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John S. Oghalai, MD
良性発作性頭位めまいにおいては,特定の頭位で短時間(60秒未満)のめまいの発作が起こる。悪心と眼振が生じる。診断は臨床的である。治療は耳石置換法を行う。薬物および手術が適応となることは,あったとしてもまれである。
良性発作性頭位めまい(BPPV)は,再発性耳性めまいの最も一般的な原因である。加齢とともに発症する人が増え,高齢者では平衡機能にかなりの影響が出るため,負傷しかねない転倒を招くこともある。この状態は,平衡砂の結晶(炭酸カルシウムの結晶で,正常には球形嚢および卵形嚢に埋め込まれている)の変位によって引き起こされると考えられている。この変位した物質が後半規管内の有毛細胞を刺激して,動きの錯覚を生み出す。病因は,卵形嚢の耳石膜の自発的変性,内耳震盪,中耳炎,耳の手術,最近のウイルス感染(ウイルス性神経炎など),頭部外傷,長期の麻酔または安静臥床,過去の前庭障害(例,メニエール病),前前庭動脈の閉塞などである。
症状,徴候,診断
めまいは,患者の頭が動いたとき(例,ベッドで寝返りを打ったときや,何かを拾おうとして腰をかがめたとき)に誘発される。急性のめまいは数秒から数分しか続かず,発作のピークは朝で,その日は終日和らぐ傾向がある。悪心や嘔吐が起こることもあるが,難聴や耳鳴は起こらない。
診断は,特徴的症状,ディックス-ホールパイク法(頭位眼振を誘発する検査,耳に問題がある患者へのアプローチ: 眼振を参照 囲み解説 1: )における眼振の確認,神経学的検査でその他の異常がないことに基づく。このような患者に対しては,さらなる検査は不要である。中枢神経系の障害を示唆する眼振を示す患者に対しては,ガドリニウム造影MRIを行う。BPPVの頭位眼振とは違い,中枢神経障害の頭位眼振では,潜伏,疲労現象,重度の自覚症状はなく,その頭位が維持されている限り持続することもある。中枢神経系の障害による眼振は,垂直性,あるいは方向交代性で,回旋性の場合には予想しない方向であることが多い。
治療
BPPVは通常は数週間から数カ月で自然におさまるが,数カ月から数年続くこともある。この状態は長期にわたる可能性があるので,薬物療法(メニエール病[内耳障害: 治療を参照 ]において用いるような)は勧められない。しばしば,薬の副作用により平衡障害が悪化する。
BPPVは疲労性があるので,1つの治療法として,患者に対して日中早いうちに安全な環境で誘発操作を行う方法がある。そうすると,その日1日,症状は最小化される。
耳石置換法(エプリー法―
内耳障害: エプリー法。図 1: ―およびセモント法)では,一連の特定の位置をとるように頭を動かして,位置がずれた耳石を卵形嚢に戻す。これらの操作を実施した後は,患者は1〜2日間,直立または半直立の姿勢を保つべきである。どちらの操作も,必要に応じて繰り返すことができる。
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図 1
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エプリー法。
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この操作は,変位した耳石を卵形嚢に戻すことによって良性頭位めまいを治療するために用いられる。めまいが発生する頭位があれば,めまいがおさまるまでその頭位を維持する。
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セモント法では,患者をストレッチャーの中央に上体を直立にして座らせる。患者の頭を健側の耳の方へ回転させ,操作中ずっとこの回転を維持する。次に,患側耳の方の体側を下にして鼻が上を向いて横たわるように,患者の胴体を横向きにストレッチャーの上に倒す。この姿勢を3分間保った後,頭の位置は戻さずに患者の上体を素早く起こし,今度は反対側に,鼻が下を向くようにして横向きに倒す。この姿勢を3分間保った後,患者の上体をゆっくりと直立に戻し,頭を回転させて正常な位置へ戻す。
最終改訂月 2007年7月
最終更新月 2005年11月
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