メルクマニュアル18版 日本語版
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網膜剥離

網膜剥離では,網膜神経層がその下の網膜色素上皮層から分離する。症状は周辺視または中心視力の低下で,急性期にはしばしばカーテンが下りるようだと訴える。関連する症状は,光視症および多数の飛蚊症を含む無痛性の視力障害である。診断は倒像眼底検査により行い,超音波検査により病変の程度を判定することがある。中心視力が脅かされている場合は,網膜復位のための緊急治療が不可避である。治療には,コルチコステロイドの全身投与,レーザー,ジアテルミー,冷凍治療による網膜円孔閉鎖,強膜内陥,経結膜冷凍治療,光凝固,気体網膜復位,硝子体手術,病変の原因および部位によっては眼球摘出がある。ほとんどの可逆的障害は初期に起こるので,黄斑が剥離して視力が低下した後は,治療の緊急性は低下する。

裂孔原性網膜剥離は網膜裂孔の存在を意味する。近視,白内障手術後,眼外傷後により頻繁に起こる。

非裂孔原性網膜剥離(裂孔を伴わない剥離)は,硝子体網膜牽引(例,増殖糖尿病網膜症または鎌状赤血球症)または網膜下腔への滲出液(例,重症のぶどう膜炎,特にVKH症候群,原発性または転移性脈絡膜腫瘍)により起こりうる。

症状,徴候,診断

網膜剥離は無痛である。初期症状には濃いまたは不規則形の硝子体浮遊物,光視症,霧視がありうる。剥離が進行するにしたがって,患者は視野中のカーテンやベールに気づく。黄斑が侵されると,中心視力は著しく低下する。直像眼底検査により網膜の不整および暗色の血管を伴う胞状の網膜隆起を認めることがある。

網膜剥離は症状および眼底検査所見により示唆される。強膜圧迫を用いた倒像眼底検査が周辺部裂孔および剥離を見つけるために行われる。

網膜裂孔からの硝子体出血により網膜が隠れている場合は,網膜剥離を疑い,Bモード超音波検査を行うべきである。

治療

限局性であることもあるが,網膜裂孔による網膜剥離は直ちに治療しなければ網膜全体に広がる可能性がある。網膜剥離が疑われる患者,または診断が確定した患者は緊急に眼科医の診察を受けるべきである。

裂孔原性剥離は,レーザー,ジアテルミー,冷凍治療により網膜円孔を閉鎖して治療する。術中に網膜下腔から液を排出し,強膜内陥により治療することもある。剥離を伴わない前方の網膜裂孔は経結膜冷凍固定により閉鎖し,後方の網膜裂孔は光凝固により閉鎖できる。裂孔原性剥離の90%以上は,手術的に復位できる。裂孔が眼の上方3分の2にある場合,単純な剥離は気体網膜復位術により治療可能である(外来診療)。

硝子体網膜牽引による非裂孔原性剥離は硝子体切除術により治療することがあり,ぶどう膜炎による滲出性剥離はコルチコステロイドの全身投与に反応することがある。原発性脈絡膜腫瘍(悪性黒色腫)では眼球摘出が必要な場合もあるが,ときに放射線療法および局所切除が行われ,脈絡膜血管腫は限局性の光凝固に反応することがある。転移性脈絡膜腫瘍は乳房,肺,消化管が原発であることが最も多く,放射線療法によく反応することがある。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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