メルクマニュアル18版 日本語版
検索のヒント
ABCDEFGHI
JKLMNOPQR
STUVWXYZ
記号

セクション

トピック

骨髄異形成症候群

骨髄異形成症候群は,末梢の血球減少,異形成性の造血前駆細胞,過形成の骨髄,AMLへの転換のハイリスクに代表される障害の集まりを含む。症状は,最も影響を受けた細胞系列に起因し,疲労,脱力,蒼白(貧血に続発),感染症および発熱(好中球減少に続発)の増加,出血および紫斑(血小板減少に続発)の増加などがある。診断は,血球数,末梢血塗抹標本および骨髄穿刺によって行う。5-アザシチジンによる治療が役立つこともある;AMLが併発する場合は,通常のプロトコルに従って治療を行う。

病因と病態生理

骨髄異形成症候群(MDS)は,しばしば前白血病,不応性貧血,フィラデルフィア染色体陰性慢性骨髄性白血病,慢性骨髄単球性白血病,または原因不明性骨髄様化生と称され,造血前駆細胞の体細胞突然変異の結果生じる障害の集まりである。病因はしばしば不明であるが,リスクはベンゼン,放射線,化学療法薬(特に長期または強力なレジメンの場合,およびアルキル化剤,エピポドフィロトキシンを使用する場合)への暴露に伴い増大する。

MDSは赤血球系,骨髄系,巨核球系を含む造血細胞のクローン性増殖によって特徴づけられる。骨髄は正常または過形成であり,無効造血が貧血(最も一般的),好中球減少,および/または血小板減少を引き起こすことがある。造血障害は,骨髄や血中の血球の形態的異常も伴う。髄外造血が生じ,肝腫および脾腫が引き起こされる。骨髄線維症が時に診断時にみられたり,MDSの過程で生じることがある。分類は,血液と骨髄の所見によって行う( 白血病: 骨髄異形成症候群の骨髄所見と生存期間表 4: 表参照)。MDSクローンは不安定であり,AMLに進行する傾向がある。

表 4

骨髄異形成症候群の骨髄所見と生存期間

分類

基準

生存期間中央値(年)

不応性貧血

網赤血球減少を伴う貧血,赤芽球過形成および赤血球生成障害を伴う正常または過形成の骨髄;芽球は5%以下

5

鉄芽球を伴う不応性貧血

不応性貧血に同じだが,NMCの15%を超える環状鉄芽球を伴う

5

芽球増加型不応性貧血

血液細胞の形態学的異常を伴い2種以上の細胞系で血球減少が一部にみられる;赤血球生成障害および顆粒球異形成を伴う骨髄過形成;芽球=NMCの5〜20%

1.5

慢性骨髄単球性白血病

芽球増加型不応性貧血に同じで,血中の絶対的単球増加を伴う;骨髄の単球前駆細胞が著しく増加

1.5

転換期の芽球増加型不応性貧血

芽球増加型不応性貧血で,次のうち1つ以上が当てはまる:血中の芽球が5%以上,骨髄中の芽球が20〜30%,顆粒球前駆細胞にアウエル小体

0.5

NMC=有核骨髄細胞。

症状と徴候

症状は,最も影響を受けた細胞系列を反映する傾向があり,蒼白,脱力,疲労(貧血);発熱,感染症(好中球減少);紫斑の増加,点状出血,鼻出血,粘膜出血(血小板減少)などがある。脾腫と肝腫は一般的である。症状は他の基礎疾患に起因することもある;例えば,既存の心血管系疾患がみられる高齢患者において,MDSによる貧血が狭心痛を増悪させることがある。

診断

MDSが疑われるのは,不応性貧血,白血球減少,または血小板減少がみられる患者(特に高齢者)である。先天性疾患,ビタミンの欠乏症,薬物の副作用によって二次的に発生した血球減少は,除外しなければならない。診断は,末梢血と骨髄を検査するとともに,特定の系統の細胞の10〜20%にみられる形態学的異常を同定することによって行う。

貧血は最も一般的な特徴であり,通常は大赤血球症と赤血球大小不同を伴う。このような変化は自動血球計算機によってMCVとRDW(赤血球分布幅)の増加として示される。通常,ある程度の血小板減少がある;血液塗抹標本では血小板の大きさが不同で,低顆粒にみえることもある。白血球数は正常である場合もあれば,増加または減少していることもある。好中球の細胞質顆粒は異常であり,大小不同,顆粒数のばらつきを伴う。好酸球にも異常顆粒がみられることがある。偽ペルゲル-フェット核異常細胞(低分葉核好中球)もみられることがある。単球増加は慢性骨髄単球性白血病亜型の特徴であり,未熟骨髄細胞がより未分化な亜型でみられることもある。細胞遺伝学的パターンは通常異常であり,1つまたはそれ以上のクローン性細胞遺伝学的異常が,しばしば第5番または第7番染色体に関与する。

予後と治療

予後を大きく左右するのは,病型と合併症の有無である。不応性貧血や鉄芽球を伴う不応性貧血の患者がより悪性のタイプへ進行するのはまれで,無関係の原因で死亡することもある。

アザシチジンは症状を改善し,白血病への転化率と輸血の必要性を低下させ,おそらく生存期間も改善する。その他の治療は支持療法であり,適応があれば赤血球輸血を行い,出血に対しては血小板輸血を施行し,感染症に対しては抗生物質療法を行う。患者によっては,赤血球の需要を補助するためのエリスロポエチン,重度の症候性顆粒球減少を管理するための顆粒球コロニー刺激因子,また,入手可能であれば重度の血小板減少のためのトロンボポエチンが,造血の重要な補助となりうるが,生存期間の延長については証明されていない。同種幹細胞移植は有用であり,また骨髄非破壊的同種骨髄移植については,50歳以上の患者を対象に現在研究中である。患者の年齢と核型を考慮に入れれば,AML化学療法に対するMDSの反応は,AMLにおける反応と類似している。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

ページの先頭へ

前へ: 慢性白血病

イラスト
個人情報の取扱いご利用条件