メルクマニュアル18版 日本語版
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乏尿

乏尿とは,尿排出量が成人において24時間で500mL未満,または成人もしくは小児で0.5mL/kg/時未満(新生児では1mL/kg/時未満)の状態である。

病因

乏尿は,腎前性(血流関連),腎性(内因性腎疾患)または腎後性(膀胱頸部の閉塞)の原因で起こりうる。そのような原因は数多くあるが(腎不全: 急性腎不全を参照 ),入院患者の急性乏尿の大部分は限られた原因によって引き起こされる。

腎前性乏尿は腎血流灌流の低下によって起こる。最もよくある原因は,循環血液量の減少,心拍出量の減少,および全身血管抵抗の低下(例,敗血症)である。これらの症状はしばしば同時に存在し,急速(すなわち,1時間以内)に尿排出量を減少させる。

腎性の原因は主に急性尿細管壊死(ATN)であり,ATNの最も多い原因には,持続性低灌流(4時間を超える),X線造影剤,横紋筋融解症,および腎毒性薬物(例,アミノ配糖体系および他の抗生物質やNSAID)などがある。

腎後性の原因は閉塞性のもので,前立腺肥大,結石,フォーリーカテーテルの閉塞,および神経因性膀胱などによる。

評価

病歴: 意思の疎通が可能な患者では,排泄の顕著な衝動は膀胱頸部の閉塞を示唆する一方,喉が渇き,排泄の衝動がないことは体液量減少を示唆する。意識混濁(そしておそらく膀胱留置カテーテル挿入)患者の場合,正常血圧の患者における突然の尿流量減少はカテーテルの閉塞または位置の移動を示唆し,一方で徐々に減少する場合はATNまたは腎前性が原因である可能性が高い。

最近の血圧記録,外科的処置,薬物およびX線造影剤の投与などの検討を含む,最近の医療上のエピソードの検索が役に立つ。手術または外傷が,循環血液の減少と一致する場合がある。クラッシュ症候群,深部に及ぶ電気熱傷,または熱射病は,横紋筋融解症を示唆する。

身体診察: 循環血液量減少,敗血症,および心不全の徴候を調べるべきである。体表より触知可能な膀胱拡張は膀胱頸部の閉塞を示す。暗褐色の尿はミオグロビン尿症を示唆する。

検査: 尿道カテーテル挿入の全ての乏尿患者(および回腸導管の患者)では,様々な検査を実施する前に,まずカルーテルからの洗浄液注入によって開通性を確かめるべきである;これにより問題が解決する場合もある。残りの多くの患者においては,病因は臨床的に明らかである(例,ショック,敗血症)。その他の患者,特に複合疾患の患者では,腎前性と腎性(ATN)の原因を鑑別するために検査が必要となる。中心静脈または肺動脈カテーテルが挿入されている場合,体液の過不足が(肺動脈カテーテルの場合は心拍出量も)確認できる。しかしながら,多くの医師は,他の適応がない限り,急性乏尿に対してこうしたカルーテルの挿入を行わない。体液過剰の徴候のない患者における代わりの鑑別法は,検査用ボーラス輸液,すなわち0.9%生理食塩水500mL(小児では20mL/kg),を急速に注入する方法であり,これにより尿量が増加すれば腎前性の原因が示唆される。

臨床検査では血清電解質,血中尿素窒素(BUN),およびクレアチニンが標準的である;しばしば,尿中Naおよび尿中クレアチニン濃度も検査する。腎前性の病態では,腎臓が正常な状態でもATNの場合でも,一般的に,BUN/クレアチニン比が20以上 vs 10以下になる。腎前性病態において,腎臓は血管内容量を維持するために最大Naを保持しようとするため,尿中Naが20mEq/L未満となる。ATNでは,尿中Naは通常40mEq/Lを超える。Na排泄分画(FENA)は,腎臓のNa保持能力をより正確に表し,以下の式で定義される:

算出の値が1未満の場合,腎臓がNaを再吸収できることを示唆し,したがって原因は腎前性である。値が1を超える場合,原因が腎性である可能性を示唆する。

治療

特定した原因を治療する;排出障害を改善し,体液を補充し,心拍出量を正常化する。腎毒性薬物を中止し,他の薬物を代わりに使用する。さらなる腎傷害を予防するために,低血圧は避けるべきである。非可逆的な腎不全の患者は,腎代償療法(例,持続的静脈―静脈血液濾過または血液透析)を必要とする場合がある。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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