メルクマニュアル18版 日本語版
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下顎骨脱臼

自然発症的な下顎骨脱臼は通常そのような脱臼の既往のある患者において起こる。下顎骨脱臼はときとして外傷によって引き起こされるが,その発端は通常大きな開口とその後の咬合圧(例,固いパンの大きなサンドイッチを噛む),大きなあくび,または歯科処置である。脱臼しやすい人は生まれつき顎関節(TMJ)靭帯が緩んでいる可能性がある。

そのような患者は自分で閉口することができず大きく口を開いたままである。疼痛は患者が口を閉じようとすると続発する。下顎正中線が片側に偏位しているときは,脱臼は片側のみである。使用されることはまれであるが,罹患側関節部と外側翼突筋の付着部分近くへの局所麻酔薬(例,2%リドカイン2〜5mL)の注射により,下顎が自然に復位することがある。

徒手整復も必要であろう( 歯科救急: 下顎骨整復。図 1: イラスト参照)。前投薬が使用されることもある(例,ジアゼパム5〜10mg,5mg/分の速度で静注投与,またはミダゾラム3〜5mg,2mg/分の速度で静注投与,およびオピオイド,例えばメペリジン25mg,静注投与,またはフェンタニル0.5〜1μg/kg,静注投与)が,特に静注の準備に時間がかかるときは必要ない。脱臼期間が長引けば整復が困難となり,脱臼が再発する可能性が高くなる。

図 1

下顎骨整復。

下顎骨整復。

患者の頭部を固定する。術者はガーゼを親指に巻いた後に親指を下顎骨外斜線上(第3大臼歯部の外側),または下顎大臼歯の咬合面上に置く。その他の指は下顎の下で曲げておく。患者にあくびをするように大きく口を開けるよう指示し,その後,術者は下顎が整復するまで大臼歯上に下向きの力を加えつつ,顎先に上向きの力を加える。

バートン包帯が2〜3日間必要なことがある。最も重要なことは,患者は最低6週間は大きな開口を避けなければならない。あくびが出そうなときは,患者は顎の下に握りこぶしを当て,大きな開口を防ぐべきである。食べ物は小さく切らなければならない。患者が慢性的な脱臼に苦しみ,保存療法が試し尽くされたなら,口腔外科医に相談すべきである。最後に残された治療法は,TMJを安定させるため顎関節周囲の靭帯を外科的に動かないように(短く)するか,または関節結節を縮小する(関節結節摘出術)ことである。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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