メルクマニュアル18版 日本語版
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光線過敏症

光線過敏症はあまり解明されていない日光に対する皮膚の反応で,おそらく免疫系が関与している。光線過敏症は特発性に生じることも,ある種の薬剤または化学物質に暴露した後に生じることもあり,ときに全身疾患の特徴のこともある(例,SLE,ポルフィリア,ペラグラ,色素性乾皮症)。診断は臨床像で行う。治療は病型によって異なる。

日光による急性および慢性の影響に加え,日光にほんの短時間暴露した直後に様々な異常反応の生じることがある。原因が明らかな場合を除き,顕著な光線過敏性の患者では,全身性または皮膚エリテマトーデス(自己免疫リウマチ性疾患: 全身性エリテマトーデスを参照 および自己免疫リウマチ性疾患: ループスの亜型を参照 )の評価を行うべきで,おそらくはポルフィリア(ポルフィリン症を参照 )の評価も行うべきである。化学物質による光線過敏症の治療は,コルチコステロイドの外用および原因物質の回避である。

日光じんま疹: 特定の患者では,日光暴露後数分以内に,暴露部にじんま疹が出現する。広範囲の皮膚が侵されると,失神,浮動性めまい,喘鳴などの全身症状が生じることもある。病因は不明であるが,光アレルゲンとして機能する内因性の皮膚成分が関与しているかもしれない。日光じんま疹は,じんま疹を惹起するUVスペクトルの成分に基づいて6型に分類できる。治療は困難なこともあるが,H1遮断薬,抗マラリア薬,サンスクリーンの外用,ソラレン-紫外線療法(PUVA)を使用する。

化学物質による光線過敏症: 摂取されたり外用されたりする100以上の物質が,日光暴露後の皮膚反応を起こしやすくすることが知られている。ほとんどの反応に対して,原因物質の数は限られている( 日光に対する反応: 日光に対して皮膚を感作させる主な物質表 1: 表を参照)。反応は光毒性反応と光アレルギー性反応に分けられる。

表 1

日光に対して皮膚を感作させる主な物質

分類

具体例

ざ瘡用薬剤

イソトレチノイン

抗生物質

キノロン系

 

スルホンアミド系

 

テトラサイクリン系

 

トリメトプリム

抗うつ薬

三環系薬剤

抗真菌薬

グリセオフルビン

血糖降下薬

スルホニル尿素

抗マラリア薬

クロロキン

 

キニン

抗精神病薬

フェノチアジン

抗不安薬

アルプラゾラム

 

クロリダゼポキシド

化学療法薬

ダカルバジン

 

フルオロウラシル

 

メトトレキサート

 

ビンブラスチン

利尿薬

フロセミド

 

チアジド

心臓用薬剤

アミオダロン

 

キニジン

外用薬

抗菌薬(クロルヘキシジン,ヘキサクロロフェン)

 

抗真菌薬

 

コールタール

 

香料

 

サンスクリーン

光毒性反応では,光を吸収する化合物が直接フリーラジカルおよび炎症メディエータを産生し,疼痛および紅斑の形で現れる(サンバーン様)組織障害を引き起こす。この反応では暴露の既往は必要なく,反応は個人差が大きいが,誰にでも生じる。光毒性反応の原因として典型的なものには,外用された物質(例,香水,コールタール)や摂取された物質(例,テトラサイクリン系,ソラレン含有植物)がある。光毒性反応は,非露光部の皮膚には広がらない。

光アレルギー性反応はⅣ型(細胞性)免疫反応である;光が吸収されると薬剤または物質の構造が変化し,組織のタンパクに結合してハプテンとして機能する。暴露の既往が必要である。光アレルギー性反応の原因として典型的なものには,アフターシェーブローション,サンスクリーン,スルホンアミドがある。反応は非露光部の皮膚にも拡大することがある。症状には紅斑,そう痒があり,ときに小水疱を伴う。

多形日光疹: 多形日光疹は光に対する異常な反応で,全身疾患や薬物とは関連がなさそうである。発疹は露光部位に,通常,暴露の30分〜数時間後に出現する。病変にはそう痒と紅斑があり,しばしば丘疹も出現するが,丘疹小水疱型または局面状の病変を生じることもある。本疾患は,1年中日光の暴露を受ける人より,春か夏になって初めて暴露を受ける北方の気候に住んでいる人に多い。病変は1週間前後で消退する。日光性痒疹は多形日光疹とよく似ているが(おそらく関連した)さらに結節状の病変で,1年中持続し,日光暴露で悪化する。

診断には除外診断法を用いるが,ときには患者が何ら薬物を使用していないときに,人工の太陽光あるいは自然の太陽光を使って病変を再現させることが必要となる。治療は日光暴露を控えることとコルチコステロイドの外用である。さらに重症な患者では,PUVA(乾癬および鱗屑を伴う疾患: 光線療法を参照 )またはナローバンドUVB(312nm)による光線療法を用いて,徐々にUVに暴露させることで脱感作しても有効なことがある。特に局面型の病変で,ヒドロキシクロロキン200mg,経口,1日2回から3回投与がときに有用である。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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