門家はこの2つの疾患を同じ過程の異なる段階であると考えている。リウマチ性多発筋痛症は側頭動脈炎より一般に多くみられる。少数のリウマチ性多発筋痛症患者は側頭動脈炎を発症するが,側頭動脈炎患者の40〜60%がリウマチ性多発筋痛症を有する。リウマチ性多発筋痛症の症状が脈管炎に由来するかどうかは不明であり,軽度の滑膜炎に由来する可能性が高い。リウマチ性多発筋痛症は通常60歳を超える患者に発生し,その男女比は,2:1である。

症状,徴候,診断

発症は急性または亜急性である。リウマチ性多発筋痛症は,頸部,肩帯,骨盤帯の激痛とこわばりによって特徴づけられ,こわばりは特に朝または無活動後に重度である。痛みは関節よりもほとんどの場合は近位筋に限局化し,症状は通常両側性である。全身症状は,体重減少,倦怠感,発熱,抑うつ症などがよくある。リウマチ性多発筋痛症は筋力低下を起こさないけれども,痛みが筋肉の運動を制限しうる。

リウマチ性多発筋痛症は,典型的な症状のある高齢者で疑うべきである。診断を確定するには,特徴的な症状および徴候と別の診断を除外することが必要である。ESR(赤沈),CBC(全血球計算),甲状腺刺激ホルモン,CK(クレアチンキナーゼ)の値を通常は測定する。大部分の患者で,ESRはしばしば100mm/時を超え,通常は50mm/時を超えて上昇する(ヴェステルグレン法)。正色素性正球性貧血が存在することがある。筋電図検査,生検,その他の試験(例,リウマチ因子)結果はリウマチ性多発筋痛症患者では正常であるが,他の診断を除外するために,ときに実施する。

リウマチ性多発筋痛症は,慢性小関節滑膜炎がないこと(一部の関節腫脹はありうる),びらん性または破壊性の病変,リウマチ因子,関節リウマチ小節によりRAと鑑別される。リウマチ性多発筋痛症は,通常は筋肉酵素が正常であることや,筋電図,筋生検により,そして筋力低下とともに痛みが顕著であることにより多発筋炎と区別される。リウマチ性多発筋痛症は,甲状腺機能検査の結果と筋肉酵素値が正常であることで,甲状腺機能低下症と鑑別される。リウマチ性多発筋痛症はモノクローナル高γグロブリン血症が存在しないことにより多発性骨髄腫と鑑別され,より限局的な症状と典型的なESRの上昇により線維筋痛症と鑑別される。

リウマチ性多発筋痛症の患者は側頭動脈炎を発症することがあるので,患者には,頭痛,咀嚼時の筋痛,特に,視覚障害があれば直ちに報告するように警告すべきである。

治療

リウマチ性多発筋痛症は通常,15〜20mg,1日1回経口投与で開始するプレドニゾンに劇的に反応する。側頭動脈炎が疑われる患者には,高用量を投与し,側頭動脈生検を施行すべきである。症状が鎮静化したら,ESRの値にかかわらず,コルチコステロイドを最低の有効量まで減らす。患者によっては2年以内にコルチコステロイドの投与を中止できるが,数年にわたって,少量のコルチコステロイドの投与を必要とする患者もいる。NSAIDで十分であることはまれである。高齢の患者では,糖尿病や高血圧のようなコルチコステロイドの副作用に注意して治療することが特に重要である。長期間にわたってプレドニゾンを使用している患者には,骨粗鬆症を予防するためにビスホスホネートを投与すべきである。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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