メルクマニュアル18版 日本語版
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後脛骨筋腱炎

後脛骨筋腱炎(後脛骨筋腱の変性)は,内果後方の痛みの最もよくみられる原因である。

後脛骨腱は内果のすぐ後方に位置する。変性は,例えば,通常は肥満患者の過度の回内のような,長期にわたる生体力学的な問題から起こる。

早期より,患者はときに足関節内側の後方に痛みを経験する。時がたつにつれて,痛みは激しくなり,内果後方の有痛性腫脹を伴う。正常の起立と歩行は困難になる。

内反底屈位での腱の触診は,通常痛みを誘発する。つま先で立つことは,通常痛みを伴い,腱が断裂している場合は不可能であるかもしれない。内果後方の痛みと腫脹は,特に触診で後脛骨筋腱に痛みがある場合,きわめて示唆的である。MRIにより腱の損傷とその程度を確認する。

正常の機能の回復が目標である場合,完全断裂には手術を必要とする。若く活動的な患者の急性断裂には手術が特に重要である。保存療法とは,矯正器具や足関節装具を使用して機械的に腱への荷重を軽減することである。コルチコステロイドの注射は,変性経過を悪化させる(足部および足関節の障害: コルチコステロイド注射をする場合に考慮すべき事項を参照 囲み解説 1: 囲み解説)。

囲み解説 1

コルチコステロイド注射をする場合に考慮すべき事項

コルチコステロイド注射は,慎重に使用して副作用を避けるべきである。 注射用コルチコステロイドは炎症の治療に使用するために残しておくべきであり,大部分の足部の障害や瘢痕組織に起因する症状では炎症は存在しない。足趾の背側,足根,足関節,踵骨後方間隙では,皮膚とその下の骨との間にほとんど結合組織がないので,これらの構造内へ不溶性コルチコステロイドを注射すると,特に末梢動脈疾患を有する高齢患者では,色素脱失,萎縮症,または潰瘍化を生じることがある。

不溶性コルチコステロイドは,例えば足踵部,足根管,中足骨趾間の深部にはより安全に注射しうる。腱鞘に注射した後は,足部を数日間固定すべきである。注射の際に普通ではない抵抗があれば腱自体に注射したことを示し,それが繰り返される場合,腱を弱めてその後の断裂の素因となるので避けなければならない。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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