メルクマニュアル18版 日本語版
検索のヒント
ABCDEFGHI
JKLMNOPQR
STUVWXYZ
記号

セクション

トピック

肺ランゲルハンス細胞肉芽腫症(好酸球性肉芽腫,肺肉芽腫症X,ヒスチオサイトーシスX)

肺ランゲルハンス細胞肉芽腫症(組織球増殖症)は,肺間質および気腔におけるモノクローナルなランゲルハンス細胞の増殖である。病因は不明であるが,喫煙が主な役割を果たす。症状は,呼吸困難,咳,疲労および/または胸膜性胸痛である。診断は,病歴に基づき,画像検査または気管支肺胞洗浄および生検も行う。治療は禁煙である。コルチコステロイドが多くの症例で投与されるが,有効性は不明である。禁煙と併用すると,肺移植は治療効果がある。予後は総体的に良好であるが,患者は悪性腫瘍の危険が増加する。

肺ランゲルハンス細胞肉芽腫症(PLCG)は,モノクローナルなCD1a-陽性のランゲルハンス細胞(組織球の一種)が,リンパ球,形質細胞,好中球および好酸球を伴って,細気管支および肺胞間質に浸潤する疾患である。PLCGはランゲルハンス細胞組織球増加症(組織球性症候群: ランゲルハンス 細胞組織球増加症を参照 )の1つの症状発現であり,臓器を個々に(最も顕著に肺,皮膚,骨,下垂体およびリンパ節)または同時に侵しうる。PLCGは85%以上で単独で起こる。

PLCGの病因は不明であるが,専ら喫煙する20〜40歳の白人で起こる。男女は同等に罹患する。女性のほうが発症年齢が高いが,病状のあらゆる性差は,喫煙行動の差を表しているかもしれない。病態生理は,肺胞マクロファージがタバコの煙に反応してサイトカインおよび成長因子を分泌し,この分泌物にランゲルハンス細胞が反応して動員および増殖することが関係する。

症状と徴候

PLCGの典型的な症状および徴候は,呼吸困難,乾性咳,疲労および/または胸膜性胸痛であり,患者の10〜25%は,突発性の自然気胸を有する(縦隔および胸膜の疾患: 気胸を参照 )。患者の約15%は無症候性で,別の理由で撮影された胸部X線で偶然に疾患に気づく。骨嚢胞による骨痛(18%),皮膚発疹(13%)および尿崩症による多尿症(5%)は,肺外性病変で最もよくみられる症状発現で,PLCG患者で生じるのは多くとも15%ほどで,PLCGの症状として現れることはまれである。PLCGの徴候はほとんどない;身体診察の結果は通常正常である。

診断

PLCGは,病歴,身体診察および胸部X線に基づいて疑われ,高解像度CT(HRCT)ならびに生検および気管支肺胞洗浄を伴う気管支鏡によって確認される。

胸部X線は,古典的には嚢胞性変化および正常な肺容積または容積増加を伴って,中肺野および上肺野に左右対称性の結節状陰影を示す。肺底部はしばしば侵されない。外観はCOPDまたはリンパ管平滑筋腫(間質性肺疾患: リンパ管平滑筋腫を参照 )に類似することがある。中葉および上葉の嚢胞(しばしば奇妙な形)および/または間質の肥厚のHRCTによる確認がPLCGの診断につながると考えられている。肺機能検査所見は,疾患経過中のどの時点で検査を行うかによって異なり,正常,拘束性,閉塞性,または混合性である。最も一般的に一酸化炭素拡散能(DLco)が減少し,また運動能力が低下する。

画像検査および肺機能検査で結論が出ないとき,気管支鏡検査および生検が適応となる。気管支肺胞洗浄液中のCD1a細胞が5%を超えるという所見は,この疾患を非常に強く示唆する。生検では,ランゲルハンス細胞の増殖が示され,細胞性および線維性の小結節の真ん中に星状構造をなすことがある好酸球の集積(好酸球性肉芽腫という古い用語の起源)をときに伴う。免疫組織化学的染色は,CD1a,S-100蛋白質およびHLA-DR抗原に対して陽性である。

治療

主な治療は禁煙であり,患者の最大3分の1で症状の消散につながる。他のILDと同様に,有効性は証明されてないが,コルチコステロイドおよび細胞毒性薬の経験的使用が一般的な方法である。肺移植は,呼吸不全の進行は早まっているが,その他の点では健康な患者に対する選択肢となるが,患者が喫煙を継続または再開するならば移植した肺で再発することがある。

ほとんど症状がみられない患者では自然消退が起こることがある;5年生存率は約75%で,生存期間中央値は12年である。しかしながら,緩徐に進行する患者もあり,その臨床的指標には,継続的喫煙,極端な年齢,多臓器病変,持続する全身症状,胸部X線上の多数の嚢胞,DLcoの減少,FEV1/FVCの低下(66%未満),残気量(RV)/総肺気量(TLC)比の増加(33%を超える)およびコルチコステロイドを長期間必要とすることなどがある。死因は,呼吸不全または悪性腫瘍である。肺癌の危険性は喫煙によって増大する。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

ページの先頭へ

前へ: 肺胞蛋白症

イラスト
個人情報の取扱いご利用条件