メルクマニュアル18版 日本語版
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頸部腫瘤

頸部の触知できる腫瘤は感染性,炎症性,先天性,外傷性または腫瘍性の可能性がある。唾液腺腫脹は同様の原因で生じる(その他のウイルス: 耳下腺炎および他の唾液腺肥大の原因を参照 表 1: 表)。

感染は,ウイルス性および細菌性ともに,口腔咽頭のいずれの部位においても反応性の頸部リンパ節炎を起因する。あまり一般的ではないが,リンパ節の一次細菌感染も起こる。ある種の全身性感染症(例,単核球症,HIV,結核)は通常,孤立性ではなく広汎性の頸部リンパ節腫脹を生じる。

腫瘍には,原発癌および種々の異なる悪性腫瘍のリンパ節転移(上気道または上部消化管,ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫,甲状腺または唾液腺癌),遠隔原発巣(肺,乳房,胃,大腸,腎など)が含まれる。鎖骨上三角の腫瘤の約60%は遠隔部位からの転移である。頸部領域のいずれにおいても,癌性頸部リンパ節腫脹の80%は,上気道あるいは上部消化管から派生する。原発巣の可能性が高い部位は,舌の後部と側縁の境界部および口腔底で,次いで鼻咽頭,口蓋扁桃,喉頭蓋の喉頭面,および梨状陥凹を含む下咽頭である。

評価

病歴: URIまたは咽頭炎の症状後に新しく腫脹が生じ,数日間で増大する場合は,良性の反応性リンパ節腫脹を示唆する。飲酒量または喫煙量(特に嗅ぎタバコもしくは噛みタバコ),不適合な歯科装置,慢性口腔カンジダ症を含めて悪性腫瘍の危険因子を評価する。口腔衛生の不備はリスクと相関する。危険因子を有する患者において,腫瘤が持続して存在する場合は悪性腫瘍を示唆する。有痛性腫瘤は炎症性であることを示唆しているのに対して,無痛性腫瘤は嚢胞または腫瘍を示唆する。持続性の非特異性徴候や症状に対しては,徹底した評価が必要である。

身体診察: 頭皮,耳,鼻腔,口腔,鼻咽頭,口腔咽頭,下咽頭および喉頭は,感染の徴候または肉眼的な病変がないか厳重に観察する(鼻,口腔,および咽頭症状のある患者へのアプローチ: 身体診察を参照 )。赤色または白色粘膜斑(赤板症および白板症)は前癌状態もしくは悪性のことがある。

頸部腫瘤,舌根,甲状腺および唾液腺は触診する。圧痛は炎症を示唆する(特に感染性)。硬く,固定性で圧痛を伴わない腫瘤は悪性腫瘍を示唆するのに対し,可動性があるとそれ以外を示唆する。

脾臓および他のリンパ節は触診する。全身性リンパ節腫脹および脾腫大は伝染性単核球症またはリンパ網内系悪性腫瘍である。

検査: もし腫瘤の性質が容易に判別できるならば(例,最近の咽頭炎より発生したリンパ節腫脹),または健康な若年患者において最近生じた有痛性腫瘤ならば,直ちに検査をする必要はない。しかしながら,患者を定期的に診察し,腫瘤が消退しない場合は,さらなる評価が必要となる。

その他の患者の大部分に対してCBCおよびX線検査を行う。診察により口腔内または鼻咽頭病変を発見し,2週間以内に消退が開始しなかった場合にはX線検査,CT,MRI,または細針生検がある。適応があれば,当該部位を生検すべきである。頭頸部癌の危険因子がない若年患者においても,頸部腫瘤を生検することがある。高齢の患者,特に癌のリスクがある患者は,原発部位を同定するためさらに詳しい検査を受けるべきであり,頸部腫瘤の生検では原発巣が不明なまま単に未分化型扁平上皮癌が判明することがある。このような患者では,喉頭直達鏡,気管支鏡,および食道鏡を行い,疑われる部位全ての生検を実施すべきである。頭頸部と胸部のCT,また可能であれば甲状腺スキャンを実施する。もし原発巣が発見されなければ,その頸部腫瘤は,頸部に分断された腫瘤を残さないという理由から切開生検より望ましい切除生検を受けるべきである。切開生検は,腫瘤が悪性でさらに局所手術を行う予測のもとで実施すべきである。原発巣が未だに同定されないときは,鼻咽頭,口蓋扁桃,および舌根のランダム生検も考慮すべきである。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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