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過敏性肺炎(外因性アレルギー性肺胞炎)

過敏性肺炎は,環境性(しばしば職業性)抗原の感作およびその後の過敏症で引き起こされる咳,呼吸困難および疲労の症候群である。急性,亜急性および慢性の形態が存在する;全て急性間質炎症,および長期暴露に伴う肉芽腫と線維化の進行を特徴とする。診断は,病歴,身体診察,画像検査,気管支肺胞洗浄および生検の併用に基づく。短期治療はコルチコステロイドで行う;長期治療は抗原を避けることである。

病因と病態生理

300以上の抗原が過敏性肺炎に対する誘因として同定されているが,そのうち8つが症例の約75%を占める。抗原は一般的にタイプおよび職業によって分類される(間質性肺疾患: 過敏性肺炎の例表 4: 表を参照);農夫肺はその原型で,好熱性放線菌を含む干し草のほこりの吸入で引き起こされる。農夫の過敏性肺炎と慢性気管支炎には相当な重複が存在するが,農夫では慢性気管支炎のほうがかなり多く見られ,これは喫煙状況に関係なく生じ,好熱性放線菌暴露に関連し,診断検査では過敏性肺炎と類似した所見となる。

表 4

PDF 過敏性肺炎の例

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この疾患はⅣ型過敏反応を示していると考えられ,遺伝的に感受性が高い人々において抗原への反復暴露が原因で急性の好中性および単核性の肺胞炎が起こり,その後間質性リンパ球浸潤および肉芽腫性反応が起こる。持続的暴露で細気管支閉塞を伴う線維症が生じる。

循環血中の沈降素(抗原に感作された抗体)には,病因としての主要な役割はないようであり,またアレルギー(喘息および季節性アレルギーなど)の病歴は原因とはならない。喫煙は,おそらく吸入した抗原に対する肺の免疫反応を下方制御することで,発現を遅延または回避させるようである。しかしながら,喫煙は,いったん疾患が確立すると,疾患を悪化させる可能性がある。

過敏性肺炎は,臨床上類似しているが病態生理が異なる疾患と鑑別しなければならない。例えば,有機塵中毒症候群(肺マイコトキシン症,穀物熱)は,発熱,悪寒,筋肉痛および呼吸困難からなる事前の感作を必要としない症候群で,菌類が産生した毒素または有機塵による他の汚染物の吸入によって引き起こされると考えられている。サイロ従事者病は,呼吸不全,急性呼吸促迫症候群(ARDS),および閉塞性細気管支炎または気管支炎の原因となることがあるが,発酵したてのトウモロコシまたはアルファルファ貯蔵牧草が産生した毒性窒素酸化物の吸入によって引き起こされる。職業性喘息は,吸入した抗原に既に感作されている人々に呼吸困難を引き起こすが,気道閉塞や気道好酸球増加症などの特徴および誘因抗原の違いが過敏性肺炎と区別する目安となる(環境性肺疾患: 職業性喘息を参照 )。

症状と徴候

症状および徴候は,発症が急性,亜急性,慢性のいずれであるかによって異なる傾向がある。症状は,暴露した人のうちのごく少数が発現し,ほとんどの症例で暴露および感作から数週間から数カ月後でないと現れない。

急性疾患は,既に感作されている人で急性の高濃度の抗原暴露によって起こり,暴露後4〜8時間に発熱,悪寒,咳,胸部圧迫感および呼吸困難として現われる。食欲不振,悪心および嘔吐が現れることもある。身体診察では,頻呼吸,吸気時のびまん性の細かいラ音から中程度ラ音が示され,ほとんど全ての症例で喘鳴は聞かれない。

慢性過敏性肺炎は,低濃度の抗原に慢性的に暴露した人(鳥の飼い主など)で起こり,労作性呼吸困難,湿性咳,疲労および体重減少が数カ月から数年かけて生じることで現れる。身体所見はほとんどない;ばち状指がまれに生じるが,発熱はない。進行した症例では,肺線維症が右心不全または呼吸不全もしくはその両方の症状および徴候を生じさせる。

亜急性過敏性肺炎は,急性と慢性の間に位置し,数日から数週間にわたって発現する咳,呼吸困難,疲労および食欲不振として現れるか,慢性疾患の症状に急性疾患の症状が重なった形で現れる。

診断

診断は,病歴,身体診察,画像検査,肺機能検査,気管支肺胞洗浄および生検の併用に基づく( 間質性肺疾患: 過敏性肺炎の診断基準表 5: 表を参照)。鑑別診断は幅広く,環境性肺疾患(環境性肺疾患を参照 ),サルコイドーシス,閉塞性細気管支炎,結合組織に関連する肺疾患および他のILDを含む。

表 5

過敏性肺炎の診断基準

診断区分

基準

明らかなHP

1,2および3

1,2および4a

1,2a,3および5

2,3および5

ほぼ確実なHP

1,2aおよび3

潜在性のHP

1および3a

感作状態

1のみ

基準

1. 抗原への暴露が既知である

a. 暴露歴がある

b. 調査で環境中に抗原の存在が確認されている

c. 特異的IgG血清沈降素が高値である

2. 臨床,胸部X線および肺機能検査の所見

a. 特徴的な症状および徴候がみられる(特に抗原暴露後)

b. 特徴的な胸部X線または高解像度CTの所見

c. 肺機能検査の結果が異常である

3. 気管支肺胞洗浄でのリンパ球増加症

a. CD4+/CD8+< 1

b. リンパ球幼若化試験陽性

4. 抗原負荷試験による臨床所見および肺機能検査所見の再発

a. 環境暴露

b. 抗原抽出成分への試験暴露

5. 組織学

 

a. 非乾酪化肉芽腫

b. 単核球浸潤

HP =過敏性肺炎。

病歴でヒントになるものには,およそ定期的に再発する非定型肺炎;転職または引越し後の症状発現;温水浴槽,サウナ,水泳プールまたは他の貯留水,もしくは家庭内の傷んだ水,または他の場所での傷んだ水への頻繁な暴露;ペットとしての鳥の飼育;および症状が特定の状況下で悪化し,離れると軽減することなどがある。

肺の異常音およびばち状指が観察されることがあるものの,診察はしばしば,診断を下すのに有用ではない。

画像検査は,通常,前述の病歴,徴候,および症状を伴う患者に対して行う。胸部X線は,疾患の検出に対して感度も特異度も高くなく,また急性および亜急性疾患の患者においてしばしば正常である。胸部X線では,網状または結節状の陰影が,通常は症状が存在するときに,示されることがある。慢性疾患患者の胸部X線は,肺容積減少および蜂巣状像を伴う上葉の網状または結節状陰影を示す可能性が高く,特発性肺線維症と類似している。異常は,高解像度CT(HRCT)によってはるかにより高頻度で検出され,HRCTは過敏性肺炎における肺実質変化を評価するための標準的検査と考えられている。最も典型的なHRCT所見は,明確に定義されていない多量の小葉中心性小結節の存在である。これらの小結節は,急性,亜急性または慢性疾患の患者で認められ,また適当な臨床状況において,過敏性肺炎を強く示唆する。ときに,すりガラス様弱陰影が主なまたは唯一の所見である。それは通常びまん性であるが,二次肺小葉の辺縁は侵されないときもある。閉塞性細気管支炎においてみられるものと類似した局所的な透過性亢進領域が,一部の患者で際立った特徴である(例,呼気HRCTでの空気トラッピングを伴うモザイク状弱陰影)。慢性過敏性肺炎では,肺線維症の徴候(例,肺葉の容積減少,線状/網状陰影または蜂巣状像)がある。慢性過敏性肺炎の非喫煙患者には,上葉気腫の所見を有する患者もいる。縦隔リンパ節腫脹はまれなので,過敏性肺炎をサルコイドーシスと区別する目安となる。

肺機能検査は,過敏性肺炎の疑いがある症例の標準評価の一部として行うべきである。この疾患は,閉塞性,拘束性または混合パターンの気道変化を引き起こしうる。進行した疾患は,拘束性障害(肺容積の減少),一酸化炭素拡散能(DLco)の減少および低酸素血症を生じさせることが多い。気道閉塞は急性疾患では珍しいが,慢性疾患で発現することがある。

気管支肺胞洗浄は,診断に対してあまり特異的ではないが,しばしば慢性の呼吸器症状および肺機能異常に対する診断評価の一部である。CD4+/CD8+比が1.0未満の場合の洗浄液におけるリンパ球増加(60%を超える)は,この疾患の特徴である;これとは対照的に,CD4+優位(比が1.0を超える)の場合のリンパ球増加は,サルコイドーシスの特徴である。他の所見には,肥満細胞が1%を超えること(急性暴露後)ならびに好中球および好酸球の増加がある。

非侵襲的検査が決定的でないときは肺生検が適応される。気管支鏡を用いて行われる経気管支生検は,活動的疾患領域から複数の検体を採取し,組織の複数の連続する部位を組織学的に検査すれば,十分に役に立つ。所見は様々であるが,リンパ球性肺胞炎,非乾酪化肉芽腫および肉芽腫症を含む。間質性線維症がみられることもあるが,進行した放射線学的変化がないときは通常軽度である。

診断をより確実にしたいとき,またはILDの他の原因を検出するために,追加検査が適応となる。循環血中の沈降素(疑いのある抗原に特異的な沈降抗体)は示唆的であるが,感度も特異度も高くないので,有用ではない。特異的な沈降抗原の同定には,労働衛生専門家による職場の空中生物学的および/または微生物学的な詳細な評価を必要とすることがあるが,誘発抗原(例,洗剤工場におけるバシラス-サチリス)の既知の発生源が通常参考になる。皮膚試験は役に立たず,好酸球増加はみられない。他の疾患を検出する際に役に立つ検査には,血清学的検査および培養(オウム病および他の肺炎に対して)ならびに自己抗体の検査(膠原血管病に対して)がある。好酸球の上昇は慢性好酸球性肺炎を示唆することがあり,肺門部および傍気管リンパ節腫脹はサルコイドーシスでより特徴的である。

予後,治療,予防

病理学的変化は,早期に検出される場合や抗原暴露が除去される場合,完全に可逆的である。急性型は,抗原を避けるならば自然軽快する;症状は通常数時間以内に軽減する。慢性型は予後がより複雑である:いったん線維化が確立すると,通常,病態生理は不可逆的であるが,患者が症状を起こす環境にそれ以上暴露しなければ,こうした変化はしばしば安定する。

急性または亜急性の過敏性肺炎の治療は,コルチコステロイドで行い,通常プレドニゾン60mg,1日1回を1〜2週間投与し,次の2〜4週間にわたって20mg,1日1回まで漸減し,その後,週に2.5mgずつ減量していき,投薬を中止する。この投与計画で初期症状は軽減するが,長期的な転帰は変わらないようである。

最も重要な長期治療は,抗原への暴露を避けることである。環境を完全に変えることは,特に農夫および他の労働者では現実的には無理であり,その場合,塵埃を制御する方法(かき混ぜる前に堆肥に水をかけて湿らすなど)またはエアフィルターや防御マスクの使用が効果的であるときもある。抗原性の微生物の増殖(例,干し草の中またはサトウキビの表面)を予防するために殺菌剤が使用されることがあるが,この方法の長期的安全性は証明されていない。湿った空調システムの大規模な掃除,湿っぽいカーペットの除去,および湿度を低く保つこともまた,一部の状況では効果的である。しかしながら,患者には,継続的に暴露が続く場合はこれらの方法では不十分かもしれないことを教えなければならない。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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