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高血圧は安静時収縮期血圧(140mmHg以上),拡張期血圧(90mmHg以上),またはその両方が持続的に上昇した状態である。原因が分からない高血圧(原発性;以前は本態性高血圧症)は最も一般的であり,原因が分かっている高血圧(二次性高血圧症)は通常,腎障害により引き起こされる。高血圧が重症または長期的でない限り通常,症状はない。診断は血圧測定により行う。原因を特定し,障害を評価し,その他の心血管危険因子を同定するために検査を行うことがある。治療にはライフスタイルの変更,および利尿薬,β遮断薬,ACE阻害薬,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬,カルシウムチャネル拮抗薬などの薬物がある。
米国には約5000万人の高血圧患者がいる。これらのうち自らの高血圧に気づいている患者は約70%にすぎず,治療されているのは59%のみで,血圧が十分にコントロールされているのは34%にすぎない。成人では,高血圧は白人(23%)またはメキシコ系アメリカ人(23%)に比べて黒人(32%)に多く,罹病率および死亡率も黒人でより高い。
血圧は年齢とともに上昇する。65歳を超える人の約2 /3に高血圧がみられ,55歳で血圧が正常な人が高血圧になる生涯リスクは90%である。高血圧は年齢とともに非常によくみられるようになるため,加齢による血圧の上昇は無害と思われることがあるが,血圧の上昇は罹病および死亡のリスクを上昇させる。妊娠中に高血圧になることがある(妊娠中の合併症: 妊娠中の高血圧を参照 および妊娠の異常: 子癇前症および子癇を参照 の子癇前症および子癇参照)。
病因
高血圧は,原発性(症例の85〜95%)または二次性である。
原発性高血圧:
血行動態および生理的成分(例,血漿量,血漿レニン活性)は様々で,原発性高血圧は単一の原因によるものと考えられないことが示唆される。当初はたとえ1つの因子によるものであっても,上昇した血圧の維持には複数の因子が関与していると考えられる(モザイク説)。全身の輸入細動脈において,平滑筋細胞の筋線維膜のイオンポンプ機能不全が慢性的な血管緊張増強をもたらすことがある。遺伝は素因となるが,正確な機序は不明である。環境因子(例,食事由来のNa,肥満,ストレス)は,遺伝的感受性のある者にのみ作用すると考えられる。
二次性高血圧:
原因には,腎実質性疾患(例,慢性糸球体腎炎または腎盂腎炎,多嚢胞性腎疾患,結合組織疾患,閉塞性尿路疾患),腎血管性疾患(後述参照),褐色細胞腫,クッシング症候群,原発性アルドステロン症,甲状腺機能亢進症,粘液水腫,および大動脈縮窄症がある。過度のアルコール摂取および経口避妊薬の服用は,治癒可能な高血圧の最も一般的な原因である。交感神経作用薬,コルチコステロイド,コカイン,または甘草の使用は一般的に高血圧の一因となる。
病態生理
血圧は心拍出量に全末梢血管抵抗(TPR)を乗じたものに等しいため,発症機序には心拍出量の増加,全末梢血管抵抗の上昇,またはその両方が関与していることになる。
ほとんどの患者では心拍出量は正常か,またはわずかに増加し,全末梢血管抵抗は上昇する。このパターンは,原発性高血圧および褐色細胞腫,原発性アルドステロン症,腎血管性疾患,腎実質性疾患による高血圧に典型的である。
その他の患者では(おそらく大型静脈の静脈収縮のため)心拍出量は増加し,全末梢血管抵抗はその心拍出量に対する値としては不適切に正常である;本疾患後期では,おそらく自己調節により全末梢血管抵抗が上昇し,心拍出量が正常に戻る。心拍出量を増加させる疾患(甲状腺中毒症,動静脈瘻,大動脈弁閉鎖不全)には,特に1回拍出量が増加するとき,孤立性の収縮期高血圧を生じるものもある。一部の高齢患者では,おそらく大動脈およびその主要分枝における弾性の低下のために,心拍出量が正常または減少している孤立性の収縮期高血圧がみられる。拡張期血圧が高く維持されている患者では,しばしば心拍出量が減少している。
血漿量は血圧の上昇に伴い低下する傾向にあり,まれに血漿量は正常のままか増加する。原発性アルドステロン症または腎実質性疾患による高血圧では,血漿量は増加する傾向にあり,褐色細胞腫による高血圧ではかなり低いことがある。拡張期血圧が上昇し,細動脈硬化が始まると,腎血流量は徐々に低下する。糸球体濾過率は本疾患後期まで正常のままであるため,結果的に濾過率は増加する。冠血流量,脳血流量,および筋血流量は,これらの血管床に重度のアテローム硬化が併存していない限り維持される。
Na輸送の異常:
一部の高血圧患者では,Na-Kポンプ(Na+,K+-ATPase)の欠損もしくは阻害,または+透過性の増大により,細胞壁のNa輸送が異常を来す。その結果,細胞内Naが増加し,交感神経刺激に対する細胞感受性が高まる。Naに次いでCaが増加するため,感受性の増大は細胞内Caの蓄積によるものと考えられる。+,K+-ATPaseはノルエピネフリンを交感神経に送り返す(したがって,この神経伝達物質を不活性化する)ことがあるため,この機序の阻害はノルエピネフリンの作用も増強し,血圧を上昇させることがある。高血圧の親をもつ正常血圧小児では,Na輸送の欠陥が起こることがある。
交感神経系:
交感神経刺激は通常,正常血圧患者よりも高血圧前症患者(血圧120〜139/80〜89mmHg)または高血圧患者(収縮期血圧140mmHg以上,拡張期血圧90mmHg以上,またはその両方)において,一層血圧を上昇させる。この過剰反応性が交感神経系にあるのか,心筋および血管平滑筋にあるのかは不明である。安静時脈拍数の増加は,交感神経活性の亢進によるといわれている高血圧の予測因子としてよく知られている。一部の高血圧患者では,安静時の循環血漿中カテコールアミン濃度が正常値を上回る。
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系:
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系は血液量,したがって,血圧を調節するのに役立つ。傍糸球体装置で生成される酵素であるレニンは,アンジオテンシノーゲンからアンジオテンシンⅠへの変換を触媒する。この非活性産物は主に肺,他に腎臓および脳においてACEによる開裂を受けてアンジオテンシンⅡになり,この強力な血管収縮物質は脳の自律神経中枢も刺激して交感神経性放電を増大させ,アルドステロンおよび抗利尿ホルモンの遊離を刺激する。アルドステロンおよび抗利尿ホルモンはNaおよび水の貯留を引き起こし,血圧を上昇させる。アルドステロンはカリウムの排泄も強化し,血漿カリウム濃度が低いと(3.5mEq/L未満),カリウムチャネルの閉鎖により血管収縮が増す。循環血液中に検出されるアンジオテンシンⅢは,アンジオテンシンⅡと同様に活発にアルドステロンの遊離を刺激するが,昇圧作用ははるかに弱い。キマーゼ酵素もアンジオテンシンⅠをアンジオテンシンⅡに変換するため,ACEを阻害する薬物はアンジオテンシンⅡの産生を十分に抑制しない。
レニンの分泌は,互いに排他的でない,少なくとも4つの機序によりコントロールされる:(1)腎血管受容体が輸入細動脈壁の張力変化に反応する;(2)密集斑受容体が遠位尿細管におけるNaCl濃度または輸送速度の変化を検出する;(3)血中のアンジオテンシンがレニン分泌に対して負のフィードバックをもたらす;および(4)交感神経系が腎臓の支配によりβ受容体を介してレニン分泌を刺激する。
アンジオテンシンは少なくとも発症早期において一般に腎血管性高血圧の原因と考えられているが,原発性高血圧におけるレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の役割は確立されていない。しかしながら,黒人および高齢の高血圧患者ではレニン濃度が低い傾向にある。高齢者ではアンジオテンシンⅡ濃度も低い傾向にある。
慢性腎実質性疾患による高血圧(腎欠損性高血圧)は,レニン依存的機序と体液量依存的機序が組み合わさって起こる。たいていの場合,レニン活性の増加は末梢血中では明らかでない。高血圧は典型的には中等度で,Naおよび水のバランスに感受性を示す。
血管拡張物質の不足:
血管収縮物質(例,アンジオテンシン,ノルエピネフリン)の過剰ではなく,血管拡張物質(例,ブラジキニン,一酸化窒素)の不足が高血圧を引き起こすことがある。(腎実質性疾患または両側腎切除のために)腎臓が十分な量の血管拡張物質を産生しない場合,血圧は上昇しうる。血管拡張物質および血管収縮物質(主にエンドセリン)は内皮細胞でも産生される。したがって,内皮障害は血圧に大きく影響する。
病理と合併症:
高血圧の初期には病理学的変化は起こらない。重度または長期の高血圧は標的器官(主に心血管系,脳,腎臓)に損傷を与え,冠動脈疾患(CAD),心筋梗塞,脳卒中(特に出血性),および腎不全のリスクを高める。この機序には,全身性の動脈硬化の発生およびアテローム発生の加速が関与している(動脈硬化を参照 )。細動脈硬化は中膜の肥大,過形成,およびヒアリン化を特徴とし,小さい細動脈において特に明らかで,眼および腎臓において顕著にみられる。腎臓では,この変化により細動脈内腔が狭くなり,全末梢血管抵抗が上昇するため,高血圧はさらなる高血圧につながる。さらに,いったん動脈が狭窄すると,すでに肥大した平滑筋がさらにわずかでも短縮することにより正常径の動脈よりも大幅に内腔が小さくなる。これらの作用は,高血圧の期間が長くなるに従い,二次的な原因に対する特異的な治療(例,腎血管手術)により血圧が正常に回復する可能性が低くなる理由と考えられる。
後負荷の増大により,左室は徐々に肥大し,拡張機能障害を引き起こす。心室は最終的に拡張し,拡張型心筋症および収縮機能障害による心不全(HF)を引き起こす。胸部大動脈解離は典型的に高血圧の結果として生じ,ほとんど全ての腹部大動脈瘤患者は高血圧を有する。
症状と徴候
標的器官で合併症が起こるまで,高血圧は通常,無症候性である。めまい,顔面潮紅,頭痛,疲労,鼻出血,および神経過敏は合併症を伴わない高血圧では起こらない。重度の高血圧(高血圧緊急症―動脈高血圧: 高血圧緊急症を参照 )は,重度の心血管,神経,腎,網膜の症状(例,症候性の冠動脈アテローム硬化,心不全,高血圧性脳症,腎不全)を引き起こしうる。
第4心音は高血圧性心疾患の最も初期の徴候の1つである。
網膜変化には細動脈狭窄,出血,滲出性病変,脳症を伴う場合は乳頭浮腫がある(網膜疾患: 高血圧網膜症を参照 )。変化は次の4群に分類され(キース,ウェゲナー,およびバーカーの分類による),後者ほど予後が悪い:細動脈狭窄のみ(1度),細動脈の狭窄および硬化(2度),血管の変化に加え,出血および滲出性病変(3度),および乳頭浮腫(4度)。
診断
高血圧は血圧計により診断および分類される。病歴,身体診察,およびその他の検査は,病因を同定し,標的器官が損傷していないかを判断するのに役立つ。
血圧の測定は,2回行い―最初は患者を仰臥位または座位にし,次に患者を2分間以上立たせた後―これを別々の日に計3日行う。これらの測定値の平均が診断に用いられる。血圧は正常,高血圧前症,またはステージ1(軽度)もしくはステージ2の高血圧に分類される(動脈高血圧: 成人における血圧のJNC7分類表 1: を参照)。正常血圧は,乳児および小児では著しく低い(正常な乳幼児や小児の治療へのアプローチ: 血圧を参照 )。
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表 1
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成人における血圧のJNC7分類
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分類
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血圧(mmHg)
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正常
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< 120/80
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高血圧前症
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120–139/80–89
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ステージ1
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140–159(収縮期)
90–99(拡張期)
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ステージ2
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≥ 160(収縮期)
≥ 100(拡張期)
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JNC =高血圧の予防,発見,診断,治療に関する米国合同委員会(Joint
National Committee on Prevention, Detection, Evaluation, and Treatment
of High Blood Pressure)。
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理想的には,血圧は患者が5分以上安静にしてから,1日の別々の時間に測定する。血圧計のカフを上腕に巻きつける。適切なサイズのカフは二頭筋の2 /3を覆い,ゴム袋は上腕周囲の80%以上を覆うのに十分な長さがあり,ゴム袋の幅は上腕周囲の少なくとも40%に等しい。したがって,肥満患者ではより大きなカフが必要である。医療従事者は推定される収縮期血圧よりも上までカフを膨らませ,上腕動脈を聴診しながらゆっくりと空気を抜く。圧下降に伴う最初の心拍が聴かれたときの圧が収縮期血圧である。その音が消失したときが拡張期血圧である。同じ原則に従って,前腕(橈骨動脈)および大腿(膝窩動脈)の血圧を測定する。水銀を含む血圧計が最も正確である。機械的器具は定期的に較正を行うべきであり,自動読取装置はしばしば不正確である。
血圧は両腕で測定し,片腕の血圧が大幅に高い場合は,高い方の値を使用する。血圧は,特に大腿脈拍の消失や遅延がみられる患者において,大動脈縮窄を除外するために(はるかに大きいカフを用いて)大腿でも測定され,縮窄がある場合,血圧は下肢において有意に低い。軽度高血圧または血圧が著しく不安定な場合,血圧測定回数を増やすことが望ましい。高血圧が持続的になる前に血圧測定値が散発的に高くなることがあり,この現象はおそらく,診療所で測定したときは血圧値が高いが,自宅での測定時または24時間血圧モニタリング時には正常を示す“白衣高血圧”と考えられる。しかしながら,極端な血圧上昇と正常な測定値が交互にみられるのは異常であり,褐色細胞腫または認識されていない薬物の使用を示唆する可能性がある。
病歴:
病歴には,既知の高血圧の期間および以前に記録された血圧値;冠動脈疾患,心不全,またはその他の関連合併症(例,脳卒中,腎機能障害,末梢動脈疾患,異脂肪血症,糖尿病,痛風)のあらゆる病歴または症状;および,これらの疾患の家族歴が含まれる。社会歴には,運動レベルおよび喫煙,飲酒,刺激薬(処方薬および違法薬物)の使用がある。食事歴では,塩分および刺激物(例,紅茶,コーヒー,コーラ)の摂取に着目する。
身体診察:
身体診察には身長,体重,胴囲の測定;網膜症の眼底検査(網膜疾患: 症状,徴候,診断を参照 );頸部または腹部の雑音の聴診;および,徹底した心臓検査,呼吸器検査,神経学的検査が含まれる。腎臓肥大および腹部腫瘤について腹部を触診する。末梢動脈の脈拍を評価し,大腿脈拍が弱いか遅延している場合,特に30歳未満の患者において,大動脈縮窄が示唆される。
検査:
高血圧が重症であるほど,また患者が若年であるほど,評価をより広範囲に行う。一般に,高血圧が新たに診断されるときは,標的器官障害および心血管危険因子を検出するルーチン検査を行う。検査には尿検査,スポット尿中アルブミン:クレアチニン比,血液検査(クレアチニン,カリウム,Na,空腹時血漿血糖,脂質組成),および心電図がある。甲状腺刺激ホルモンがしばしば測定される。24時間血圧モニタリング,腎臓の核医学画像診断,胸部X線検査,褐色細胞腫のスクリーニング検査,およびレニン-ナトリウム測定の評価はルーチンに実施する必要はない。末梢血漿レニン活性は,診断や薬物選択に役立たない。
最初の検査および診察の結果に応じて,その他の検査が必要になることがある。尿検査でアルブミン尿(蛋白尿),円柱尿,顕微血尿が検出された場合,または,血清クレアチニンが上昇している場合は(男性で1.4mg/dL以上;女性で1.2mg/dL以上),腎臓の大きさを評価する腎超音波検査により有用な情報が得られることがある。利尿薬の使用に無関係の低カリウム血症患者は,原発性アルドステロン症(副腎障害: 原発性アルドステロン症を参照 )および塩分摂取量の高値について評価する。
心電図上,幅広のノッチのあるP波は心房肥大を示唆し,特異的ではないが,高血圧性心疾患のきわめて初期の徴候の1つとなることがある。心尖部の持続的な突出および虚血の証拠を伴うまたは伴わない異常なQRS電位により示される左室肥大は遅れて起きることがある。これらのうちいずれかの所見がみられる場合,心エコー検査がしばしば行われる。異常な脂質組成または冠動脈疾患の症状を有する患者では,その他の心血管危険因子(例,C反応蛋白)の検査が有益なことがある。
もし大動脈縮窄が疑われるならば,胸部X線検査,心エコー検査,CT,またはMRIが診断の確定に役立つ。
動揺性で顕著な血圧上昇,および頭痛,動悸,頻拍,過度の発汗,振戦,蒼白などの症状がある患者には,褐色細胞腫のスクリーニングを行う(例,血漿遊離型メタネフリンの測定による―副腎障害: 診断を参照 )。
クッシング症候群,結合組織疾患,子癇,急性ポルフィリン症,甲状腺機能亢進症,粘液水腫,末端肥大症,または中枢神経系疾患を示唆する症状がある患者の評価を行う(本書の別の個所を参照)。
予後
血圧が高くなるほど,また網膜変化およびその他の標的器官障害の証拠が重度であるほど,予後は不良である。収縮期血圧は,致死的または非致死的な心血管イベントを拡張期血圧より的確に予測する。治療しない場合,網膜硬化,眼底の綿花状白斑,細動脈狭窄,および出血がみられる患者(3度網膜症)の1年生存率は10%未満であり,以上の変化に加えて乳頭浮腫がみられる患者(4度網膜症)では5%未満である。冠動脈疾患は治療を受けた高血圧患者に最も多くみられる死因である。虚血性または出血性の脳卒中は,治療が不適切な高血圧によくみられる結果である。しかしながら,高血圧の効果的なコントロールはほとんどの合併症を防ぎ延命する。
一般的治療
原発性高血圧は治癒することはないが,二次性高血圧一部の原因は修正できる。あらゆる場合において,血圧のコントロールは有害な結果を大幅に制限できる。治療の理論的な有効性にもかかわらず,米国では高血圧患者の1/3しか,望ましいレベルにまで血圧が下げられていない。
全ての患者において,血圧を140/90mmHg未満まで下げることが治療目標であり,腎疾患または糖尿病を有する患者の場合,目標は130/80mmHg未満,または耐えられる限りこれに近いレベルである。高齢者および体力の低下した高齢者であっても,60〜65mmHgの低い拡張期血圧によく耐えることができ,心血管イベントの増加もみられない。患者または家族が血圧測定の指導を受け,注意深いモニタリングと定期的な血圧計較正が行われるのであれば,自宅での血圧測定が理想的である。一部の降圧薬は胎児に害を及ぼす可能性があるため,妊娠中の高血圧治療には特別な配慮を要する(妊娠中の合併症: 診断と治療を参照 )。
ライフスタイルの是正:
推奨事項には,少なくとも1日30分間の定期的な有酸素身体運動を週の大半行うこと;体格指数が18.5〜24.9になるまで減量すること;禁煙すること;果物や野菜が豊富な食事,および飽和脂肪や総脂肪含有量を減らした低脂肪乳製品を摂取すること;食事性Naの摂取量を1日2.4g未満(6g未満のNaCl)にすること;および,アルコール摂取量を男性では1日30mL以下,女性では1日15mL以下にすることが含まれる。標的器官障害の徴候がみられないステージ1(軽症)高血圧では,ライフスタイルの変更により薬物が不要になることがある。合併症のない高血圧患者では,血圧がコントロールされている限り,活動を制限する必要はない。食事の変更は,糖尿病,肥満,および脂質代謝異常のコントロールにも役立つ。高血圧前症の患者は,ライフスタイルに関するこれらの推奨事項に従うよう勧められる。
薬物:
もしライフスタイルを是正してから6カ月後に収縮期血圧が140mmHgを超えたまま,または拡張期血圧が90mmHgを超えたままならば,降圧薬が必要である。高血圧が重症でない限り,薬物は通常,低用量から開始する。全ての高血圧前症患者,または高血圧に糖尿病,腎疾患,標的器官障害,もしくは心血管危険因子が併存している患者,および初期血圧が160/100mmHgを上回る患者では,ライフスタイルの変更と同時に薬物の投与を開始する。高血圧緊急症の徴候がある場合,非経口の降圧薬を用いて直ちに血圧を下降させる必要がある。
ほとんどの高血圧患者では,1つの薬物,通常はサイアザイド系利尿薬が最初に投与される。患者の特性および合併症により,その他の薬物を最初に使用するか,またはサイアザイドに加えることができる。低用量アスピリン(81mg,1日1回)は高血圧患者における心イベントの発生率を低下させるようであり,忍容性があり禁忌でない場合に推奨される。
降圧薬の中には特定疾患に禁忌のもの(例,喘息におけるβ遮断薬),または特定疾患に特別に適応されるもの(例,狭心症に対するβ遮断薬またはカルシウムチャネル拮抗薬,糖尿病または蛋白尿に対するACE阻害薬―動脈高血圧: 降圧薬クラスの選択表 2: および表: を参照)がある。単剤使用の場合,カルシウムチャネル拮抗薬(例,ジルチアゼム)には黒人男性が最もよく反応する。サイアザイド系は60歳を超える人および黒人において,特に効果的なようである。
もし最初の薬物が無効または耐えられない副作用を有するならば,別の薬物に変えてもよい。もし最初の薬物の効果が部分的でしかないが忍容性は良好ならば,増量するか,または異なる機序の第二選択薬を追加してもよい。
もし最初の収縮期血圧が160mmHgを超えるならば,2剤がしばしば使用される。選択肢には,β遮断薬,ACE阻害薬,またはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬と利尿薬の併用,およびACE阻害薬とカルシウムチャネル拮抗薬の併用がある。適切な組み合わせと用量を決定する;多くは配合剤として利用可能で,これによりコンプライアンスが向上する(
表: )。重症または難治性高血圧では,3剤または4剤が必要となることがある。
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表 2
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降圧薬クラスの選択
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薬物
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適応
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利尿薬*
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高齢
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黒人
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心不全
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肥満
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β遮断薬*
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若年
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白人
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狭心症
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心房細動(心室応答をコントロールするため)†
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本態性振戦
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高心拍出量状態
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片頭痛†
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発作性上室性頻拍†
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心筋梗塞後(心保護作用)*†
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長時間作用型カルシウムチャネル拮抗薬
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高齢
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黒人
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狭心症
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不整脈(例,心房細動,発作性上室性頻拍)
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高齢患者における孤立性収縮期高血圧(ジヒドロピリジン系)*
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冠動脈疾患リスクが高い(非ジヒドロピリジン系)*
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ACE阻害薬‡
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若年
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白人
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収縮機能不全による左室不全*
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腎症を伴うⅠ型糖尿病*
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慢性腎障害または糖尿病性糸球体硬化症における重症蛋白尿
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他の薬物によるインポテンス
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アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬‡
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若年
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白人
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ACE阻害薬が適応であるが咳のため忍容性がない状態
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腎症を伴うⅡ型糖尿病
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*無作為試験で罹病率および死亡率が低下。
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†内因性交感神経刺激作用をもたないβ遮断薬。
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‡ 妊娠中は禁忌。
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適切なコントロールを得るには,薬物療法の数回の評価と変更がしばしば必要である。血圧が許容レベルに達するまで,用量調節や薬物追加へのためらいは克服しなければならない。特に,生涯にわたる治療が必要であるため,患者のコンプライアンスの欠如は適切な血圧コントロールの妨げとなりうる。
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表 3
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ハイリスク患者に対する降圧薬
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合併症状
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薬物クラス
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心不全
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ACE阻害薬
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アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
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β遮断薬
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カリウム保持性利尿薬
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その他の利尿薬
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心筋梗塞後
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β遮断薬
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ACE阻害薬
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カリウム保持性利尿薬
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心血管危険因子
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β遮断薬
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ACE阻害薬
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利尿薬
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カルシウムチャネル拮抗薬
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糖尿病
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利尿薬
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β遮断薬
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ACE阻害薬
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アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
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カルシウムチャネル拮抗薬
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慢性腎疾患
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ACE阻害薬
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アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
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再発性脳卒中のリスク
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ACE阻害薬
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利尿薬
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表 4
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高血圧に対する併用薬
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クラス
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薬物
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利用可能な力価(mg/mg)
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利尿薬/利尿薬
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トリアムテレン/ヒドロクロロチアジド
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37.5/25, 50/25, 75/50
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スピロノラクトン/ヒドロクロロチアジド
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25/25, 50/50
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アミロライド/ヒドロクロロチアジド
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5/50
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β遮断薬/利尿薬
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プロプラノロール/ヒドロクロロチアジド
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40/25, 80/25
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メトプロロール/ヒドロクロロチアジド
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50/25, 100/25
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アテノロール/クロルタリドン
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50/25, 100/25
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ナドロール/ベンドロフルメチアジド
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40/5, 80/5
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チモロール/ヒドロクロロチアジド
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10/25
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プロプラノロールLA(長時間作用型)/ヒドロクロロチアジド
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80/50, 120/50, 160/50
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ビソプロロール/ヒドロクロロチアジド
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2.5/6.25, 5/6.25, 10/6.25
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アドレナリン阻害薬/利尿薬
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グアネチジン/ヒドロクロロチアジド
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10/25
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メチルドパ/ヒドロクロロチアジド
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250/15, 250/25, 500/30, 500/50
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メチルドパ/クロロチアジド
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250/150, 250/250
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レセルピン/クロロチアジド
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0.125/250, 0.25/500
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レセルピン/クロルタリドン
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0.125/25, 0.25/50
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レセルピン/ヒドロクロロチアジド
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0.125/25, 0.125/50
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クロニジン/クロルタリドン
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0.1/15, 0.2/15, 0.3/15
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ACE阻害薬//利尿薬
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カプトプリル/ヒドロクロロチアジド
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25/15, 25/25, 50/15, 50/25
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エナラプリル/ヒドロクロロチアジド
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5/12.5, 10/25
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リシノプリル/ヒドロクロロチアジド
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10/12.5, 20/12.5, 20/25
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フォシノプリル/ヒドロクロロチアジド
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10/12.5, 20/12.5
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キナプリル/ヒドロクロロチアジド
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10/12.5, 20/12.5, 20/25
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ベナゼプリル/ヒドロクロロチアジド
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5/6.25, 10/12.5, 20/12.5, 20/25
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モエキシプリル/ヒドロクロロチアジド
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7.5/12.5, 15/25
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アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬/利尿薬
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ロサルタン/ヒドロクロロチアジド
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50/12.5, 100/25
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バルサルタン/ヒドロクロロチアジド
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80/12.5, 160/12.5
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イルベサルタン/ヒドロクロロチアジド
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75/12.5, 150/12.5, 300/12.5
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カンデサルタン/ヒドロクロロチアジド
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16/12.5, 32/12.5
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テルミサルタン/ヒドロクロロチアジド
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40/12.5, 80/12.5
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カルシウムチャネル拮抗薬/ACE阻害薬
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アムロジピン/ベナゼプリル
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2.5/10, 5/10, 5/20, 10/20
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ベラパミル(徐放性)/トランドラプリル
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180/2, 240/1, 240/2, 240/4
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フェロジピン(徐放性)エナラプリル
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5/5
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血管拡張薬/利尿薬
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ヒドララジン/ヒドロクロロチアジド
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25/25, 50/25, 100/25
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プラゾシン/ポリチアジド
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1/0.5, 2/0.5, 5/0.5
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3種類の併用
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レセルピン/ヒドララジン/ヒドロクロロチアジド
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0.10/25/15
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共感と支援を伴う患者教育は,治療の成功に必須である。
高血圧に対する薬物
利尿薬:
主な薬物クラス(動脈高血圧: 高血圧に対する経口利尿薬表 5: を参照)には,サイアザイド系,ループ利尿薬,およびカリウム保持性利尿薬がある。ループ利尿薬は腎機能の50%以上を失った患者においてのみ,高血圧を治療するために使用され,これらの利尿薬は1日2回投与される。利尿薬は血漿量を適度に減少させ,おそらくNaの細胞内から細胞外への移動を介して,血管抵抗を減少させる。これらの薬物は最も安価な初期療法で,必要用量は特に高齢者では低い(例えば,60歳を超えるほとんどの人にとって,ヒドロクロロチアジド12.5mgは十分である)。サイアザイド系は最も一般的に使用される。これらの薬物は,他の降圧作用に加えて,血管内容量が正常な限り,血管拡張を引き起こす。全てのサイアザイド系は等価用量で効果が等しい。
カリウム保持性遠位尿細管利尿薬を除く全ての利尿薬は著しいカリウム喪失を引き起こすため,血清カリウムを濃度が安定するまで1カ月毎に測定する。血清カリウム濃度が正常化されない限り,動脈壁のカリウムチャネルは閉じ,結果として生じる血管収縮は血圧目標値の達成を困難にする。カリウム濃度が3.5mEq/L未満の患者には,カリウム補給薬が投与される。補給薬を低用量で長期間継続するか,またはカリウム保持性利尿薬(例,毎日スピロノラクトンを25〜100mg,トリアムテレンを50〜150mg,アミロライドを5〜10mg)を追加することがある。ジギタリスも服用中の者,心疾患が判明している者,心電図異常がある者,期外収縮または不整脈がある者,または利尿薬服用中に期外収縮もしくは不整脈を発症する者に対しても,補給薬またはカリウム保持性利尿薬の追加が推奨される。カリウム保持性利尿薬は低カリウム血症,高尿酸血症,または高血糖を来すことはないが,高血圧のコントロールについてはサイアザイド系に比べて効果が劣るため,初期治療には用いられない。ACE阻害薬またはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬が用いられるときは,これらの薬物が血清カリウム濃度を上昇させるため,カリウム保持性利尿薬または補給薬は必要ない。
ほとんどの糖尿病患者において,サイアザイド系は糖尿病のコントロールに影響しない。まれに,利尿薬は代謝性症候群患者のⅡ型糖尿病を誘発または悪化させる。
サイアザイドおよび関連利尿薬は血清コレステロール濃度(ほとんど低比重リポ蛋白)およびトリグリセリド濃度を軽度に上昇させることがあるが,この作用は1年以上持続しないと考えられる。さらに,これらの値が上昇するのはごく少数の患者のようである。;この上昇は治療4週以内に顕著で,低脂肪食により改善できる。脂質濃度がわずかに上昇する可能性があっても,利尿薬は高脂血症患者において禁忌とならない。
遺伝的素因は,利尿薬誘発性高尿酸血症による少数の痛風症例を説明すると思われる。痛風のない利尿薬誘発性高尿酸血症の場合,治療や利尿薬の中止は必要ない。
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表 5
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高血圧に対する経口利尿薬
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薬物
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通常の投与量*(mg)
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主な副作用
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サイアザイドおよび関連利尿薬
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ベンドロフルメチアジド
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2.5–5,1日1回(最大:20)
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低カリウム血症(ジギタリス毒性を増加させる),高尿酸血症,耐糖能異常,高コレステロール血症,高トリグリセリド血症,高カルシウム血症,男性の性機能障害,脱力,発疹;血中リチウム濃度上昇の可能性
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クロロチアジド
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62.5–500,1日2回(最大:1000)
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クロルタリドン
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12.5–50,1日1回
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ヒドロクロロチアジド
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12.5–50,1日1回
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ヒドロフルメチアジド
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12.5–50,1日1回
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インダパミド
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1.25–5,1日1回
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メチクロチアジド
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2.5–5,1日1回
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メトラゾン(即放型)
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0.5–1,1日1回
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メトラゾン(徐放性)
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2.5–5,1日1回
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カリウム保持性利尿薬
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アミロライド
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5–20,1日1回
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高カリウム血症(特に腎不全患者,およびACE阻害薬,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬,またはNSAIDで治療されている患者),悪心,消化管障害,女性化乳房,月経不順(スピロノラクトン);血中リチウム濃度上昇の可能性
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エプレレノン†
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25–100,1日1回
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スピロノラクトン†
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25–100,1日1回
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トリアムテレン
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25–100,1日1回
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*腎不全患者に対してはこれより高用量が必要な場合もある。
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†アルドステロン受容体拮抗薬
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β−
遮断薬:
これらの薬物(動脈高血圧: 高血圧に対するβ 遮断薬表 6: を参照)は心拍を遅らせ,心筋収縮力を減少させ,したがって血圧を下降させる。全てのβ遮断薬は同様の降圧効果を有する。糖尿病,慢性末梢動脈疾患,または慢性閉塞性肺疾患の患者では,心選択性のβ遮断薬(アセブトロール,アテノロール,ベタキソロール,ビソプロロール,メトプロロール)が好ましいが,心選択性は相対的なものにすぎず,用量の増加に従い低下する。心選択性β遮断薬であっても,喘息の場合,または気管支攣縮の関与が強いCOPDの場合は禁忌である。
β遮断薬は,狭心症患者,心筋梗塞既往患者,または心不全患者において特に有用である。これらの薬物はもはや高齢者にとって問題であると考えられていない。
内因性交感神経刺激作用をもつβ遮断薬(例,アセブトロール,カルテオロール,ペンブトロール,ピンドロール)は血清脂質に悪影響を及ぼさず,重度の徐脈を引き起こす可能性が低い。
β遮断薬には中枢神経系の副作用(睡眠障害,疲労,嗜眠)があり,抑うつを悪化させる;ナドロールは中枢神経系への影響が最も少なく,中枢神経系への作用を避ける必要があるときに,おそらく最適である。β遮断薬は2度または3度の房室ブロック,喘息,または洞不全症候群の患者では禁忌である。
カルシウムチャネル拮抗薬:
ジヒドロピリジン系(動脈高血圧: 高血圧に対するカルシウムチャネル拮抗薬表 7: を参照)は強力な末梢血管拡張薬であり,全末梢血管抵抗を低下させることにより血圧を下降させ,ときに反射性頻拍を引き起こす。非ジヒドロピリジン系のベラパミルおよびジルチアゼムは心拍数を減少させ,房室伝導を抑制し,心筋収縮を弱める;これらの薬物は2度または3度の房室ブロック患者や左室不全患者に処方すべきでない。
長時間作用型のニフェジピン,ベラパミル,またはジルチアゼムは高血圧治療に用いられるが,短時間作用型のニフェジピンおよびジルチアゼムは心筋梗塞の高発生率と関連しており,すすめられない。
狭心症および気管支痙攣疾患の患者,冠動脈攣縮患者,またはレイノー病患者には,β遮断薬よりもカルシウムチャネル拮抗薬が選択される。
ACE阻害薬:
これらの薬物(動脈高血圧: 高血圧に対するACE阻害薬およびアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬表 8: を参照)は,アンジオテンシンⅠからアンジオテンシンⅡへの変換を阻害し,ブラジキニンの分解を阻害することにより血圧を低下させ,それにより反射性頻拍を引き起こすことなく末梢血管抵抗を低下させる。これらの薬物は,血漿レニン活性に関係なく,多くの高血圧患者の血圧を下降させる。これらの薬物には腎保護作用があるため,糖尿病患者への選択薬であり,黒人患者に選択されることがある。
刺激性の乾性咳嗽は最もよくみられる副作用だが,血管性浮腫が最も重篤で,もし中咽頭にみられれば致死的になりうる。血管性浮腫は黒人と喫煙者において最もよくみられる。ACE阻害薬は特に慢性腎不全患者,および,カリウム保持性利尿薬,カリウム補給薬,またはNSAID服用中の患者において,血清カリウムおよび血清クレアチニンの濃度を上昇させることがある。ACE阻害薬は降圧薬の中で,最も勃起機能不全を起こしにくい。ACE阻害薬は妊娠中は禁忌である。腎疾患患者では,少なくとも3カ月毎に血清クレアチニンおよび血清カリウムの濃度をモニタリングする。腎不全(血清クレアチニンが1.4mg/dL以上)を有し,ACE阻害薬を投与されている患者は通常,ベースラインから30〜35%の血清クレアチニン上昇まで耐えられる。ACE阻害薬は,血液量減少性患者または重度の心不全,重度の両側腎動脈狭窄,単腎で重度の腎動脈狭窄がある患者において,急性腎不全を引き起こすことがある。
サイアザイド系利尿薬は,他の薬物クラスの降圧薬よりもACE阻害薬の降圧作用を増強する。
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬:
これらの薬物(動脈高血圧: 高血圧に対するACE阻害薬およびアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬表 8: を参照)は,アンジオテンシンⅡ受容体を遮断し,それによりレニン-アンジオテンシン系を阻害する。アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬およびACE阻害薬は,降圧薬と同等の効果があり,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬は組織のACE遮断により,相加効果をもたらすことがある。2つの薬物クラスは,左室不全またはI型糖尿病による腎症を有する患者において,同等の効果を示す。アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬をACE阻害薬またはβ遮断薬と併用すると,心不全患者の入院率が低下する。アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬は,初期の血清クレアチニンが3mg/dL以下の60歳未満の人では,安全に開始できると考えられる。
副作用の発現率は低く,血管性浮腫が起きるものの,ACE阻害薬よりもはるかに発生頻度が低い。腎血管性高血圧,血液量減少,および重度の心不全がある患者におけるアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬の使用上の注意は,ACE阻害薬の使用上の注意と同様である。アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬は,妊娠中は禁忌である。
アドレナリン修飾薬:
この薬物クラス(動脈高血圧: 高血圧に対するアドレナリン修飾薬表 9: を参照)には,中枢性α2作動薬,シナプス後α1遮断薬,および末梢作用性アドレナリン遮断薬がある。
α2
作動薬(例,メチルドパ,クロニジン,グアナベンズ,グアンファシン)は,脳幹内のα2
アドレナリン受容体を刺激し,交感神経作用を抑制し,血圧を下降させる。そうした作動薬は中枢作用をもつため,その他の降圧薬に比べて眠気,嗜眠,抑うつを起こしやすく,もはや広く用いられていない。クロニジンは1週間に1回,パッチとして経皮的に適用できるため,コンプライアンスのない患者に有用なことがある(例,認知症患者)。
シナプス後α1遮断薬(例,プラゾシン,テラゾシン,ドキサゾシン)は,死亡率に対する有益性がないことが証拠により示唆されるため,もはや高血圧の初期治療には用いられない。また,ドキサゾシンの単独使用,または利尿薬以外の降圧薬との併用は心不全のリスクを高める。
末梢作用性アドレナリン遮断薬(例,レセルピン,グアネチジン,グアナドレル)は,組織中の ノルエピネフリン 貯留を涸渇させる。レセルピンは脳内の ノルエピネフリン およびセロトニンも涸渇させる。グアネチジンおよびグアナドレルは,神経効果器接合部における交感神経伝達をブロックする。特に,グアネチジンは強力であるが用量調節が難しいため,めったに使用されない。グアナドレルは作用時間が短く,副作用も少ない。これらの3つのアドレナリン遮断薬は,初期治療としてルーチンには推奨されず,必要な場合に3番目または4番目の薬物として用いられる。
直接血管拡張薬:
これらの薬物(ミノキシジルおよびヒドララジンを含む―動脈高血圧: 高血圧に対する直接血管拡張薬表 10: を参照)は,自律神経系に関係なく血管に直接作用する。ミノキシジルはヒドララジンに比べて強力であるが,Naおよび水の貯留,多毛症(女性は服用継続しにくい)などの副作用が多く,重症難治性高血圧の場合にのみ使用すべきである。ヒドララジンは妊娠中に(例,子癇前症に),補助的降圧薬として使用される。長期で高用量(1日300mgを上回る)のヒドララジンは,薬剤誘発性ループス症候群との関連がみられており,これは薬物を中止すると消散する。
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表 10
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高血圧に対する直接血管拡張薬
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薬物
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通常の投与量(mg)
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主な副作用*
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備考
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ヒドララジン
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10 – 50,1日4回
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抗核抗体検査で陽性,薬物誘発性狼瘡(推奨用量ではまれ)
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その他の血管拡張薬の血管拡張作用を増強させる
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ミノキシジル
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1.25 – 40,1日2回
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Naおよび水の貯留,多毛症;胸水および心膜液貯留の新規発症または悪化の可能性
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重症難治性高血圧の場合にのみ使用する
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*両薬物とも頭痛,頻拍,および体液貯留を引き起こし,冠動脈疾患患者の狭心症を惹起することがある。
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最終改訂月 2007年7月
最終更新月 2005年11月
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