メルクマニュアル18版 日本語版
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気管支鏡検査

気管支鏡検査は気道内に内視鏡を挿入して行う。軟性の気管支ファイバースコープが,実質的には,適応となる全ての診断と大部分の治療において,硬性の気管支鏡に代わって使用されている。硬性の気管支鏡は,現在では,よりよい可視化と器具の使いやすさを得るために広い口径および導管が必要となるときにのみ用いられる。例えば,肺から勢いよく出血している場合(硬性気管支鏡のほうが出血源を特定しやすく,吸引用の導管が大きいので血液を吸引しやすく,窒息が防げる);幼児が異物を誤嚥してしまった場合;および閉塞性気管支内病変があるためレーザーによる閉塞除去術またはステント留置が必要な場合などである。軟性気管支鏡のほとんど全てがカラービデオと互換性があり,気道の可視化と所見の証明を容易にしている。

診断用では,軟性気管支ファイバースコープは亜区域気管支内までの気道の直接の可視化;気管支洗浄,ブラッシング,および末梢気道と肺胞の洗浄による呼吸器の分泌物と細胞の採取;気管支内,肺実質,縦隔構造の生検などを可能にする。治療用では,停留した分泌物の吸引などに用いられる。

Indications for Flexible Fiberoptic Bronchoscopy

Procedure

Indication

Diagnostic

Abnormal chest radiograph: To diagnosis the etiology of pneumonia*in an immunocompromised host; in a patient with hospital-acquired pneumonia; in an immunocompetent host with recurrent or nonresolving disease; or in a patient with a paratracheal/mediastinal/hilar mass, parenchymal mass or nodule, especially in proximal lung, or unexplained exudative pleural effusion

Atelectasis (persistent)*

Cough (persistent, unexplained)*

Diffuse lung process (transbronchial lung biopsy)

Evaluation for rejection in lung transplant recipient

Evaluation of airway in burn patient

Evaluation of chest trauma patient for bronchial disruption

Hemoptysis

Lung abscess in edentulous patient (suspect endobronchial lesion)

Lung cancer staging

Positive sputum cytology with normal chest x-ray*

Suspected tracheoesophageal fistula

Unexplained hoarseness or vocal cord paralysis

Wheeze (localized/fixed)

Therapeutic

Aspiration of retained secretions* †

Bronchopulmonary lavage (pulmonary alveolar proteinosis)

Laser resection of tumor‡

Management of bronchopleural fistula

Photodynamic therapy‡

Placement of airway stent‡

Placement of endotracheal tube in difficult patient (cervical injury, abnormal anatomy)

Removal of foreign body‡

*Flexible fiberoptic bronchoscopy is indicated only after failure of less invasive investigations and treatments.
†Flexible fiberoptic bronchoscopy is not a substitute for chest physiotherapy, bronchodilator nebulization, and nasotracheal suctioning; it should be reserved for hypoxemia (in a ventilated patient) and/or lobar atelectasis secondary to impacted secretions refractory to conventional therapy.
‡Rigid bronchoscopy provides more control for instrumentation than flexible bronchoscopy and may be helpful.

絶対的禁忌は,命にかかわる治療不可能な不整脈,手技中患者に十分な酸素供給ができないこと,高炭酸ガス血症を伴う急性呼吸不全(患者が気管内挿管により換気されている場合は除く)などである。相対的禁忌には,非協力的な患者,最近発症のMI,高度の気管閉塞,矯正不可能な凝固障害などがある。経気管支生検は,尿毒症,上大静脈閉塞,または肺高血圧症の患者では,出血と気胸のリスクが高まるため慎重に行う必要がある。しかしながら,気道の視診は,これらの患者に安全に行える。

気管支鏡検査は,呼吸器科医または訓練された外科医がモニター装置のあるところで,通常は気管支鏡室,手術室,またはICU(人工呼吸を行っている患者には)でのみ行うべきである。

患者には気管支鏡検査の少なくとも4時間前から経口摂取を中止させ,静注のルートを確保し,間欠的な血圧測定,継続的なパルスオキシメトリー,心臓のモニタリングを行うべきで,O2補給も利用できるようにすべきである。前投薬は,分泌物や迷走神経の緊張を抑えるためのアトロピン0.01mg/kgの筋注か静注が一般的であるが,最近の研究ではこの投薬には疑問が投げかけられている。不安,不快感,咳を減らすために前処置として,短時間作用型ベンゾジアゼピンまたはオピオイド系薬物もしくはその両方を投与することもある。

咽頭と声帯は,噴霧またはエアロゾル化した(1%または2%)リドカイン(最高用量,70kgの患者では250〜300mg)によって麻酔をする。気管支鏡は,リドカインゼリーで滑らかにし,外鼻孔に通すか,経口エアウェイないしバイトブロックを用いて口から入れる。鼻咽頭と喉頭の視診後,気管支鏡は吸気中に声帯を通過させ,気管,上気道に挿入する。

いくつかの補助的手技は,必要に応じて,透視ガイドを用いてまたは用いないで,行うことができる。気管支洗浄法では,生理食塩水を気道内に噴霧し,それを気道から吸引する。気管支擦過法では,ブラシを気管支鏡内に通して前進させ,それを使って,細胞を得るために疑われる病変部を擦過する。気管支肺胞洗浄法では,50〜200mLの滅菌生理食塩水を末梢気管支肺胞系に注入する;この液体を吸引して,肺胞レベルに存在する細胞,蛋白,および微生物を回収する。洗浄により生じた局所的領域の肺浮腫が,一過性の低酸素血症を引き起こすことがある。経気管支生検では,鉗子を気管支鏡内と気道を通過させ,肺実質の1つまたは複数の部位で生検を行う。経気管支生検は,X線ガイドなしで行うことができるが,透視ガイドを使用すると,診断率が向上し,気胸の発生率が下がることが裏づけられている。

通常,手技後2〜4時間は,O2補給を行いながら,患者を観察する。咽頭反射の回復と,O2補給なしでO2飽和度を維持できることが,主な2つの回復の指標である。標準的処置として,経気管支肺生検後は,気胸を除外するために呼気位後前方向胸部X線を撮影する。

重篤な合併症はまれである;生検部位からのわずかな出血,および発熱が10〜15%で生じる。前投薬によって,呼吸抑制,低血圧,不整脈を伴う過剰な鎮静が生じることがある。まれに,局所麻酔によって,喉頭痙攣,気管支痙攣,発作,治療抵抗性のチアノーゼを伴うメトヘモグロビン血症,もしくは不整脈または心停止が生じる。気管支鏡そのものによって,嗄声を伴う喉頭のわずかな浮腫または傷害,ガス交換の低下した患者における低酸素血症,不整脈(最も一般的には心房性期外収縮,心室性期外収縮,または徐脈),および極めてまれではあるが,器具が十分に滅菌されていなかったための感染症などが生じうる。経気管支生検では,気胸(2〜5%)および大量の出血(1〜1.5%)が生じうる。死亡率は1〜4/10,000人である。高齢者,および重症の併存疾患(重症のCOPD,冠動脈疾患,低酸素血症を伴う肺炎,進行癌,精神障害)のある患者は,最もリスクが高い。経気管支生検での死亡率は12/10,000人に上昇するが,経気管支生検を行うことで開胸術を行わなくて済むことがある。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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