メルクマニュアル18版 日本語版
検索のヒント
ABCDEFGHI
JKLMNOPQR
STUVWXYZ
記号

セクション

トピック

はじめに

緑内障は,少なくとも一部は眼圧(IOP)上昇が原因である進行性視神経障害を特徴とする一群の眼疾患である。緑内障は米国における失明原因の第2位で,黒人およびヒスパニック系米国人では第1位を占める。約300万人の米国人が緑内障に罹患しているが,緑内障に気づいているのは半数にすぎない。緑内障はどの年齢でも起こりうるが,60歳を超えると6倍多くなる。

緑内障は開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障に分類される( 緑内障: 房水流出障害の機序に基づく緑内障分類*表 1: 表を参照)。“隅角”とは,前房周辺部における虹彩と角膜の接合部により作られる角度を示す( 緑内障: 房水の産生と流出。図 1: イラストを参照)。隅角では,線維柱帯とシュレム管(特に高齢者では主な流出路)または毛様体表面と脈絡膜血管系のいずれかを介して96%以上の房水が眼外へ流出する。これら流出路は単なる機械的フィルターでもドレーンでもなく,能動的な生理的過程を伴う。

表 1

PDF 房水流出障害の機序に基づく緑内障分類*

This table is presented as a PDF and requires the free Adobe PDF reader. Get Adobe Reader

図 1

房水の産生と流出。

房水の産生と流出。

房水は毛様体で産生され,そのほとんどが虹彩と角膜の接合部により形成される隅角から眼外に流出する。房水は,主に線維柱帯とシュレム管から流出する。

緑内障はさらに,原発緑内障(房水流出抵抗または隅角閉塞の原因は不明)および成人型の原因となる続発緑内障(他の疾患に起因する房水流出抵抗)に細分され,成人では20種類以上の型がある。

病因と病態生理

網膜神経節細胞の軸索は視神経に入り,像を眼から大脳へ伝える。軸索の損傷により神経節細胞が細胞死する結果,視神経萎縮およびまだら状の視力障害が起こる。眼圧上昇(正常範囲,11〜21mmHg)は,直接的な神経圧迫または血流減少により軸索損傷に一定の役割を果たす。しかしながら,眼圧と神経損傷との関係は様々である。眼圧が21mmHgを超える人(すなわち,高眼圧症)でも,多くは緑内障を発症しない。眼圧上昇者のうち,緑内障を発症するのは年間約12%(5年間で約10%)にすぎない。さらに,緑内障患者の約3分の1では,眼圧が21mmHgを超えない(低眼圧緑内障または正常眼圧緑内障)。

眼圧は,房水の分泌と流出のバランスにより決まる。眼圧上昇は,過分泌ではなく流出不足または流出妨害により起こる。開放隅角緑内障では,隅角の閉塞が認められないにもかかわらず,房水流出不足により眼圧が上昇する。閉塞隅角緑内障では,周辺部虹彩の形が変わることにより機械的に房水流出が妨げられて眼圧が上昇する。

症状,徴候,診断

症状と徴候は緑内障の病型により異なるが,明らかな特徴は異常な視神経乳頭とある種の視野欠損により特徴づけられる視神経障害である。視神経の視野欠損には,鼻側階段状視野欠損(水平経線を横切らない),盲点から鼻側に延びる弓状暗点,耳側楔形視野欠損,傍中心暗点がある。さらに中枢側の視覚伝導路(すなわち,外側膝状核から後頭葉まで)の欠損には,四半盲,半盲がある。眼圧は上昇または平均範囲内でありうる(測定方法については眼科患者へのアプローチ: 検査を参照 )。

視野欠損,眼底検査での視神経乳頭異常,眼圧上昇を認める患者では緑内障を疑うべきである。 このような患者(および少しでも危険因子を有する患者)は,詳細な病歴,視神経乳頭の検査,正式な視野検査,眼圧測定,隅角鏡検査(特別なミラー内蔵型プリズムのコンタクトレンズを用いて前房を観察)を含む包括的診察目的で眼科医に紹介すべきである。視神経障害の特徴的所見を認め,他の原因(例,多発性硬化症)が除外された場合に緑内障と診断される。眼圧上昇により診断がより確定的になるが,必須ではない。

スクリーニングは,FDT視野計を用いた視野検査および眼底検査による視神経の評価によりプライマリケア医が行うことができる。眼圧は測定すべきではあるが,眼圧のみに基づくスクリーニングは感度,特異度,陽性反応的中度ともに低い。40歳以上の患者は1〜2年毎に包括的な眼の診察を受けるべきである。

治療

特徴的な視神経所見および対応する視野変化を認める患者は,眼圧にかかわらず治療を行う。眼圧下降は臨床的に証明されている唯一の治療法である。慢性の成人緑内障および若年緑内障については,眼圧を治療前より少なくとも25%下降させる。3つの治療法がある:薬物,レーザー手術,観血的手術である。緑内障の病型により,適切な治療法を決定する。薬物およびほとんどのレーザー手術(線維柱帯形成術)は既存の房水分泌系および流出系を変化させる。ほとんどの観血的手術(例,強膜弁付濾過手術[線維柱帯切除術]または緑内障用房水流出インプラント器具[チューブシャント])では新たな流出系を形成する。

高眼圧患者では予防的眼圧下降により緑内障の発症を遅らせる。しかしながら,未治療の場合に高眼圧症から緑内障へ進行する割合は低いため,予防的治療の決定は危険因子,眼圧上昇度,患者因子(すなわち,薬物または手術の選択,薬物の副作用)により個別になされるべきである。一般的に,眼圧が30mmHgを超える患者に治療が推奨される。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

ページの先頭へ

次へ: 原発開放隅角緑内障

イラスト
個人情報の取扱いご利用条件