|
Paul H. Tanser, MD
いずれの心臓弁も,狭窄または閉鎖不全を生じ,症状発現よりはるかに前に血行動態の変化を引き起こしうる。弁の狭窄または閉鎖不全は個々の弁で孤立して起こることが最も多いが,複数の弁膜異常が共存することもある。
治療は疾患の重症度によるが,通常はカテーテルによる弁形成術(例,経皮的バルーン交連切開術,弁切開術)または手術(例,外科的交連切開術,弁修復術,弁置換術)を行う。生体弁(ブタ)および機械弁(金属)の2種類の人工弁が使用される。
生体弁は10〜12年で劣化するため,伝統的には,65歳未満の患者およびそれより高齢で余命の長い高齢患者には機械弁が用いられている。機械弁を使用している患者は生涯にわたりINRを2.5〜3.5に保つため抗凝固療法を受け(血栓塞栓症を予防するため),何らかの医療的または歯科的な手技の前には抗生物質の投与を受ける(心内膜炎を予防するため)必要がある。生体弁は抗凝固療法を必要とせず,65歳を超える患者,それより若年で余命が10年未満の患者,何らかの右心系の病変を有する患者に使用されている。しかしながら,より新しい生体弁は第1世代の弁よりも耐久性があるため,現在では弁の種類に関する患者の好みを考慮できる。
弁置換術を必要とし,妊娠する計画のある妊娠可能年齢の女性は,機械弁に伴うワルファリンによる催奇形性のリスク増大と生体弁に伴う弁の加速的劣化のリスク増大とを比較検討しなければならない。これらのリスクは,妊娠の最初の12週間および最後の2週間にワルファリンの代わりにヘパリンを使用するか,心エコー検査による頻回のモニタリングを行うことにより低減できる。
心内膜炎予防も,弁膜異常を有するほぼ全ての患者に適応となる(心内膜炎: 抗菌薬による心内膜炎予防を必要とする手技を参照 表 3: )。
最終改訂月 2007年3月
最終更新月 2005年11月
|