メルクマニュアル18版 日本語版
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外耳道炎

外耳道炎は,典型的には細菌による,外耳道の感染である。症状には,かゆみ,痛み,耳漏などがある。診断は視診に基づく。治療は,抗生物質,コルチコステロイド,および/または酢酸などの局所用薬物で行う。

外耳道炎は,限局性の耳せつか,外耳道全体のびまん性感染(広汎性またはびまん性外耳道炎)として現れる。この疾患は,ときに淡水で泳ぐ人がかかるため,しばしばスイマーズイヤーと呼ばれる。悪性外耳道炎(外耳疾患: 悪性外耳道炎を参照 )は,側頭骨の重度の緑膿菌感染である。

病因

びまん性外耳道炎は通常,緑膿菌プロテウス-ブルガリス黄色ブドウ球菌,または大腸菌などの細菌により生じる。真菌性外耳道炎(外耳道真菌症)は,典型的には黒色アスペルギルスまたはカンジダ-アルビカンスによって起こるが,あまり一般的でない。耳せつは通常,黄色ブドウ球菌により発症する。

外耳道炎になりやすい条件としては,アレルギー,乾癬,湿疹,脂漏性皮膚炎,外耳道の酸性度低下(おそらく湖やスイミングプールの水が繰り返し入ったことによる),刺激物(例,ヘアスプレー,頭髪用染料),綿棒やその他の物による過度の耳掃除によって引き起こされた外耳道の不慮の外傷などが挙げられる。外耳道を掃除しようとして,落屑や耳垢を外耳道の奥の方へ押し込んでしまうことがある;こうして蓄積された物質は水を吸収しやすく,その結果,皮膚がふやけて細菌感染のきっかけとなる。

症状と徴候

患者はかゆみと痛みを経験する。ときに,外耳道が腫れたり膿性貯留物で満たされると,嫌な臭いのする耳漏および難聴が生じる。耳介の牽引や耳珠の圧迫に伴う鋭い圧痛がある。耳鏡検査には痛みを伴い,実施は困難である。検査では,外耳道は赤く腫脹し,湿った膿性貯留物が認められる。黒色アスペルギルスによって引き起こされる外耳道真菌症では通常,綿状の物質(真菌の菌糸)に囲まれた灰黒色点または黄点(真菌の分生子柄)が現れる。カンジダ-アルビカンスによって起こる感染は,真菌の目に見える証拠を示さないが,通常,粘度のある乳白色の滲出液がみられる。

耳せつは,重度の痛みを引き起こし,血膿性の物質が排泄されることがある。耳せつは限局的な紅斑性腫脹として現れる。

診断,予防,治療

診断は視診に基づく。大量の耳漏があるときは,外耳道炎と穿孔性中耳炎の鑑別が難しいことがあり,耳介を引っ張ったときに痛みがあれば外耳道炎である。真菌感染は外観で診断する。

外耳道炎は,水泳直後に消毒用アルコールと酢を等量混合したもので耳を洗浄することで,しばしば予防できる。アルコールが水を排出させ,酢が外耳道のpHを変化させる。

びまん性外耳道炎では,抗生物質やコルチコステロイドの局所投与が有効である。まず,膿性貯留物を吸引するか乾いた綿棒でぬぐい,外耳道から静かに完全に取り除くべきである。軽度の外耳道炎は,2%酢酸で外耳道のpHを変えることにより,またヒドロコルチゾンの局所投与で炎症を緩和することにより,治療しうるが,これらは5滴ずつ1日3回,7日間投与する。中等度の外耳道炎では,ネオマイシン,ポリミキシン,バシトラシン,シプロフロキサシンなどの抗菌性の溶液または懸濁液の追加が必要である。外耳道の炎症が比較的重度な場合は,外耳道に綿のガーゼ芯を入れ,1日4回,必要な薬物を染み込ませる。ガーゼ芯を24〜72時間留置すると,腫脹がおさまり,外耳道への直接滴下が可能となる。

重度の外耳道炎または外耳道を越えて広がる蜂巣炎が存在する場合,セファレキシン250mg経口にて1日4回から,500mg経口にて1日2回,またはシプロフロキサシン500mg経口にて1日2回などの抗生物質の全身投与が必要なことがある。ペニシリンアレルギーの患者については,同量のエリスロマイシンでもよい。最初の24〜48時間は,NSAIDあるいは経口オピオイドでもよいのだが,鎮痛薬が必要な場合がある。真菌性外耳道炎では,外耳道を完全に清掃し,抗真菌性溶液(例,ゲンチアナバイオレット,エステルアセテート,ナイスタチン,クロトリマゾール)を用いる必要がある。清掃と治療は繰り返す必要があるだろう。

耳せつは,明らかに目立つ場合,切開して排膿すべきである。しかしながら,もし早期の患者を診察するならば,切開はほとんど効果がない。抗生物質の局所投与は無効であり,抗ブドウ球菌抗生物質を経口投与するべきである。疼痛緩和のために,オキシコドンとアセトアミノフェンの併用などの鎮痛薬が必要な場合がある。乾熱療法でも痛みを和らげ,治癒を早めることができる。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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