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数多くの手技が,血管確保を達成するために用いられている。
末梢静脈カテーテル法
患者が必要とする静注の輸液および薬物のほとんどは,経皮的末梢静脈カテーテルを用いて対応できる。経皮的カテーテル挿入が行えない場合は,静脈切開(カットダウン)法を用いることがある。典型的な静脈切開部位は,前腕の橈側皮静脈および足関節の伏在静脈である。
一般的な合併症(例,局所感染,静脈血栓症,血栓性静脈炎,輸液の血管外漏出)は,挿入時の入念な無菌法および72時間以内のカテーテル交換または抜去によって減らすことができる。
中心静脈カテーテル法
安全または長期的な血管確保(例,抗生物質の投与,化学療法,またはTPNのため)が必要な患者は,中心静脈カテーテル(CVC)で処置するのが最良である。CVCは,末梢静脈にとっては濃度が濃すぎる,または刺激が強すぎる輸液の注入を可能にし,中心静脈圧(CVP―ショックおよび輸液蘇生術: エンドポイントとモニタリングを参照 )のモニタリングも可能にする。
手技:
CVCは無菌法と局所麻酔(例,1%リドカイン)を用いて挿入する。上大静脈へ,鎖骨下静脈,内頸静脈または外頸静脈の経皮的穿刺によって,もしくは尺側皮静脈の静脈切開によって挿入する。下大静脈に,総大腿静脈の経皮的穿刺または,伏在静脈の静脈切開によって挿入することもある。挿入部位の選択は,術者の選択,患者の体質および歩行状態によって左右される。しかしながら,大腿静脈カテーテルは,腰より上部から挿入するカテーテルよりも合併症の発生率がわずかに高い。また,心停止の間,大腿静脈または伏在静脈のCVCによって注入される輸液および薬物は,胸腔内圧が心肺蘇生術(CPR)によって上昇しているため,しばしば横隔膜より上方に循環できない。この場合,鎖骨下または内頸部からの挿入が選択されることがある。
可能であれば,CVC挿入前に患者の血液凝固状態と血小板数は正常化されるべきである。経皮的大腿ラインは鼠径靱帯より下方で挿入しなければならない。さもなければ,鼠径靱帯上部の外腸骨静脈または動脈を損傷して後腹膜出血に至ることがあり,これらの血管を外部から圧迫することはほとんど不可能である。鎖骨下静脈もまた外部から圧迫できないため,出血は重篤になりうる。静脈切開は,特にもし凝固障害があるならば,出血関連の合併症リスクを減らす。
鎖骨下または内頸部カテーテルの挿入後,カテーテル先端の位置を確認し,気胸を除外するために胸部X線撮影を行う。右心房または右心室に入ったカテーテルは,不整脈防止のため,先端が上大静脈内に収まるところまで引き戻すべきである。
静脈血栓症およびカテーテル敗血症のリスクを減らすため,CVCは可能な限り早期に抜去すべきである。皮膚挿入部位は清潔にし,局所感染がないか毎日点検すべきであり,局所または全身感染が生じる場合は,カテーテルを交換しなければならない。発熱の続く敗血症の患者において,CVCカテーテルを定期的(例,5〜7日毎)に交換することが有益だと感じる医師もおり,定期的な交換がカテーテルの細菌コロニー形成のリスクを減少させることもある。(See
also at the CDC website.)
合併症:
CVCは多くの合併症を引き起こしうる(重症患者へのアプローチ: 中心静脈ライン関連の合併症表 5: 参照)。CVC挿入後,気胸が患者の1%に生じる。カテーテル挿入時に心房性または心室性不整脈がしばしば起こるが,一般に限定的であり,ガイドワイヤーまたはカテーテルを心臓内部から引き抜くと治まる。全身感染を伴わないカテーテルの細菌コロニー形成の発生率は35%と高くなりうる一方で,本当の敗血症の発生率は2〜8%(See
also the Infectious Diseases Society of America's .)である。誤って動脈にカテーテルが入った場合は,まれに外科的な動脈修復を必要とすることがある。カテーテルが血管外の位置にある場合,胸水または縦隔水腫が生じることがある。カテーテルによる三尖弁損傷,細菌性心内膜炎,空気塞栓症およびカテーテル塞栓症がまれに生じる。
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表 5
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中心静脈ライン関連の合併症
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合併症
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想定される続発症
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一般的なもの
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頸動脈傷害
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出血,呼吸不全,神経学的障害
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胸膜または肺の穿刺
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気胸
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静脈穿刺
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出血,輸液の血管外遊出,血行動態不全
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鎖骨下動脈傷害
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出血,末梢循環不全,血胸,血行動態不全
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あまり一般的ではないもの
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空気塞栓
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心停止
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不整脈
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心停止
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腕神経叢損傷
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上肢の不全
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カテーテルによる血管のびらん
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出血,輸液の血管外遊出,血行動態不全
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感染
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敗血症
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鎖骨,肋骨または脊椎傷害
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骨髄炎
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リンパ管傷害
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乳び胸
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弁損傷
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心内膜炎
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動脈カテーテル法
非侵襲的な自動血圧計の使用により,圧モニタリングだけを目的とした動脈ラインの使用が減少している。しかしながら,動脈ラインの使用は,分刻みの圧測定が必要な不安定な患者および動脈血ガスの採血が頻繁に必要な患者においては有益である。適応対象は,難治性ショックおよび呼吸不全などである。血圧は,血圧計による測定よりも動脈カテーテルでの測定の方がやや高くなることがしばしばある。測定点が末梢になるにつれて,初期の立ち上がり,最高収縮期圧,および脈圧は上昇するが,拡張期圧と平均動脈圧は低下する。血管のカルシウム沈着,粥状動脈硬化症,近位部の閉塞,四肢の位置は全て,動脈カテーテルによる測定値に影響を与えうる。
手技:
動脈カテーテルは局所麻酔(例,1%リドカイン)を用いて無菌的に挿入する。通常,橈骨動脈,大腿動脈,腋窩動脈,上腕動脈,足背動脈,および(小児では)側頭動脈へ経皮的に挿入される。橈骨動脈が最も多く使用されている;大腿動脈への挿入は合併症が少ないが,血管バイパス術後(バイパス移植片の損傷の可能性のため)または,遠位血管不全がある場合(虚血発現防止のため)は,避けるべきである。経皮的挿入がうまくいかない場合,静脈切開が行われることもある。
橈骨動脈カテーテル法の前に,アレン試験(尺骨動脈と橈骨動脈を指で圧迫すると手掌が蒼白になり,その後,いずれかの動脈の圧迫を解除すると血液充満がみられる)により,橈骨動脈閉塞の場合に手を灌流するのに十分な尺骨動脈の側副血行量があるかどうかを判定できる。尺骨動脈の圧迫解除後8秒以内に再灌流が起こらなければ,動脈カテーテル挿入は行うべきではない。
合併症:
どの部位の挿入でも,出血,感染,血栓症および遠位塞栓は起こりうる。もし局所または全身の感染徴候があるならば,カテーテルは抜去されるべきである。
橈骨動脈カテーテルの合併症には手および前腕の虚血がある。これらは留置部位での血栓または塞栓,内膜解離,もしくは血管攣縮に起因する。動脈血栓症のリスクは,細い動脈でより高くなり(女性の方が発生率が高いことをこれで説明できる),カテーテル留置期間の長さとともに上昇する。閉塞した動脈は,カテーテル抜去後,ほぼ必ず再開通する。
大腿動脈カテーテルの合併症には,ガイドワイヤー挿入に伴うアテローム塞栓症などがある。血栓症と遠位部虚血の発生率は,橈骨動脈カテーテル法の場合よりはるかに低い。
腋窩動脈カテーテルの合併症には血腫がある。その発生頻度は低いが,腕神経叢を圧迫することで永続的な末梢神経障害に至る恐れがあるため,血腫形成の際には緊急ケアが必要となりうる。腋窩動脈カテーテルをフラッシュすると,空気または血栓が生じる場合がある。これらの塞栓子による神経学的続発症を避けるために,カテーテル挿入には左腋窩動脈が選択されるべきである(左腋窩動脈は右腋窩動脈よりも頸動脈から遠位である)。
骨髄内輸液
通常,静注で投与される輸液または物質(血液製剤を含む)はいずれも,特定の長管骨の髄腔に挿入した頑丈な針を介して投与することができる。輸液は,静注の場合と同様の速さで中心循環に達する。この方法は,もっぱら乳児と幼児(骨皮質が薄くて簡単に貫通できるうえ,特にショックまたは心停止のときは末梢静脈および中心静脈の確保が極めて困難なので)に用いるが,年長の患者に用いることもできる。
手技:
スタイレット付きの骨髄内輸液用の特殊な針が用いられる。小児において選択される挿入部位は,脛骨近位部と大腿骨遠位部のいずれかである;挿入部位周辺は消毒処置され,手術部位として清潔領域とする。脛骨の場合,針は広くて平らな前内側面の,脛骨結節から1〜2cm遠位部に挿入される。大腿骨の場合,挿入場所は正中線において外側顆の3cm上方である。児童では,脛骨遠位部の内果から2cm上方の内側面が挿入しやすい場合もある。
どの部位でも,針は回転性のくりぬくような動作で挿入する。手袋をした指先で針の軸を皮膚表面で安定させることにより,コントロールし易くなり,皮質を貫通するとすぐに針の前進を止められる。髄腔に到達したらスタイレットを外して注入を始める。
合併症:
挿入時のコントロールがよくないと,針が反対側の皮質から突き出る場合がある。この場合は,位置を調整したつもりでも輸液が多量に軟部組織に入ることになるため,別の骨上でやり直すべきである。骨髄炎が起こる場合もあるが,一般的ではない(例,2〜3%未満)。成長板の損傷は報告されていない。その他の合併症には,出血,コンパートメント症候群などがある。
最終改訂月 2005年11月
最終更新月 2005年11月
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