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非感染性心内膜炎

Lawrence L. Pelletier, Jr., MD

非感染性心内膜炎(非細菌性血栓性心内膜炎)とは,外傷,循環血液中の免疫複合体,脈管炎,または凝固能亢進状態に対する反応として,無菌性の血小板やフィブリン血栓が心臓の弁および隣接する心内膜に形成されることを指す。症状は全身性の動脈塞栓症と同じである。診断には心エコー検査を用い,血液培養が陰性であることを確認する。治療には抗凝固薬を用いる。

病因と病態生理

感染ではなく物理的外傷によって疣贅が生じる。疣贅は,臨床的に発見できないこともあるが,感染病巣となったり(感染性心内膜炎を引き起こす),塞栓を生じたり,弁機能を障害することもある。

右心系を通過するカテーテルにより三尖弁や肺動脈弁が損傷することがあり,損傷個所に血小板とフィブリンが付着する。SLEなどの疾患においては,循環血液中の免疫複合体によって脆弱な血小板とフィブリンの疣贅が弁尖の閉鎖部分に沿って形成されることがある(リブマン-サックス病変)。これらの病変は通常は重大な弁の閉塞や逆流を引き起こさない。抗リン脂質抗体症候群(ループス抗凝固因子,再発性静脈血栓症,脳卒中,自然流産,網状皮斑)も,無菌性心内膜炎疣贅および全身性塞栓を生じさせることがある。まれに,ヴェーゲナー肉芽腫症から非感染性心内膜炎を発症することがある。

衰弱性心内膜炎: 慢性消耗性疾患,汎発性血管内凝固症候群,ムチン産生性転移癌(肺,胃,膵臓),または慢性感染症(例,結核,肺炎,骨髄炎)の患者では,大きな血栓性疣贅が弁に形成され,脳,腎臓,脾臓,腸間膜,四肢,および冠動脈の重大な塞栓を引き起こすことがある。これらの疣贅は,先天的に異常のある心臓弁やリウマチ熱で傷害を受けた心臓弁に形成される傾向がある。

症状,徴候,診断

疣贅自体は症状を引き起こさない。症状は塞栓形成の結果起こり,その影響を受けた臓器(例,脳,腎臓,脾臓)により異なる。発熱と心雑音がしばしばみられる。

慢性疾患の患者が動脈塞栓症を示唆する症状を発現した場合には,非感染性心内膜炎を疑うべきである。連続的な血液培養(心内膜炎: 診断を参照 )と心エコー検査を行う必要がある。血液培養が陰性であり,弁に疣贅がある(ただし,心房粘液腫がない)場合は,本症が示唆される。塞栓摘出術後の塞栓の断片の検査は,診断の一助になる。血液培養陰性の感染性心内膜炎との鑑別は難しいが,重要である。非感染性心内膜炎ではしばしば抗凝固薬が必要であるが,感染性心内膜炎においては禁忌である。

予後と治療

心病変のためよりも,素因となる疾患が重症であるために,予後は一般的に不良である。抗凝固療法の成績は評価されていないが,治療はヘパリンまたはワルファリンによる抗凝固療法で行う。素因となる疾患を可能な限り治療すべきである。

最終改訂月 2006年11月

最終更新月 2005年11月

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