メルクマニュアル18版 日本語版
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圧迫性潰瘍(とこずれ;褥瘡;褥瘡性潰瘍)

圧迫性潰瘍は,骨の突出部と硬い表面の間で組織が圧迫され,その部分に生じた壊死および潰瘍である;圧迫性潰瘍は摩擦およびずれ力でも生じることがある。危険因子には,高齢,循環不全,体動不能,栄養不良,失禁がある。重症度は,皮膚の紅斑から皮膚全層が消失し広範に軟部組織が壊死に陥っているものまで様々である。診断は臨床像で行う。治療には,圧迫の軽減,摩擦およびずれ力の回避,局所のケアがあり,ときに皮膚移植または筋皮弁も用いる。初期の潰瘍であれば予後は極めて良好である;潰瘍が放置されたり潰瘍が生じてから時間が経過している場合は,重篤な感染および栄養ストレスを起こすリスクが生じ,治癒は困難である。

病因と病態生理

米国では1.3〜3百万人の患者に圧迫性潰瘍(PU)があると推定されている;発生率は高齢者で最も高く,特に入院していたり長期ケア施設に入所している高齢者での発生率が高い。加齢によりリスクは増大するが,その理由の一端は,皮下脂肪および毛細血管の血流が減少するためである。体動不能であったり合併症があったりすれば,リスクはさらに増大する。

PUは,軟部組織が骨の突出部と接触面の間で圧迫される場合,または摩擦(例,衣服または寝具との擦れ)もしくはずれ力(皮膚が動かない物の表面に付着するときに生じる)がびらん,組織虚血,梗塞を引き起こす場合に生じる。PUが最も好発するのは,仙骨部,坐骨結節,大転子,外顆,踵部の上であるが,他の部位にも生じることがあり,その例として,鼻腔カニューレの長期使用時に耳後部に生じるPUがある。装具を着用している患者では,装具の適合不良により,しばしば骨の突出部の上に圧迫性潰瘍が生じる。圧迫力の強さおよび圧迫期間はリスクと重症度に直接影響するが,条件によっては3〜4時間という短時間でもPUの生じることがある。潰瘍は,皮膚が過度に湿潤したり浸軟していれば(例,発汗または失禁による),悪化する。

認知障害のある患者,体動不能の患者,またはこの両者を伴っている患者では,リスクがさらに高くなる。体動不能は最も重要な因子であるが,体動不能は自発運動が低下するため(脳卒中,鎮静,重症疾患などによる)および/または衰弱して頻回に体位変換ができないために生じる。他の因子には尿および便失禁;脱水を含む栄養不良状態;糖尿病;心疾患がある。患者にリスクがあることを認識するには臨床的に評価すれば十分である;数種類のスケールがあり(例,ノートン,ブレーデン),リスクの予 測に有用である(圧迫性潰瘍: 圧迫性潰瘍のリスク予測に用いるブレーデンスケール。図 1: イラストを参照)。

図 1

圧迫性潰瘍のリスク予測に用いるブレーデンスケール。

圧迫性潰瘍のリスク予測に用いるブレーデンスケール。

患者を6つの項目で評価する:知覚,湿潤,活動性,可動性,栄養,摩擦およびずれ。圧迫性潰瘍のリスクは,スコアが減るほど増加する:15-16 =軽度のリスク;12-14 =中等度のリスク;< 12 =重篤なリスク。Modified from Braden B, Bergstrom N: Pressure ulcers in adults: Prediction and prevention.Clinical Practice Guideline, no. 3, pp 14-17, May 1992. US Department of Health and Human Services.

皮膚潰瘍の他の原因: 慢性的な動脈および静脈不全があると,特に下肢で,皮膚潰瘍を生じることがある。根本的な機序は血管性であるが,PUを引き起こす力と同じ力がこのような潰瘍を悪化させることがあり,治療の原則も類似している。

症状と徴候

数種類のステージ分類法がある;最も一般的なものは,軟部組織の損傷深度に従って潰瘍を分類する方法である(圧迫性潰瘍: 圧迫性潰瘍のステージ表 1: 表を参照)。ステージ1のPUは,充血,熱感,硬結を示す。このステージは,潰瘍(真皮に達する皮膚欠損)がないという意味で,誤った名称である。しかし,もし進行を止め回復させなければ,潰瘍が形成される。ステージ2のPUでは,びらん(表皮欠損)または真の潰瘍がある;しかしながら,皮下組織は露出していない。ステージ3および4のPUでは,下部組織がさらに深く障害され,破壊もより広範である。患者は,常に低いステージから高いステージへ進行するわけではない。ときに深く壊死に陥ったステージ3または4の潰瘍が最初の徴候のこともある。PUが急速に発症すれば,表皮がびらんする前に皮下組織が壊死に陥ることもある。どのような小さな潰瘍であっても基部は深い可能性があり,氷山の一角とみなすべきである。

表 1

圧迫性潰瘍のステージ

ステージ

特徴

1

まだ皮膚に組織欠損は認めないものの,隣接部位または対側部位に比べ,下記の事項に関して圧迫に関連する変化がある:

 色調(わずかに色素沈着のある皮膚に認める発赤;色素沈着の強い皮膚に認める赤,青,紫の色調)

 皮膚温(高いまたは低い)

 硬さ(硬い感じまたはブヨブヨした感じ)

 知覚(疼痛,かゆみ)

2

表皮および/または真皮を含め,全層に至らない皮膚欠損がある

潰瘍は浅在性で,擦過傷,水疱,浅い掘れ込みとして出現する

3

皮下組織の傷害または壊死を含む皮膚全層の欠損があり,下床の筋膜まで達することがあるが筋膜を超えることはない

潰瘍は深く掘れ込み,隣接組織に穿掘を伴うことも伴わないこともある

4

皮膚全層が欠損し,広範な組織破壊および/または壊死,または筋肉,骨,支持構造(腱や関節包など)の傷害を伴う

Adapted from the National Pressure Ulcer Advisory Panel, Consensus Development Conference Statement.

どのステージでも疼痛またはそう痒を感じることがあるが,知覚鈍麻のある患者では気づかれない可能性がある。圧痛,周辺皮膚の紅斑,滲出液,悪臭があれば,感染を考える。発熱があれば,菌血症を疑うか骨髄炎の存在を疑うべきである。

潰瘍が治癒しないのは治療が不適切なためかもしれないが,骨髄炎または潰瘍内にまれに生じる有棘細胞癌(マリョラン潰瘍)を疑うべきである。潰瘍が治癒しない場合に認める他の合併症には瘻孔,組織の石灰化があり,瘻孔は浅在性のことも深部にある隣接構造に連絡していることもある(例,仙骨部潰瘍では腸管と連絡)。さらに,PUは院内で耐性を獲得した耐性菌の温床であり,耐性菌が生じれば治癒が遷延し,菌血症および敗血症の原因となる。

診断

診断は通常臨床像から明らかであるが,深度および範囲を決定するのは困難なことがある。PUでは細菌が常にコロニーを形成しているので,創表面の培養は解釈不能である。骨髄炎の存在は放射線核種骨スキャンまたはガドリニウム造影MRIで診断するが,この両検査は感度も特異性も低い。診断には骨生検および培養の両者を必要とする場合がある。

効果的な管理を行うには,常に評価を行うことが絶対に必要である。経過を追って写真撮影を行えば,治癒過程の記録にもなる。

予後と治療

初期のPUなら,時期を失せずに適切な治療を行えば予後は極めて良好であるが,典型的な場合,治癒には数週間を要する。残念なことに,PUはしばしば最適なケアの行われていない患者に生じる;このことが改善されなければ,たとえ短期的に創傷治癒が達成されても,長期の転帰は不良である。

治療では,多数の事柄を同時に行う必要がある。

圧迫の軽減: 組織にかかる圧力の軽減は,体位,保護具,支持面の変更で達成される。頻回の体位変換(および適切な体位の選択)が最も重要である。寝たきりの患者では,最低2時間毎に体位を変換し,体の横を下にする(すなわち側臥位)ときは大転子に直接圧迫がかかるのを避けるためマットレスに対して30°の角度で臥床させ,ベッドからずり落ちることで組織にずれ力が加わるのを避けるため体の挙上は可能な限り最小限度にとどめるべきである。ストライカー枠があると,脊髄損傷患者の体位変換に便利である。座位が可能な患者では,15〜60分毎に体位を変えるよう元気づけるか仕向けるべきである。

保護用パッドには,側臥位で膝,足首,踵の間に用いる枕または楔形のフォーム,および仰臥位で用いる枕,フォーム,ヒツジ皮でできた踵保護具がある。骨折のために動けない患者では,ギプスの圧迫部位に窓を開けておくべきである。椅子に座れる患者には柔らかな座布団を敷いてもらうべきである。

寝たきり患者の下にある支持面を変えて,圧迫を軽減してもよい。患者が自力で体位変換できず,定期的な体位変換をするケアができない場合は,標準的なマットレスを他のマットレスに変える適応である。支持面は動かないものと動くものがある。動かない支持面は電気を必要とせず,空気,フォーム,ゲル,水の表面層とマットレスでできている。旧式の“矩形格子”マットレスは利点がない。一般に,動かない支持面を用いると支持面の面積が増え,圧迫およびずれ力が軽減する;動かない支持面は,PUのない高リスクの患者およびステージ1のPUをもつ患者に適応である。動く支持面は電気が必要である。圧変動マットレスにはエアセルがあり,ポンプの作用でこれらが交互に膨張したり収縮したりして,支持圧の位置を次々に変える。ロー-エアロスマットレスは空気を通す大きな枕であり,常時空気で膨張している;空気流には組織を乾燥させる効果がある。これらの特殊なマットレスは,動かない支持面の上では充血を来すステージ1の潰瘍をもつ患者,およびステージ3または4の潰瘍をもつ患者に適応である。エアフローティングマットレスまたはハイ-エアロスマットレスはシリコンでコーティングされたビーズを含み,これらのビーズはポンプの作用で空気がベッドを通るときに液状となる。利点として,表面の湿気を軽減する作用および冷却作用がある。これらは治癒しないステージ3および4の潰瘍をもつ患者,または体幹に多数の潰瘍をもつ患者に適応である(圧迫性潰瘍: 支持面の種類表 2: 表を参照)。

表 2

支持面の種類

動かない

動く

標準的な病院のマットレス

フォーム

動かない浮動システム(空気または水)

圧変動システム

ロー-エアロスシステム

エアフローティングシステム(ハイ-エアロスシステム)

支持面の増加

なし

あり

あり

あり

あり

あり

圧迫の軽減

なし

あり

あり

あり

あり

あり

ずれの軽減

なし

なし

あり

あり

不明

あり

熱の軽減

なし

なし

なし

なし

あり

あり

低湿度環境の保持

なし

なし

なし

なし

あり

あり

価格

低価

低価

低価

中程度

高価

高価

Adapted from Bergstrom N et al: US Agency for Health Care Policy and Research.Pressure Ulcer Treatment (Quick Reference Guideline Number 15).AHCPR Publication no. 95-0653, December 1994.

潰瘍のケア: 適切な洗浄,デブリドマン,ドレッシングが必要である。

洗浄は初回に行い,その後はドレッシング交換のたびに行うべきである;通常,普通のセッケンと水が最も優れている。ヨウ素,過酸化水素,さらには抗菌洗浄剤などの抗菌薬は,組織の治癒を妨害するので避けるべきである。洗浄は,組織を傷害することなく,細菌を除去するのに十分な圧力をかけて,生理食塩水で勢いよく洗う;この操作は,市販の注射器,絞り出しボトル,電気で圧力をかける装置で行うことができる。または,35mLの注射器と19ゲージの静脈内カテーテルも使える。勢いよく洗う処置は,組織残屑が剥れなくなるまで続けるべきである。

死んだ組織を除去するにはデブリドマンが必要である。デブリドマンの方法はいくつかある。自家融解によるデブリドマンでは,合成の密封包帯を用い,創傷の体液中に正常に存在する酵素が死んだ組織を消化するのを促進させる。自家融解によるデブリドマンは,単に組織タンパクが蓄積した小さな創面,およびとにかく密封する必要がある創面(例,便や尿から保護するため)に用いてもよい。DuoDERMまたはContreet(銀を含有しているので抗微生物作用がある)がよく用いられる。感染創なら密封すべきではない。

Wet-to-dryドレッシング,水療法(渦流浴),創面の勢いよい洗浄,デキストラノマー(浸出液および液体状の組織残骸の吸収を助ける炭水化物をベースにした小さなビーズ)による機械的デブリドマンは,滲出液が濃厚な場合または壊死組織が疎な場合に用いるべきである。黒色壊死(踵の潰瘍では黒色壊死があっても浮腫,紅斑,波動,排液がなく,そのまま放置しても安全なので,踵の潰瘍は除く)または広範な死んだ組織を除去するのにメスまたは剪刀を用いてもよい。中等度の黒色壊死または組織なら患者のベッドサイドでデブリドマンを行ってもよいが,広範な部位または深い部位は手術室でデブリドマンを行うべきである。蜂巣炎が進行していたり敗血症の場合は,緊急デブリドマンの適応である。

酵素的デブリドマン(コラゲナーゼ,パパイン,フィブリノリジン,ストレプトキナーゼ/ストレプトドルナーゼを使用)は,患者のケアを行う者が機械的デブリドマンを行う訓練を受けていない場合,または患者が手術に耐えられない場合に行う方法である。酵素の浸透を助けるためにメスで創面に縦横の切れ目を入れてから酵素的デブリドマンを行えば,最も効果的である。コラーゲンは皮膚の乾燥重量の75%を占めているので,コラゲナーゼは特に有効である。

ドレッシングは,摩擦または失禁にさらされるステージ1の潰瘍および他の全ての潰瘍に用いるべきである(圧迫性潰瘍: 圧迫性潰瘍のドレッシング法表 3: 表を参照)。この目的は,潰瘍底を湿潤状態に保って組織の成長因子を保持するとともにある程度水分を蒸発させて酸素を流入させること;周囲の皮膚を乾燥状態に保つこと;自家融解を促進させること;感染に対するバリアを確保することである。浸出液が多くない潰瘍なら透明なフィルム(例,OpSite,Tegaderm,Bioclusive)で十分である;これらは空洞を覆うのに用いるべきではなく,3〜7日毎に交換しなければならない。専門家の中には,ドレッシングの下にtriple antibiotic軟膏を少量使用するよう勧める者もいる。ハイドロジェル(ClearSite,Vigilion,FlexiGel)は架橋ポリマーのドレッシングで,シートまたはゲルの形で市販されており,浸出液がわずかで再表皮化しつつある創面などの非常に浅い創面に適応がある。

表 3

圧迫性潰瘍のドレッシング法

潰瘍の型*

説明

目的

使用材料

使用法

浅い(ステージ2)

乾燥し,滲出液はわずか

湿潤状態を作り出すか保持する;感染防御

透明なフィルムまたはハイドロジェル

覆う場合:透明のフィルム,薄いハイドロコロイド,薄いポリウレタンフォーム

包み込む場合:非固着性ガーゼによるドレッシング

 

湿潤し,中等度から大量の滲出液がある

滲出液の吸収;自家融解の促進;湿潤状態の維持;感染防御

ハイドロコロイドまたはフォームによるドレッシング

覆う場合:アルギネート,ハイドロコロイド単独またはハイドロコロイドにペーストまたはパウダーを併用,ポリウレタンフォーム

包み込む場合:ガーゼによるドレッシングまたは吸収性の被覆剤

深い(ステージ3-4)

乾燥し,滲出液はわずか

空洞を埋める,湿潤状態を作り出すか維持する,感染防御

ハイドロコロイド,アルギネート,フォームによるドレッシング

埋める場合:コポリマーのスターチ,ハイドロジェル,湿ガーゼ

覆う場合:透明の薄いフィルム,ポリウレタンフォーム,ガーゼパッド

 

湿潤し,中等度から大量の滲出液がある

空洞を埋める,滲出液の吸収,湿潤状態の維持,感染防御

アルギネートまたはフォームによるドレッシング

埋める場合:コポリマーのスターチ,デキストラノマーのビーズ,アルギン酸カルシウム,ハイドロファイバー,ハイドロセルのガーゼまたはフォーム

覆う場合:透明な薄いフィルム,ポリウレタンフォーム

*ステージ1の潰瘍では,通常ドレッシングは不要である。

ハイドロコロイド(例,RepliCare,DuoDERM,Restore,Tagasorb)はゼラチン,ペクチン,カーボキシメチルセルロースを組み合わせたもので,薄層,パウダー,ペーストの形をしており,浸出液が軽度から中等度のものに適応がある;確実に潰瘍に密着させるよう,一部の製品には粘着面があり,他の製品では典型的な場合透明なフィルムで覆われているが,これらは3日毎に交換しなければならない。アルギネート(海藻から取ったアルギン酸を含む多糖類の誘導体)はパッド,紐,リボンの形で市販されており(AlgiSite,Sorbsan,Curasorb),浸出液が著しい場合および外科的デブリドマン後の出血制御に適応がある。フォーム型のドレッシング(Allevyn,LYOfoam,Hydrasorb,Mepilex,Curafoam,Contreet)は様々な量の浸出液に対応でき,創傷治癒のために湿潤環境を提供できるので有用である。水を通さない型の製品は,皮膚を失禁から保護する。粘着面をもった製品は貼った場所に長くとどまり,交換回数が少なくてすむ。

疼痛の管理: 疼痛に対する基本的な対処はPUそのものの治療であるが,NSAIDまたはアセトアミノフェンを軽度から中等度の疼痛に用いる。オピオイドは,鎮静作用のため患者が一層体を動かさなくなるので,可能なら避けるべきである(オピオイドはドレッシング交換およびデブリドマンで必要なこともある)。認知障害のある患者では,バイタルサインの変化を疼痛の目安に用いることができる。

感染の管理: PUでは,紅斑,熱感,排液の増加,発熱という臨床徴候を用いて,細菌感染を断続的に再評価すべきである;白血球増多があればさらに細菌感染の証拠となる。局所治療としては,スルファジアジン銀,triple antibiotic,メトロニダゾールがある(メトロニダゾールは,しばしば悪臭を発する嫌気性菌に用いる)。蜂巣炎,菌血症,骨髄炎に対する抗生物質の全身投与は,組織培養または疑わしい臨床症状に基づいて行うべきであり,創面の培養に基づいて行うべきではない。

栄養: 栄養不良はPU患者でよくみられ,治癒を妨げる危険因子である。栄養不良の目安には,アルブミンが3.5g/dL未満および/または体重が理想体重の80%未満がある。最も良好な治癒が起こるためには,1.25〜1.5g/kg/日のタンパク摂取が望ましい;経口的または非経口的にサプリメントが必要になることもある(栄養の補給を参照 )。亜鉛のサプリメントは創傷治癒を助け,50mg,1日3回の用量で補充すれば有用なことがある。ビタミンC1g/日をサプリメントで補充してもよい。

補助療法: 今までに試みられた補助療法,現在検討中の補助療法が多数ある。陰圧療法,種々の遺伝子組み換え成長因子(例,神経成長因子,血小板由来成長因子-BB)の外用薬の使用,人工皮膚は創傷管理に有望である;しかし,これらは機械的な力および組織の虚血を改善するわけではない。電気刺激,温熱療法,マッサージ療法,高圧酸素療法の有効性は証明されていない。

手術: 潰瘍に死んだ組織が付着しておれば,手術的デブリドマンが必要である。大きな欠損がある場合,特に筋骨格構造が露出している場合は,外科的に閉鎖する必要がある。皮膚移植は,大きく浅い欠損に有用である。しかし,移植片は血液の供給を増すわけではないので,虚血を生じるに至るまで圧迫が加わってさらに組織崩壊が生じるのを防止する方策を講じなければならない。筋皮弁は圧迫に耐える容積があり血流に富んでいるので,大きな骨突出部(例,仙骨,腸骨,大転子)を覆う部位を閉鎖するのに用いる。

虚血性および静脈性潰瘍: 創傷ケアの方法は虚血性潰瘍にも有用であるが,根底にある病態生理に目を向けなければならない(例,リウマチ性潰瘍では炎症のコントロールを改善する,粥状硬化では循環の改善を目的として外科的ステントを使用したりバイパス手術を行う)。ペントキシフィリンが今までに試みられたが,ほとんど効果がなかった。糖尿病足の潰瘍に対するダルテパリンの使用(治癒するまで5000単位,皮下,1日1回)を支持するエビデンスがいくつかある;しかし,この知見は確認されていない。虚血性潰瘍は感染することがあり,それもしばしば嫌気性菌が感染し,感染が拡大して敗血症または骨髄炎を来すことがある。

典型的な場合,静脈性潰瘍は初めのうち無菌性であるが,蜂巣炎を発症する傾向がある。PUと同じ局所ケアを用いることができる。さらに,圧迫ストッキングやウンナブーツ(35〜40mmHgの圧で装着),心臓よりも高く下肢を挙上するといった静脈圧亢進を軽減する方法も治療の一環である。ペントキシフィリン800mg,経口,1日3回,24週までの投与も有用なことがある。

予防

予防には,リスクの高い患者を見つけ出し,スキンケアおよび衛生状態に目を光らせる必要がある。圧迫のかかる部位では,少なくとも1日1回,適切な光の下で紅斑や外傷の有無を調べるべきである。患者とその家族には,潰瘍形成の可能性がある部位に毎日視診と触診を行う習慣をつけるよう教えなければならない。

予防の主体となるのは頻回の体位変換である。骨表面を覆う部位では,2時間以上圧迫がかかり続ける状況を許すべきではない。自力で動けない患者は,枕を使って体位変換をしてやらなければならない。圧力の低いマットレスに臥床していても,患者は体位変換させなければならない。

浸軟と二次感染を防ぐため,衛生状態と乾燥に毎日注意することが必要である。羊皮の上に臥床すれば,皮膚を良好な状態に保つ一助となる。防護用パッド,枕,羊皮は皮膚と皮膚が合わさるのを防ぐのに使用できる。

寝具および衣服は頻回に交換すべきである;柔らかく清潔で,しわやブツブツのないシーツを用いるべきである。皮膚は暖かな日にスポンジで洗い,入浴後よく乾燥させるべきである。失禁のある患者では,潰瘍を汚染から保護すべきである;この目的のためには合成のドレッシングが有用である。皮膚の崩壊は,注意深く洗浄して皮膚を乾かし(皮膚をポンポンと叩き,皮膚を擦らない),抗カンジダ作用のあるクリームおよび湿気を与えるバリアクリームまたは皮膚保護作用のある拭き取りティッシュ(例,Skin-Prep)を用いることで予防できる。摩擦の生じる部位にプレーンタルクを用いてもよい。コーンスターチは真菌の増殖を許すことがある。

過度の鎮静は避けるべきで,体を動かすよう励ますべきである。十分な栄養が重要である。粘着テープは刺激になり,潰瘍に隣接する脆弱な皮膚を剥がすことさえあるので,粘着テープの使用は最小限にとどめるべきである。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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