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色素増加の原因は多く,局所性のこともびまん性のこともある。全てではないが大部分の例は,メラニン産生およびメラニン沈着の増加による。局所的な色素増加は炎症後に生じることが最も多く,皮膚損傷(例,切創および熱傷)または他の原因で炎症が起こった(例,ざ瘡,狼瘡)後に生じる。全身的な要因が原因のことも腫瘍が原因のこともある。
黒皮症(肝斑)は暗褐色で境界明瞭,かつほぼ顔面に対称性に生じる色素の増加した斑である(通常は前額部,こめかみ,頬)。肝斑は,主として妊娠中の女性(妊娠性黒皮症,妊娠顔貌)および避妊薬を服用している女性にみられる。症例の10%は,妊娠していない女性および色の黒い男性に生じる。肝斑はラテン系民族および黒人で多くみられる。機序は不明だが,全例が日光暴露と関連がある。女性では,肝斑は出産後または経口避妊薬の使用を中止した後に,完全ではないがゆっくりと色調が薄くなる。男性では,肝斑の色調が薄くなることはまれである。日光を避ければ,肝斑の増悪を避けられる。治療は,色素沈着が表皮性か真皮性かに左右される;表皮性の色素沈着はウッド灯で強調されるが,生検で診断してもよい。表皮性の色素沈着のみが治療に反応する。3〜4%ハイドロキノンの外用,1日2回はしばしば有効であるが,通常長期にわたる治療が必要である;2%ハイドロキノンは維持療法として有用である。ハイドロキノンは刺激を生じることがあるので,顔面に用いる前に一側の耳の裏側または前腕の小部分で1週間試用すべきである。0.1%トレチノインや15〜20%アゼライン酸クリームのような漂白薬を,ハイドロキノンの代わりに用いたり,ハイドロキノンと併用してもよい。漂白薬の外用に反応しない重症の肝斑をもつ患者では,グリコール酸または30〜50%トリクロロ酢酸を用いたケミカルピーリングを行ってもよい。
黒子
(lentigines)
(単数形:lentigo)は,日光暴露部位にみられる平坦で黄褐色から褐色の斑であり,典型的な場合は顔面および手背に生じる。黒子は顔面および手に最も好発し,最も多い原因は慢性的な日光暴露である(日光性黒子;ときに“いわゆるしみ(liver
spots)”と呼ばれる)。日光性黒子は凍結療法またはレーザーで治療する。非日光性黒子はときに,ポイツ-ジェガース症候群(口唇に黒子が多数生じる)または汎発性黒子症候群(レオパード症候群)のように全身性疾患に伴う;治療は同じである。
びまん性色素増加は全身性疾患で生じることがあり,特にアジソン病(副腎障害: アジソン病を参照 ),ヘモクロマトーシス(鉄過剰: 原発性ヘモクロマトーシスを参照 ),原発性胆汁性肝硬変(線維症と肝硬変: 原発性胆汁性肝硬変を参照 )でみられる。原因に関し,皮膚所見に診断的価値はない。
薬剤誘発性色素増加
は通常びまん性であるが,ときに薬剤に特有の分布または色調を示すことがある(色素異常症: 代表的な薬剤および化学物質が示す色素増強作用表 1: を参照)。発症機序として,表皮におけるメラニンの増加(褐色調が強い傾向,このため“色素増加”といわれる),表皮および真皮浅層におけるメラニンの存在(ほとんど褐色だか,灰色または青い色調が加わる),真皮におけるメラニンの増加(灰色または青い傾向が強まる),薬剤またはその代謝産物の真皮内沈着(通常スレート色または青みがかった灰色)がある。局所性色素増加は薬剤誘発性扁平苔癬(苔癬型薬物反応としても知られる)に続発することが多い。
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表 1
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代表的な薬剤および化学物質が示す色素増強作用
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薬剤または化学物質
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効果
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アミオダロン
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露光部位がスレート色がかった灰色から紫色に変色;真皮に黄色がかった褐色の沈着物
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抗マラリア薬
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脛骨前部,顔面,口腔,爪が,黄色がかった褐色から灰色または青みがかった黒色に変色;真皮内に薬剤-メラニン複合体;毛細血管周囲にヘモジデリン
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ブレオマイシン
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背部,しばしば掻爬部位または軽い外傷部位に,鞭毛状の色素増加線条
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ブスルファン,シクロホスファミド,ダクチノマイシン,ダウノルビシン,5-FUなど癌に用いる化学療法薬
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びまん性色素増加
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デシプラミンおよびイミプラミン
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露光部位が,灰色がかった青色に変色;真皮浅層に黄金褐色の顆粒
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重金属
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顔面,頸部,手が,青色がかった灰色に変色
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眼周囲に青色がかった灰色の沈着物(金皮症)
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皮膚のひだが,スレート色がかった灰色に変色
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特に露光部位が,びまん性にスレート色がかった灰色に変色(銀皮症)
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ハイドロキノン
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長期使用後(数年),耳軟骨および顔面が,青みがかった黒色に変色
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クロルプロマジンなどのフェノチアジン系薬剤
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露光部位が,灰色がかった青色に変色;真皮浅層に黄金褐色の顆粒
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ミノサイクリンなどのテトラサイクリン系薬剤
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歯,爪,強膜,口腔粘膜,ざ瘡嚢腫,ざ瘡瘢痕,顔面全体が灰色に変色
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固定薬疹
では,ある薬剤を服用するたびに,同一部位に赤い局面または水疱が形成される;これらが消退した後に残る炎症後色素増加は,通常持続する。典型的な病変は,顔面(特に口唇),手,足,性器に生じる。固定薬疹を誘発する典型的な薬剤には,スルホンアミド系,テトラサイクリン,NSAID(特にフェナゾン誘導体),バルビツレート系,カルバマゼピンがある。
最終改訂月 2005年11月
最終更新月 2005年11月
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