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原発開放隅角緑内障は,開放隅角および,高眼圧またはときに正常眼圧を伴う視神経障害を来す症候群である。症状の発現は遅く,視野欠損を伴う。診断は眼底検査,隅角鏡検査,視野検査,眼圧測定により行う。治療には,β遮断薬点眼,プロスタグランジン関連薬,その他の薬物およびときに外科的房水排出がある。
病因と病態生理
開放隅角緑内障には多くの原因があるが(緑内障: 房水流出障害の機序に基づく緑内障分類*表 1: を参照),60〜70%では原因が同定されない(原発開放隅角緑内障)。通常,両眼が罹患するが,典型的には程度に差がある。
危険因子には,高齢,緑内障の家族歴,黒人,角膜中心厚が薄い,全身性高血圧,糖尿病,心血管疾患,近視がある。黒人では,緑内障はより重症でより若年で発症し,失明する可能性が6〜8倍高い。
高眼圧緑内障:
緑内障患者の3分の2では眼圧が高い(>21mmHg)。毛様体での房水産生は正常であるが,流出が不十分である。同定可能な機序(すなわち,続発開放隅角緑内障)には,発達異常,外傷後または炎症後の瘢痕化,虹彩色素または前房内の剥脱した細胞による流出路の目詰まりがある。
正常眼圧または低眼圧緑内障:
緑内障患者の少なくとも3分の1では,眼圧は正常範囲内であるが,緑内障に典型的な視神経障害と視野欠損を認める。これらの患者では一般集団よりも血管攣縮性疾患(例,片頭痛,レイノー現象)の罹患率が高く,視神経への血流を低下させる原発性血管疾患が何らかの役割を果たしうることを示唆している。
症状と徴候
初期症状はまれである。通常,患者は視神経萎縮が極めて顕著になった場合にのみ視野欠損に気づくが,典型的な視野欠損は左右不対称であるため,認識が遅れる。しかしながら,患者によっては下方視野が欠損し階段を踏み外す,読書中に文の一部の見落としに気づく,運転困難,といった症状を訴える。
検査所見には,隅角鏡検査で閉塞を認めない開放隅角,特徴的な視神経所見,視野欠損がある。眼圧は正常または高いが,ほとんど常に視神経障害が大きい側の眼が高眼圧である。
視神経所見:
視神経乳頭は正常では垂直方向にわずかに長い楕円形で,中心に陥凹と呼ばれるくぼみがある。リムは,陥凹縁と乳頭端の間の組織で,網膜からの神経節細胞軸索から成る。特徴的な視神経変化には,視神経乳頭陥凹/乳頭径比(C/D比)の増加,リムの菲薄化,リムのpittingやnotching,乳頭辺縁部を横切る神経線維層の出血(すなわち,Drance出血),垂直方向の陥凹拡大,血管の乳頭上起始部での強い屈曲がある。眼圧または視野にかかわらず,リムの経時的菲薄化のみで緑内障と診断できる。しかしながら,ほとんどの緑内障の初期診断には視野変化が含まれる。
視野欠損:
視神経病変による視野変化には,鼻側階段状視野欠損(水平経線を横切らない),盲点から鼻側に延びる弓状暗点,耳側楔形視野欠損,傍中心暗点がある。
診断
本症の診断は診察により示唆されるが,同様の所見が他の視神経症に起因する可能性もある(例,虚血,サイトメガロウイルス感染,ビタミンB12欠乏)。
正常眼圧緑内障の診断を確定する前に,次の要因を除外する必要がある:眼圧測定値の不正確,大きい日内変動(間欠的に正常値を呈する),寛解した緑内障による視神経障害,間欠性閉塞隅角緑内障,類似の視野欠損を示すその他の眼疾患または神経系疾患。
視神経乳頭の写真撮影および詳細なスケッチは,将来比較する上で役に立つ。経過観察のための診察の頻度は,患者の信頼性,緑内障の重症度,治療への反応により,週単位から年単位まで様々である。
治療
緑内障による視力障害は回復できない。目標は,眼圧下降による視神経および視野障害の進行阻止である。目標は治療前の眼圧より25〜40%の下降である。障害が進行する場合は,目標眼圧をさらに低くし,追加の治療を開始する。
最初の治療は通常薬物療法であり,目標眼圧が達成されない場合は,レーザー治療,次いで観血的手術を行う。手術は眼圧が著しく高い場合には最初の治療となりうる。
薬物療法:
多数の薬物が選択可能である(緑内障: 緑内障治療薬表 2:
を参照)。点眼薬が好ましい。最も一般的な点眼薬はプロスタグランジン関連薬,次いでβ遮断薬(特にチモロール)である。他の薬物には,α2受容体選択性アドレナリン作動薬,コリン作動薬,炭酸脱水素酵素阻害薬がある。炭酸脱水素酵素阻害薬の経口投与は有効であるが,副作用のために使用が限られる。
緑内障点眼薬を点眼する患者に対し,全身への吸収とそれに伴う副作用の低減を助けるために涙点を押さえて眼を閉じるように指導すべきであるが,これらの手技の有効性については議論のあるところである。直接結膜上に点眼することが耐えられない患者は,内眼角のちょうど内側の鼻に点眼し,次いで点眼液が眼に入るように頭を少し眼の方へ回転させてもよい。
典型的には,有効性評価のために片眼のみで点眼を開始し(片眼試験),次の来院時(典型的には1〜4週間後)に投与眼の改善が確認されたら,両眼の治療を行う。
手術:
原発開放隅角および正常眼圧緑内障に対する手術には,レーザー線維柱帯形成術,強膜弁付濾過手術があり,チューブシャントや毛様体破壊術も可能である。
アルゴンレーザー線維柱帯形成術(ALT)は,薬物療法に反応しない,または耐えられない患者に対する初回治療として行われる場合がある。レーザーエネルギーを線維柱帯の180°または360°に照射し,房水流出を改善させる。約50%の患者では,2〜5年以内に眼圧コントロールが不十分となり,追加的な薬物療法または手術が必要となる。
選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)ではパルス発振,2周波数ネオジウム・ヤグレーザーを用いる。STLおよびALTは,初回治療の有効性は同程度であるが,SLTの方が再治療の効果は大きくなりうる。
強膜弁付濾過手術は濾過手術の中では,最も多く行われる。強角膜輪部に小孔を形成し,これを分層の強膜弁で覆い,眼内から結膜下腔への房水流出を調整し,濾過胞を形成する。線維柱帯切除術を受けた患者では眼内炎の危険が高く,濾過胞感染(濾過胞炎)や眼内炎の徴候や症状が少しでも現れた場合は直ちに報告するよう指示すべきである。
最終改訂月 2005年11月
最終更新月 2005年11月
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