メルクマニュアル18版 日本語版
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カンジダ症

カンジダ症(モニリア症)はカンジダ属の皮膚感染症であり,カンジダ-アルビカンスによることが最も多い。感染はどこに生じてもよいが,最も好発するのは,皮膚のひだおよび指趾間,陰茎,手指爪の周囲である。症状および徴候は部位毎に異なる。診断は臨床像および水酸化カリウム液で包埋した皮膚擦過物の顕微鏡標本で行う。治療は乾燥薬および抗真菌薬で行う。

大部分のカンジダ感染は皮膚および粘膜に生じるが,免疫抑制状態の患者では侵襲性カンジダ症も多く,生命を脅かすことがある。全身性カンジダ症は,180章で論じる(真菌を参照 )。

病因

カンジダは約150種の酵母群である。全てのカンジダ感染症の約70〜80%はC. アルビカンスが原因である。その他の主要な種として, C. グラブラタ , C. トロピカーリス , C. クルセイC. ズブリニエンシスがある。

カンジダはいたるところにある酵母で,皮膚および粘膜に害を与えることなく棲息しているが,湿度,熱が加わり局所および全身の防御機能が障害されて増殖に適した環境になると病原性を発揮する。カンジダ症の危険因子には,暑い気候,ぴったりした衣服,劣悪な衛生状態,小児や高齢者におけるオムツや下着の交換頻度の低下,抗生物質療法による細菌叢の変化,およびコルチコステロイド,免疫抑制薬,妊娠,糖尿病,糖尿病以外の内分泌疾患(例,クッシング病,副腎機能低下症,甲状腺機能低下症),血液疾患,T細胞欠損に由来する免疫抑制状態がある。

カンジダ症が最も好発するのは,腋窩,鼠径部,殿裂(例,おむつ皮膚炎)および指趾間,亀頭,乳房下部などの間擦部位である。女性では外陰腟カンジダ症も多い(腟炎および骨盤内炎症性疾患: カンジダ腟炎を参照 )。カンジダ性爪炎および爪囲炎は,マニキュアを不適切に行った後や台所で働くなど絶えず手で水仕事をする人に生じることがある(爪の疾患: 爪真菌症を参照 )。口腔咽頭カンジダ症は,局所性または全身性の免疫抑制でよくみられる徴候である。

慢性皮膚粘膜カンジダ症は慢性の感染で,典型的な場合,爪,皮膚,中咽頭に病変が生じる。患者はカンジダに対して皮膚のアネルギーがあり,カンジダ抗原に対する増殖反応が欠損しているが(マイトゲンに対しては正常に増殖反応を起こす),カンジダをはじめとする抗原に対する抗体反応は障害されていない。慢性皮膚粘膜カンジダ症は,副甲状腺機能低下症およびアジソン病を伴う常染色体劣性遺伝性疾患として生じることがある(カンジダ-内分泌障害症候群)。

症状と徴候

間擦部に感染を生じたときの症状は境界明瞭でそう痒のある紅色の斑で,大きさと形状は様々である;色の黒い患者では紅斑の検出が困難なこともある。初めに生じた斑に隣接して,丘疹および膿疱を衛星状に認めることがある。肛門周囲カンジダ症は白く湿潤し,肛門部そう痒を来す。外陰腟カンジダ症では,そう痒と帯下を来す(腟炎および骨盤内炎症性疾患: カンジダ腟炎を参照 )。

カンジダ性爪炎では爪甲の厚さ全体に感染が起こる(爪真菌症―爪の疾患: 爪真菌症を参照 );カンジダ性爪囲炎の症状は,疼痛を伴う爪囲の赤い腫脹で,膿が形成されることもある(爪の疾患: 爪囲炎を参照 )。爪下の感染は1指または数指の手指爪の遠位部が剥離する(爪甲剥離症)という特徴があり,爪下部が白色または黄色に変色する。

口腔咽頭カンジダ症では口腔粘膜に白色の局面を生じ,擦ると容易に出血する。

慢性皮膚粘膜カンジダ症の特徴は,赤色,膿疱性で痂皮をつけた厚い局面で,乾癬に類似し,この局面は特に鼻および前額に著明で,常に慢性口腔内カンジダ症を伴っている。

診断と治療

診断は臨床像,ならびに病変から採取した擦過物を水酸化カリウム液で包埋した顕微鏡標本で酵母および仮性菌糸を見つけることで行う。カンジダは遍在しているので,培養が陽性であっても通常意味をもたない。

間擦部の感染は,乾燥薬(例,滲出性病変に用いるブロー液,趾間部に用いるゲンチアナ紫)および抗真菌薬の外用(真菌性皮膚感染症: 表在性真菌感染の治療法*表 1: 表を参照)で治療するが,乾燥薬は必要に応じて用いる。パウダー製剤は乾燥した病変に理想的である(例,ミコナゾールパウダー,1日2回,2〜3週間)。広範な間擦部カンジダ症では,フルコナゾール150mg,経口,週1回,2〜4週間投与の適応である;外用薬を同時に用いてもよい。

表 1

PDF 表在性真菌感染の治療法*

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カンジダ性おむつ皮膚炎の治療は,より頻回におむつを交換し,ビニールカバーのついた使い捨ておむつを避け,イミダゾール系クリームを1日2回外用することである。口腔用ナイスタチンは口腔咽頭カンジダ症を合併している乳幼児の治療に用いる;懸濁液(10万単位/mL)の1mLを両側の頬粘膜に1日4回外用する。

カンジダ性爪真菌症およびカンジダ性爪囲炎の治療は爪の疾患: 爪真菌症で論じる。

口腔内カンジダ症は,1日目にフルコナゾールを200mg,その後は100mg,経口,1日1回投与を2〜3週間行って治療する。

慢性皮膚粘膜カンジダ症は,長期にわたる抗真菌治療が必要である。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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