メルクマニュアル18版 日本語版
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はじめに

皮膚は過剰な日光に対して数種の反応を示す:種々の慢性変化(例,光老化,日光角化症),光線過敏症,サンバーンである。

太陽は広範な紫外線(UV)という電磁波(すなわち,UVA,320〜400nm;UVB,280〜320nm;UVC,10〜280nm)を放射するが,UVAとUVBだけが地表に到達する。このような照射線の特徴と量は,季節および大気の状態の変化で大きく異なる。皮膚の日光暴露は,衣服,生活様式,職業,さらに標高や緯度といった地理的要素など多くの要因に左右される。

サンバーンを起こす光線(320nm未満)はガラスを通過せず,煙やスモッグで大部分が遮断される。サンバーンを起こす光線は,薄い雲,霧,あるいは30cmの透明な水を通過し,無警戒な人に高度なサンバーンを引き起こす。雪,砂,明るい空は,光線を反射することによって暴露を増大させる。成層圏のオゾンは短波長のUVを除去するが,人工のクロロフルオロカーボン(例,冷蔵庫やエアロゾルに含まれる)のために枯渇している。減少したオゾン層が,UVAおよびUVBに対する暴露を無意識のうちに増加させる。

日焼けランプはUVBよりもUVAの人工光を使用しているが,長期に使用すると有害な作用の起こることを予想すべきである。UVAしか含まない光源でも皮膚に悪影響を与える。

病態生理

日光暴露後は表皮が肥厚し,メラノサイトがメラニン色素を急速に産生して皮膚色を黒くして,将来の日光暴露をある程度自然に防御する。日光暴露は表皮ランゲルハンス細胞の不活化および消失をもたらすが,このことは免疫学的に重要である。

人は皮膚にあるメラニンの量によって,日光に対する感受性と反応が大きく異なる。皮膚は,日光障害に対する感受性が高い順に,6型(ⅠからⅥ)に分類される。この分類は,皮膚色,UV感受性,日光暴露に対する反応に基づいている。スキンタイプⅠ型は皮膚色が白いかわずかに色素があり,UV光線に非常に感受性が高く,即時色素黒化を起こさず,常にたやすくサンバーンを来たし,決してサンタンを来たさない。スキンタイプⅥ型は皮膚色が暗褐色または黒色で,UV光線に最も感受性が低く,著明な即時色素黒化を来たし,サンタンも高度である(深い黒色)。黒人などの皮膚色の濃い人でも日光の作用に対して免疫があるわけではなく,強いまたは長期の暴露に対してはサンバーンを起こすことがある。金髪や赤毛の人は,特に感受性が高い。毛髪の色が薄い人では不均一なメラニン沈着が起こり,雀卵斑を生じることが多い。白皮症(色素異常症: 白皮症を参照 )の人の皮膚ではメラニン代謝が欠損しているので色素沈着は起こらず,白斑(色素異常症: 白斑を参照 )の部位にはメラノサイトが存在しないので,やはり色素沈着が起こらない。

予防

簡単な注意をすればサンバーンと日光の慢性的影響が防げ,光線過敏症の人ではそのような注意が必要である。夏になって初めて明るい真昼の太陽に当たるのは,色の黒い人でも30分を超えることのないようにすべきである。温帯では午前10時以前と午後3時以降だとサンバーンを引き起こす波長があまり地表に届かないので,日光暴露はさほど危険ではない。霧や雲があってもリスクは低くならず,標高が高いとリスクは高くなる。

露光部皮膚は覆う方がよい。目の細かい布地は目の粗い布地よりも日光を遮断する。日光から皮膚を強力に防御する特殊な衣類が市販されている。つばの広い帽子は,顔面,耳,頸部を防御する。UV防御を目的としたラップアラウンド型サングラスを常時使用すれば,眼を守るのに役立つ。

サンスクリーンはサンバーンおよび慢性日光障害から皮膚を守るのに役立つが,常にこれらを防げるわけではない。米国では,FDAがサンスクリーンを紫外線防御指数(SPF)でランク付けしている:SPFの数字が大きいほど防御力が強い。SPF15以上の製品が勧められる。しかし,SPFはUVB暴露に対する防御力を数字で表わしたものに過ぎない;UVAに対する防御力を示す尺度はない。サンスクリーンは,クリーム,ゲル,フォーム,スプレー,スティックなど幅広い剤形で市販されている。サンタン用製品は皮膚をUV暴露から防御しない。

大半のサンスクリーンは光を吸収する化学的サンスクリーン,もしくは光を反射または散乱させる物理的サンスクリーンとして働く数種類の物質を含んでいる。化学的サンスクリーンとしてよく使われる物質はほとんどがUVB光線を吸収するもので,アミノ安息香酸類を含み,その中にはp-アミノ安息香酸(PABA),サリチル酸塩,シナメート,ベンゾフェノン(例,アボベンゾン),アントラニル酸塩がある。これらのうち,ベンゾフェノンはUVA光線の防御に特に有効である。亜鉛華および二酸化チタンは,UVB光線もUVA光線も遮断する。これらを微粉化製剤にすることで,美容的な問題が改善され,大いに使われやすくなった。サンスクリーンがうまく機能しないのはよくあることで,通常は,塗布量が不十分であるか,塗布するのが遅すぎたか(日光暴露の30分前に塗布するのが最適),水泳または運動の後に塗布しなおさなかったためである。

サンスクリーンに対するアレルギー性または光アレルギー性反応は,他の光線過敏性発疹と鑑別しなければならない。サンスクリーンの成分を用いたパッチテストまたは光パッチテストが診断に必要である。このパッチテストは,通常,アレルギー性接触皮膚炎に関して特に専門的知識をもつ皮膚科医が行う。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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