メルクマニュアル18版 日本語版
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高安動脈炎

(脈なし病;閉塞性血栓性大動脈症;大動脈弓症候群)

高安動脈炎は,大動脈とその分枝を侵す原因不明の炎症性疾患であり,青年と若い女性に最も多く起こる。高安動脈炎は脈の強さの左右差と動脈閉塞の症状および徴候を起こす。診断は,大動脈造影または核磁気共鳴血管撮影によって行う。治療は,コルチコステロイドと,組織が虚血性の場合は血管形成術またはステント術のような血管介入がある。

高安動脈炎はまれである。高安動脈炎は世界的に報告されているけれども,アジア人に好発することが示されている。男女比は8:1であり,発病年齢は典型的には15〜30歳である。炎症は血管腔を狭窄し,血栓症を起こしうる。後期に,動脈壁の弱さが動脈瘤を生じることがある。高安動脈炎は,大動脈とその分枝と同様に,ときに肺動脈および冠状動脈を侵す。

症状と徴候

患者の約半数は,初期に倦怠感,発熱,寝汗,体重減少,関節痛,疲労を示す。この時期は次第に沈静化し,通常は大動脈弓と胸椎領域における大動脈の分枝の虚血に由来する病巣症状によって特徴づけられる,より慢性的な病期へと移行する。残りの半数の患者は,病巣症状を示すのみである。

病巣症状には,腕を使用した痛みに伴って,頸動脈および椎骨脳底動脈の虚血発作によって起こる失神や一時的な視覚障害がある。筋肉の萎縮が顔や腕に起こりうる。胸部下行大動脈の閉塞は,ときに大動脈縮窄症の徴候を引き起こす。腹部大動脈(特に腎動脈)が侵されると,患者は腎血管性高血圧症を示すことがあり,重症でありうる。高安動脈炎は,冠状動脈炎症を起こすことがあり(狭心症または心筋梗塞を引き起こす),あるいはまれに,大動脈弁閉鎖不全症を起こし,これらの続発症や高血圧症は心不全を起こす結果となりうる。まれに,肺動脈閉塞から肺高血圧に至ることがある。

動脈閉塞の徴候は閉塞が重度にならないと現れないことがある。閉塞が重度のとき,脈は大動脈弓に由来する障害のある動脈では,脈が減弱しているかまたは存在せず,血圧が低いかまたは測定できないことがある。後天性の縮窄症がみられない限り,これらの脈は下肢の通常活発な脈や正常血圧と明確に対照的である。腕に重度の障害があれば,全身血圧は下肢でのみ正確に測定される。血管雑音が,部分的に狭窄した動脈で聴取されることがある。

診断

診断は,大動脈もしくはその分枝により供給されるか,または末梢血管の脈拍が減弱しているかもしくは存在しない臓器虚血を示唆する症状を発症した,特に若いアジアの女性にこの疾患を疑うべきである。動脈血管雑音,脈拍の強さまたは血圧の,左右または上肢下肢の不一致もまた示唆的である。

確認には,大動脈の動脈造影または核磁気共鳴血管撮影により全ての血管の分枝部を評価する必要がある。特徴的所見には,狭窄,閉塞,血管腔の不整,狭窄後の拡大,閉塞した血管周辺の側副路,動脈瘤がある。臨床検査は非特異的であり必然的ではなく,初期に全身性疾患がある場合,貧血とESRの著明な上昇がしばしばみられる。

予後と治療

高安動脈炎は,まれに自然寛解するかまたは安定することがある。しかしながら,主要な合併症(例,脳卒中,心筋梗塞,重度高血圧症,心不全,動脈瘤)が,約50%に生じる。加速性アテローム動脈硬化は,晩期合併症でありうる。治療により,主要な合併症のない95%の患者が5年を超えて生存する。

コルチコステロイドは全患者に必要とされ,しばしば劇的に症状を軽減して,長期的な血管合併症を少なくすることがある。プレドニゾン60mg,1日1回経口投与を症状が鎮静するまで継続し,その後,用量が10mg/日となるまで2週間に5mg/日ずつ減らす。何カ月または何年もの治療が必要となることがあり;その期間は症状,徴候,血管像,ESRにより予想されるが,正常ESRにもかかわらず活動性疾患が存在することもある。メトトレキサートまたはその他の細胞毒のある薬剤がコルチコステロイド抵抗性症例に加えられることがあるが,それらの有効性は疑問である。血小板阻害薬(例,アスピリン325mg,1日1回)は有効でありうる。高血圧を積極的に治療すべきであり;高血圧がしばしば腎血管性であるのでACE阻害薬が有効でありうる。

虚血組織に血流を回復するには血管介入が重要である。血管形成術,ステント術,手術が有効なことがある。動脈瘤や大動脈瘤は手術を必要とすることがある。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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