メルクマニュアル18版 日本語版
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変形

爪変形の約50%は真菌感染の結果である。残りの50%は,外傷,乾癬,扁平苔癬,ときに悪性疾患など様々な原因で生じる。診断は診察すれば明らかかもしれないが,ときに擦過標本を作製したり培養を行うことがある。一旦根底にある病態が対処されれば,マニキュリストが爪の形を適切に整え,マニキュアを使用して,爪の変形を隠してもよいと思われる。

先天性の変形: 一部の先天性外胚葉形成不全では,患者に爪がない(無爪症)。先天性厚硬爪甲では,爪床が肥厚して変色し,過度に彎曲して巻き爪変形を伴う。爪-膝蓋骨症候群(小児における骨および結合組織疾患: 爪-膝蓋骨症候群を参照 )では,爪半月が三角形となり,拇指の爪が部分的に欠損している。ダリエ病では赤色および白色の線条がみられ,遠位部にV字型の切痕がある。

全身疾患に関連する変形: プラマー-ビンソン症候群では,50%の患者に匙状爪―凹状でスプーン型をした爪―がみられる。黄色爪症候群の特徴は硬くて過度に彎曲し,横方向に肥厚した黄色の爪で,爪上皮が欠損し,患者は四肢のリンパ浮腫,胸水,腹水を示す。半々爪(half-and-half nail)は腎不全で生じる;爪の近位半分は白く,遠位半分はピンク色であるか色素増強がある。白色爪は肝硬変で生じるが,遠位1/3にピンク色の色調が残ることもある。

皮膚疾患に関連する変形: 乾癬では,爪が不規則な陥凹,油斑(oil spot),爪甲剥離,爪甲の肥厚および崩壊など多くの変化を示すことがある。爪母の扁平苔癬では瘢痕が生じ,初期には爪が隆起して爪甲縦裂が生じるが,後に翼状爪が形成される。翼状爪の特徴は爪の近位部から外へ向かうV字型の瘢痕で,最終的には爪が消失する。円形脱毛症では,一定のパターンをとる規則的な陥凹を伴う。

変色: 薬剤,特に細胞増殖抑制薬および抗マラリア薬で,爪の変色することがある。原因薬で最も多い薬剤にはブレオマイシンおよびシクロホスファミドがあり,頻度的にはこの2剤ほどではないが,原因薬になることが多い薬剤にアクチノマイシン,ドキソルビシン,ブスルファン,5-フルオロウラシル,ヒドロキシ尿素,メルファランがある。キナクリンを使用している場合,爪に紫外線を当てると緑がかった黄色または白色に見えることがある。銀皮症では,爪がびまん性に青灰色を呈することがある。砒素中毒では,爪がびまん性に褐色に変色することがある。テトラサイクリン系,ケトコナゾール,フェノチアジン,スルホンアミド系,フェニンジオンは全て,褐色調または青色の変色を引き起こす。金療法を行うと,爪が明るい褐色または暗い褐色になることがある。

爪に生じる横方向の白色線条(ミーズ線)は,化学療法,急性砒素中毒,悪性腫瘍,心筋梗塞,タリウムおよびアンチモン中毒,フッ素症で生じることがあり,エトレチナート療法中ですら生じることがある。白色線条は爪の外傷で生じることもあるが,通常外傷性の線条が全ての爪に及ぶことはない。真菌であるトリコフィトン-メンタグロフィテスは,爪甲をチョーク状に白く変色させる。

爪甲色素線条: 爪甲色素線条は縦方向の色素増強帯で,近位爪廓および爪上皮から爪甲の遊離遠位端まで伸びる。色の黒い人では,爪甲色素線条は正常な生理的変化であり,治療の必要はない。爪甲色素線条は,良性の色素細胞母斑および悪性黒色腫でも生じることがある。ハッチンソン徴候―爪半月,爪上皮,近位爪廓を通って広がるメラニンの滲み出し―は,爪母に生じた黒色腫の徴候かもしれない。直ちに生検して治療することが不可欠である。

爪鉤彎症: 爪鉤彎症は爪の栄養障害で,爪が肥厚して彎曲し,第1趾に最も好発する。爪鉤彎症は靴が合わないために生じることもある。爪鉤彎症は高齢者によくみられる。治療は変形した爪を切って形を整えることである。

爪甲剥離: 爪甲剥離は,爪甲の爪床からの剥離,または爪甲の完全な消失である。爪甲剥離は,テトラサイクリン系(光線性爪甲剥離),ドキソルビシン,5-フルオロウラシル,β-ブロッカー(特にプラクトロールおよびカプトプリル),クロキサシリンおよびセファロリジン(まれ),スルファメトキサゾール-トリメトプリム,ジフルニサル,エトレチナート,インドメタシン,イソニアジド,イソトレチノインで治療されている患者で,光毒性反応として生じることがある。部分的爪甲剥離は,カンジダ-アルビカンスの感染や外傷が原因で生じることもあり,乾癬または甲状腺中毒に伴うこともある。

爪甲損傷癖: 本疾患では,患者が自分の爪をいじって自傷行為を行い,その結果,爪が洗濯板状に変形したり習慣性チック爪になることがある。爪甲損傷癖では爪下出血もみられることがある。爪甲損傷癖は1本の指の爪上皮を習慣的に押し戻す患者に最も好発し,爪甲が伸びるときに爪甲の異栄養症が生じる。

粗造爪: 粗造爪―粗造で半透明の爪―は,円形脱毛症,扁平苔癬,アトピー性皮膚炎,乾癬で生じることがある。粗造爪は小児に最も好発する。

外傷: 爪床の傷害,特に挫滅創では,ときに永久的な爪変形が生じる。損傷時に一次的修復を行えば,永久的な爪変形を生じるリスクが下がる。

腫瘍: 良性および悪性腫瘍が爪の構成単位に影響して変形を生じることがある。これらの腫瘍には,良性粘液様嚢胞,化膿性肉芽腫,グロムス腫瘍,ボーエン病,有棘細胞癌,悪性黒色腫がある。悪性疾患を疑うときは,迅速に生検を行って外科医に紹介することが強く勧められる。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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