メルクマニュアル18版 日本語版
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歯科装置

歯は外傷で喪失したり,治療の失敗により抜去されることがある。喪失歯は審美,発声および咬合の問題を生じさせ,残存歯の移動を引き起こす。

歯科装置には,固定性のブリッジ,可撤性の部分床義歯または総義歯,骨と一体化したインプラントがある。

ブリッジ(固定性の部分床義歯)は,両端では隣接する天然歯(支台歯)に合着されたクラウン(全部鋳造冠)と鑞着または鋳造されたダミー(架工歯)からなっている。全ての咬合圧に耐えられるようになっている。ブリッジは取り外せない。ブリッジは通常,可撤性部分床義歯よりも小さいが,1個または数個のブリッジを設置して歯列弓の多くの歯を置換しうる。

可撤性の部分床義歯は,典型的には支台歯を挟み込んだクラスプのついた装置で,清掃と就寝時には撤去される。しばしば顎の両側で咬合圧の一部は,義歯の床下の軟組織によって支えられている。この装置は通常,多くの歯を入れ替えなくてはならず,かつブリッジが実現可能でないか,または経済的に可能でない場合に使用される。

総義歯は歯が全く残っていない場合に使用される可撤性の装置である。総義歯は患者の咀嚼を保護し,発音や外見の改善に役立つが,天然歯列のような効率性や触感はもたらさない。歯が欠如する場合,下顎骨は吸収し,結果として修正(裏装または改床と呼ばれる)または置換が必要な不適合な義歯を作り出してしまう。別の手段としては,口腔外科処置による歯槽堤の拡大,または喪失歯を置換するための歯科インプラントがある。

インプラントは典型的には歯根と置換するチタン製の軸である。1個またはそれ以上のインプラントを歯槽骨中に挿入して強固に固定する。4〜6カ月後,人工歯がインプラントに接着される。インプラントが支える補綴物は簡単に除去できるが,インプラントは容易には除去できない。これらの部位の感染の可能性は,口腔衛生の綿密な注意しだいである。

歯科装置と手術: 一般に,全ての可撤性歯科装置は,装置の破損または気道への誤嚥を防ぐために,全身麻酔,咽喉手術または痙攣療法の前に除去される。それらは形態の変化を防止するために水中に保管される。しかしながら,麻酔科医の中には,装置をそのまま留置することが,気管チューブの挿入の助けになり,より自然な顔貌が保たれるため麻酔マスクがより適合し,さらに残存の天然歯による反対側の無歯顎の歯肉の損傷を防ぎ,喉頭鏡検査も妨害されないと信じる者もいる。

義歯の問題点: ときとして,義歯下の粘膜は炎症を起こす(義歯性口内炎,炎症性乳頭状過形成症)。この病態は通常無痛性であり,寄与因子は,カンジダの感染,義歯適合不良,口腔衛生不良,義歯の過度な動揺,最も頻度が高いのは1日24時間の義歯装着である。粘膜は赤く滑らかに見える。カンジダの過剰繁殖は付着性の綿状の斑または,より一般的には,粘膜上のびらん性病変によって示唆される。カンジダの存在は,典型的な枝分かれした菌糸の顕微鏡像から確認しうる。カンジダの非存在下では炎症性乳頭状過形成症は起こりえない。

新しく適合状態が良好な義歯は,ほぼ常に状況を改善する。他の治療法は,口腔や義歯の衛生状態の改善,旧義歯の再適合,長期にわたる義歯の撤去,抗真菌療法(ナイスタチンによる口腔の含嗽と義歯を夜間にナイスタチンで浸け置くこと)から成る。義歯を市販の洗浄液に浸すのも,ときに有効である。他の選択肢としては,義歯の組織表面へのナイスタチン懸濁液の塗布とクロトリマゾール・トローチの10mg,1日5回服用がある。ケトコナゾール200mg,1日1回経口投与が必要となることがある。炎症が持続する場合は,生検の適応となり,また全身疾患を除外すべきである。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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