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めまいは,平衡または歩行の困難を伴う運動の誤った感覚である。典型的には,知覚される運動は回転(ぐるぐる回るまたは旋回する感覚)であるが,単に片側に引っ張られているように感じる患者もいる。患者は,自分または周囲が動いていると感じる。症状は急性かつ重症で,悪心や嘔吐を引き起こすことがあり,反復して起こることがある。
病態生理と病因
安定,運動,および重力に対する方向の知覚は前庭系に由来するが,これは三半規管および2つの耳石器(球形嚢と卵形嚢)から成る。回転運動は,回転面と同じ向きの半規管内の内リンパの流れを引き起こす。内リンパの動きは,流れの向きに応じて,半規管内に並んだ有毛細胞からの神経出力を刺激または抑制する。球形嚢および卵形嚢内の同様の有毛細胞は,炭酸カルシウムの結晶(耳石)の基質に埋め込まれている。重力によって耳石の位置がずれると,付着している有毛細胞からの神経出力が刺激または抑制される。前庭系からの神経インパルスは,第8脳神経に沿って脳幹および小脳内の前庭核に伝達される。そこから,眼運動系,脊髄,大脳皮質へ連絡され,そこで運動の知覚を生む情報が統合される。
めまいは,この伝導路に沿った病変または障害に起因する(耳に問題がある患者へのアプローチ: めまいの原因表 2: )。内耳または第8脳神経の障害により二次的に起こるめまいは末梢性めまいと考えられるのに対して,前庭核および脳幹や小脳内の伝導路の障害により二次的に起こるめまいは中枢性めまいと考えられる。
ときとして,めまいは心因性のことがある。高齢患者は,薬物の副作用または加齢に伴う視力,前庭機能,固有受容能力の低下から二次的に起こる多因子性めまいを生じることがある。
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表 2
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めまいの原因
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良性頭位めまい
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薬物
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感染
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メニエール病
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多発性硬化症
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パニック発作
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外傷
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腫瘍
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血管
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まれ
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評価
一般的な耳鼻咽喉検査とともに,特に第8脳神経(前庭系および聴神経)と小脳の神経学的検査(神経疾患患者へのアプローチを参照 )が重要である。
病歴:
重度の反復性めまいは通常,末梢に由来する。
良性発作性頭位めまい(BPPV,最も一般的な型のめまい,内耳障害: 良性発作性頭位めまいを参照 )が示唆されるのは,横たわって患側に向きを変えた後,またはベッドの中で患側に向きを変えた後数秒で,1分未満の重度の回転性発作が始まる場合である。BPPVはときに持続するが,一般的に自然治癒する。
ウイルス性神経炎が示唆されるのは,難聴を伴わない耐え難いめまいが急性に発症し,最大で1週間続く場合である。症状は徐々に軽減するが,運動に誘発されるめまいが2〜3カ月持続することがある。
急性内耳炎(ウイルス感染または血管閉塞から二次的に起こる)が示唆されるのは,難聴と耳鳴があり,細菌感染の証拠がない場合である。
メニエール病が示唆されるのは,再発性で重度のめまい発作があり,片側性の耳鳴,耳閉感,圧迫感,(初期に)低音域の難聴がある場合である(内耳障害: メニエール病を参照 )。メニエール病の1回の発作は,典型的には20分から数時間続く。初期段階では,難聴は一般的に発作が終わるたびに元に戻るが,後期段階になると難聴は持続し,進行する。メニエール病の症状は軽度の前庭神経炎と似ているため,
1回の発作だけでメニエール病を診断することはできない。
身体診察:
耳の感染またはその他の異常を除外するために,耳,頭部,頸部の身体診察が適応となる。ディックス-ホールパイク法,外眼運動や眼振の検査(耳に問題がある患者へのアプローチ: 眼振を参照 囲み解説 1: )などの,臨床的な前庭検査を行う。ディックス-ホールパイク法でみられた眼振が急速に疲労する場合は,頭位めまいが示唆される。固視によって解消しない眼振および垂直性眼振は,中枢性の病因を示唆する。
検査:
めまい患者に対するガドリニウム造影MRIは,その他の神経学的異常または頭痛が存在するか,または病歴および身体診察で小脳橋角部腫瘍(この場合,第8脳神経の画像を得る)などの中枢神経系の病因が示唆される場合にのみ適応となる。慢性のめまい患者に対しては,CTまたはMRIを実施して,脳卒中,多発性硬化症,その他の中枢神経系の病変を探す。
聴力および前庭機能のベッドサイド検査の結果が異常または不確実な患者に対しては,聴力検査および電気眼振検査による検査を行うべきである。
臨床検査が有用なことはまれであるが,例外として,慢性のめまいと両側性の難聴がある患者には,梅毒を除外するために検査を行うべきである。
慢性の活動性ある患者は,検査を実施して,心臓,神経,代謝性の原因を除外するべきである。
治療
疾患が同定されればそれを治療する。症状の緩和が重要である;最も有効な前庭神経抑制薬は,ジアゼパム(2〜5mg,経口にて6〜8時間毎,重度のめまいの場合は監視下で高用量を投与)および経口抗ヒスタミン薬/抗コリン作用薬(例,メクリジン25〜50mg,経口にて1日3回投与)である。これらの薬物は全て,嗜眠状態を生じうるので,特定の患者への使用は制限される。悪心は,プロクロルペラジンを10mg,筋注にて1日4回または25mg,直腸内に1日2回投与により治療しうる。片側性の前庭の衰弱から二次的に生じる再発性めまいまたは頭位めまいの患者には通常,経験豊富な理学療法士による前庭のリハビリテーション療法が大いに有効である。目標は,脳の能力を強化して片側の耳の前庭機能損失を代償することである。ほとんどの患者は十分に代償されるが,一部の患者,特に高齢者では,困難なことがある。BPPVの患者は一般に,前庭性適応運動または耳石置換法(例,エプリー法またはセモント法,内耳障害: 治療を参照 )のいずれかによく反応する。
最終改訂月 2005年11月
最終更新月 2005年11月
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