メルクマニュアル18版 日本語版
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骨髄炎

骨髄炎は,細菌,マイコバクテリア,真菌が原因である骨の炎症および破壊である。よくみられる症状は,限局化した骨痛と全身症状を伴う圧痛(急性骨髄炎で)または全身症状を伴わない圧痛(慢性骨髄炎で)である。診断は,X線撮影と培養により行う。治療は抗生物質と,ときに手術により行う。

病因と病態生理

骨への感染は,血液由来の微生物(血行性骨髄炎),隣接部位からの広がり(感染した組織または感染した人工関節から),開放創(汚染された開放骨折または骨の手術)によってもたらされる。外傷,虚血,異物が,骨髄炎の素因となる。骨髄炎は,深い褥瘡の下に生じることがある。

骨髄炎の約80%は,隣接部位または開放創から広がり,しばしば多菌性である。Staphylococcus aureusは50%以上に存在し,その他のよくみられる細菌は,連鎖球菌,グラム陰性腸内微生物,嫌気性菌などである。隣接部位からの感染の広がりで起こる骨髄炎は,(糖尿病または末梢血管疾患の患者の)足の外傷または手術によって穿通される骨の部位や,股関節や仙骨のような褥瘡に隣接する骨によくみられる。

血行性に感染する骨髄炎は,通常単一の微生物が原因である。小児ではグラム陽性細菌が最も多くみられ,通常は脛骨,大腿骨,上腕骨の骨幹端を侵す。成人において血行性に感染する骨髄炎は,通常脊椎骨を侵す。成人の危険因子は,高年齢,虚弱,血液透析,鎌状赤血球症,静注薬物の使用である。一般的な感染微生物は,S. aureusと腸内のグラム陰性菌(高齢,衰弱,または血液透析を受けている成人において);S. aureus Pseudomonas aeruginosaSerratiasp(静注麻薬常用者で); そしてSalmonellasp (鎌状赤血球症の患者で)である。 真菌およびマイコバクテリウムは血行性骨髄炎を引き起こすが,通常は免疫力が低下した患者が罹患するか,またはヒストプラスマ症,ブラストミセス症,コクシジオイデス真菌症の流行のある地域に発生する。脊椎がしばしば侵される。

骨髄炎は局所の血管を閉塞する傾向があり,そのために骨壊死と感染症の局所への広がりをもたらす。感染は,骨皮質を通して拡大し骨膜下に広がることがあり,皮膚を通して自然に排出される膿瘍を皮下に形成する。

急性骨髄炎の治療が部分的にしか成功しない場合,軽度の慢性骨髄炎が進行する。

症状と徴候

末梢骨に急性骨髄炎のある患者は通常,体重減少,疲労,発熱や,局所には熱感,腫脹,発赤,圧痛を経験する。

化膿性脊椎炎は,保存療法に反応しない傍脊柱筋の痙攣とともに,限局性の背部痛や圧痛をもたらす。患者は通常無熱である。

慢性骨髄炎は,間欠的な(数カ月から長年にわたる)骨痛,圧痛や,排膿性の洞を生じる。

診断

急性骨髄炎は,限局性の末梢骨痛,発熱,倦怠感のある患者や,限局化した抵抗性の脊椎骨の痛みのある患者に疑われる。慢性骨髄炎は,持続的な限局性骨痛がある患者で,特に危険因子を有する場合に疑われる。

骨髄炎が疑われる場合,侵された骨の単純X線検査の他に,全血球算定(CBC)と赤沈(ESR),C反応性蛋白を測定する。WBC数は増加しないこともあるが,ESRとC-反応性蛋白の値は通常は上昇する。X線像は2〜4週間後には異常となり,骨膜の隆起,骨破壊,軟部組織の腫脹を示し,脊椎では,椎体の高さの減少,または隣接する感染した椎間板腔の狭小化や椎間板の上下の終板の破壊を示す。

X線像が不明確であるかまたは症状が急性である場合,CTまたはMRIは異常を明らかにし,膿瘍(例,傍脊柱膿瘍)を示しうる。これに対して,放射性同位元素骨スキャンを実行することがある。放射性同位元素骨スキャンは異常をX線よりも早期に示すが,感染,骨折,腫瘍を区別できない。細菌学的診断は,骨髄炎の至適治療のために必要であり; 針穿刺または外科的切除による骨生検や膿瘍の吸引またはデブリドマンによって,培養や抗生物質感受性試験に供する組織は得られる。 瘻孔ドレナージで得た組織の培養で,必ずしも骨の病原菌が示されるわけではない。

治療

抗生物質を選択するには,培養と感受性試験の結果を得るまでは,グラム陽性菌とグラム陰性菌の両方を対象とする。小児と成人において,当初の抗生物質の治療には,ペニシリナーゼ耐性合成ペニシリン(例,ナフシリンまたはオキサシリン2g,4時間毎静注)と,第3世代または第4世代のセファロスポリン(例えばセフトリアキソン1g,12〜24時間毎静注またはセフェピム2g,8時間毎静注)を含めるべきである。抗生物質は非経口的に4〜8週間投与しなければならない。何らかの全身所見(例,発熱,倦怠感,体重減少)が持続するかまたは骨の大きな領域が破壊される場合,壊死組織を外科的にデブリドマンすることが必要である。共存する傍脊椎膿瘍や硬膜外膿瘍を排液させるか,または脊椎を安定させて外傷を予防するために手術が必要なこともある。皮膚移植または有茎移植が大きな手術による欠損部を閉鎖するために必要なことがある。広域抗生物質は,手術後3週間以上継続すべきである。慢性骨髄炎では,長期的な抑制的抗生物質療法が必要であるかもしれない。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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