メルクマニュアル18版 日本語版
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非ホジキンリンパ腫

非ホジキンリンパ腫は異質の障害の集まりであり,リンパ節,骨髄,脾臓,肝臓,胃腸管を含むリンパ細網部位におけるリンパ系細胞の単クローン性の悪性増殖である。通常みられる初発症状には,末梢のリンパ節腫脹が含まれる。しかしながら,型によっては,リンパ節腫脹が認められないものの循環血中に異常なリンパ球が認められる。ホジキンリンパ腫に比べ,診断時に播種性疾患である可能性が大きい。診断は通常,リンパ節および/または骨髄生検に基づいて行う。治療には,放射線療法および/または化学療法があり,その他に通常は不完全寛解や再発後のサルベージ療法のために用いられる幹細胞移植がある。

非ホジキンリンパ腫(NHL)はホジキンリンパ腫より多くにみられる。この疾患は米国で6番目に多い癌であり,毎年約56,000の新しい症例が全ての年齢層で診断されている。しかしながら,NHLは一疾患ではなく,むしろリンパ球系の悪性疾患の一群である。発生率は年齢とともに増加する(年齢中央値,50歳)。

病因と病態生理

NHLのほとんど(80〜85%)がB細胞から生じ,残りはT細胞またはナチュラルキラー細胞から生じる。全ての症例において,前駆細胞または成熟細胞のどちらかが侵される。

NHLの原因は不明であるが,白血病と同様に,多くの証拠からウイルス性の原因(例,ヒトT細胞白血病-リンパ腫ウイルス,エプスタイン-バー-ウイルス,HIV)が示唆される。NHLの危険因子には,免疫不全(移植後の免疫抑制,AIDS,原発性の免疫疾患,乾燥症候群,関節リウマチに続発),ヘリコバクター-ピロリ感染,特定の化学物質暴露,ホジキンリンパ腫の治療歴などがある。NHLは,HIV感染患者の中で2番目に多くみられる癌であり(ヒト免疫不全ウイルス: 非ホジキンリンパ腫を参照 ),一部のAIDS患者にはリンパ腫で発症する。C-myc遺伝子の再構成は,一部のAIDS関連リンパ腫に特徴的である。

白血病とNHLは,リンパ球またはその前駆細胞の増殖を伴うことから,両者の間には共通するところがある。一部の型のNHLを有する小児の50%,成人の約20%までに,末梢血中のリンパ球増加および骨髄での併発を伴うの白血病様の臨床像がみられる。鑑別が困難な場合があるものの,一般に患者のリンパ節浸潤(特に縦隔)がより広範囲で,循環血中の異常な細胞がより少なく,骨髄中の芽球型がより少ない場合(25%未満)には,リンパ腫を有するものとみなされる。白血病期は,バーキットリンパ腫とリンパ芽球性リンパ腫を除き,侵攻性のリンパ腫にみられることはあまりない。

進行性免疫グロブリン産生低下による低ガンマグロブリン血症が患者の15%に生じ,重篤な細菌感染をまねくこともある。

分類

NHLの病理学的分類は,この多様な疾患群の起源の細胞や生物学的根拠に対する新しい洞察を反映しながら継続的に更新されている。WHO分類( リンパ腫: 非ホジキンリンパ腫の亜型(WHO分類)表 5: 表)は免疫表現型,遺伝型,および細胞遺伝学を取り入れているため有用であり,その他にも多数の分類法がある(例,Lyon分類)。WHO分類法により認定された中で最も重要な新型のリンパ腫は,粘膜関連リンパ腫(MALT―胃炎および消化性潰瘍: 粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫(偽リンパ腫)を参照 );マントル細胞リンパ腫(以前のびまん性小切れ込み細胞性リンパ腫);および症例の75%がT細胞由来,15%がB細胞由来,10%が分類不能という不均一な疾患である未分化大細胞リンパ腫である。しかしながら,その病型の多さにもかかわらず,特定のT細胞リンパ腫を除き治療はしばしば類似したものとなる。

表 5

非ホジキンリンパ腫の亜型(WHO分類)

B細胞由来

T細胞およびナチュラルキラー細胞由来

前駆B細胞腫瘍

前駆T細胞腫瘍

前駆Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫*

前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病*

成熟B細胞腫瘍

成熟T細胞腫瘍

B細胞慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫†

T細胞前リンパ球性白血病†

T細胞顆粒リンパ球性白血病*

B細胞前リンパ球性白血病†

侵攻性NK細胞白血病*

リンパ形質細胞性リンパ腫†

成人T細胞リンパ腫/白血病*(HTLV 1-陽性)

脾性辺縁帯B細胞リンパ腫(±有毛リンパ球)†

節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型*

有毛細胞白血病†

腸症型T細胞リンパ腫*

形成細胞骨髄腫/形質細胞腫†

肝脾γ-δT細胞リンパ腫*

MALT型の節外性辺縁帯B細胞リンパ腫†

皮下脂肪組織炎様T細胞リンパ腫*

節性辺縁帯B細胞リンパ腫(±単球様B細胞)†

菌状息肉腫/セザリー症候群†

未分化大細胞リンパ腫,T/ヌル細胞,皮膚原発型*

濾胞性リンパ腫†

マントル細胞リンパ腫‡

未分化大細胞リンパ腫,T/ヌル細胞,全身原発型*

びまん性大B細胞リンパ腫*(縦隔大B細胞リンパ腫,原発性滲出液リンパ腫を含む)

末梢T細胞リンパ腫,それ以外は他に特定されない*

バーキットリンパ腫*

血管免疫芽球性T細胞リンパ腫*

MALT=粘膜関連リンパ組織;NK=ナチュラルキラー;HTLV=ヒトT細胞白血病ウイルス1。

*侵攻型。

†低悪性度型。

‡低悪性度型だがより急速に進行。

リンパ腫はまた一般的に,低悪性度型か侵攻型に分類される。低悪性度型のリンパ腫は進行が遅く,治療に反応するものの治癒は不可能である。侵攻性のリンパ腫は急速に進行するが,治療には反応し,しばしば治癒可能である。

小児では,NHLはほとんどの場合が侵攻性である。濾胞性およびその他の低悪性度のリンパ腫は非常にまれである。これらの侵攻性のリンパ腫(バーキット,びまん性大B細胞,リンパ芽球性リンパ腫)の治療には,消化管病変(特に回腸末端);髄膜への播種(CSFの予防または治療を要する);およびその他聖域部位の浸潤(精巣または脳など)を含め,特別に懸念される点がある。さらに,これらの治癒の可能性のあるリンパ腫の場合,治療成績に加えて,二次性悪性腫瘍の晩期のリスク,心肺系の続発症,生殖能の温存,発達への影響などの治療の副作用について考慮しなければならない。現在の研究は,分子生物学的異常や小児のリンパ腫の予測因子などとともに,これらの領域に焦点を当てている。

症状と徴候

多くの患者が無症状の末梢リンパ節腫脹を呈する。腫大したリンパ節は弾性的で分離しているが,後に癒合する。患者の一部は疾患が限局性であるが,大半の患者は多くの病変部位を有する。縦隔や後腹膜のリンパ節腫大は,様々な臓器に対する圧迫症状を引き起こすことがある。リンパ節外の部位が,臨床像を支配することもある(例,胃病変が消化管の癌に類似する;小腸のリンパ腫が吸収不良症候群の原因となりうる;NHLを発症するHIV患者はしばしば中枢神経系の浸潤を呈する)。

侵攻性リンパ腫患者の15%と,低悪性度のリンパ腫患者の7%は,初期に皮膚や骨が侵される。時に,広範囲な腹部または胸部病変がある患者に,リンパ管閉塞を原因とする乳糜性腹水または胸水が生じる。体重減少,発熱,寝汗および無力症は,疾患が播腫性であることを示す。患者は肝腫や脾腫も有する場合がある。

ホジキンリンパ腫ではまれだがNHLでは一般的にみられる問題が2点ある:上大静脈の圧迫からくる顔および頸部のうっ血および浮腫(上大静脈症候群または上縦隔症候群)が生じることがある。また,後腹膜および/または骨盤リンパ節が尿管を圧迫することにより,尿流を遮断し二次性腎不全を引き起こすことがある。

貧血は患者の約33%において初期にみられるが,最終的に大半の患者に生じる。これは,血小板数の低下を伴うまたは伴わない消化管リンパ腫からの出血;脾機能亢進症やクームス陽性溶血性貧血による溶血;リンパ腫による骨髄浸潤;または化学療法や放射線療法による骨髄抑制によるものである。

急性成人T細胞白血病-リンパ腫(HTLV-1に伴う)には,皮膚浸潤,リンパ節腫脹,肝脾腫および白血病を伴う急激な臨床経過がある。白血病細胞は悪性のT細胞で,多くは曲がった形の核をもつ。高カルシウム血症はしばしば,直接的な骨浸潤よりも,むしろ体液性の因子により出現する。

未分化大細胞リンパ腫の患者は,急速に進行する皮膚病変,リンパ節腫脹,内臓病変を有する。この疾患は,ホジキンリンパ腫や転移性未分化癌と間違われることがある。

診断

NHLは通常,無痛性のリンパ節腫脹や,ルーチンの胸部X線で検出される縦隔リンパ節腫大を呈する患者において疑われる。無痛性のリンパ節腫脹はまた,伝染性単核球症や,トキソプラズマ症,サイトメガロウイルス,白血病に起因する。胸部X線所見は肺癌,サルコイドーシス,または結核に類似したものとなりうる。あまり一般的ではないが,非特異的症状に対して行った全血球計算で末梢血中のリンパ球増加の所見により発見される患者がいる。このような症例では,鑑別診断には,白血病,エプスタイン-バー-ウイルス感染,ダンカン症候群が含まれる。

胸部X線撮影を以前に実施していない場合は撮影し,リンパ節腫脹がCTまたはPETスキャンにて確定された場合はリンパ節生検を行う。縦隔リンパ節が腫大した場合に限り,患者はCTガイド下の針生検か縦隔鏡検査を受ける必要がある。一般的には,全血球計算,アルカリホスファターゼ,腎機能検査,肝機能検査,LDH,尿酸の検査を行う。その他の検査は所見に応じて実施する(例,脊髄圧迫の症状や中枢神経系の異常に対してはMRI)。

生検に関する組織学的基準は,特徴的な腫瘍細胞による正常なリンパ節構造の破壊と,被膜や近隣の脂肪組織への浸潤である。起源細胞を決定する免疫表現型検査は特異的な亜型を同定し,予後の推定や治療方針の決定に役立つ;これらの検査は末梢血細胞に対しても実施できる。免疫ペルオキシダーゼによる白血球共通抗原CD45を明らかにすることにより,転移性の癌が除外され,この方法は“未分化な”癌の鑑別診断においてしばしば使われる。白血球共通抗原,大半の表面マーカー検査,遺伝子再構成(B細胞やT細胞のクローン化の実証のため)に関する検査は,固定組織にて行うことができる。細胞遺伝学的検査とフローサイトメトリーには新鮮組織が必要である。

病期分類: 限局性のNHLも生じるが,初診時にこの疾患は典型的に播種性を呈する。病期分類の手技には,胸部,腹部,骨盤のCT;PET;骨髄生検がある。最終的なNHLの病期分類(リンパ腫: ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫のAnn Arbor分類のコッツウォールド修正版表 3: 表参照)は,ホジキンリンパ腫の分類に類似しており,臨床的および病理学的所見に基づいて行う。

予後

T細胞リンパ腫の患者は一般的にB細胞型の患者よりも予後が悪いが,最近の強力な治療プログラムによって違いは少なくなる可能性がある。

生存期間もまた他の因子によって異なる。国際予後指標(IPI)は侵攻性のリンパ腫に頻繁に用いられている。IPIでは次の5つを危険因子とみなす:年齢が60歳を超える,PSが不良(Eastern Cooperative Oncology Groupの手法で測定),LDHの上昇,リンパ節外の部位が複数ある,病期がⅢ期またはⅣ期。治療成績は危険因子の数が増えるとともに悪化する;実際の生存期間は細胞の型により異なるが,例えば大細胞リンパ腫の場合,危険因子が0または1つの患者は5年生存率が73%であるのに対し,危険因子が4または5つの患者は26%となる。一般に,危険因子が2つ以上の患者に対しては,より強力な治療か実験的な治療を検討すべきである。修正IPI(FLIPI)が,低悪性度のリンパ腫で研究されている。

治療

治療は細胞型によりいくらか異なるが,その数があまりにも多いため本書で詳しく述べることができない。限局性疾患 vs 進行性疾患,および侵攻型 vs 低悪性度型に関しては,一般化できる。バーキットリンパ腫および菌状息肉腫については,以下で述べる。

限局性疾患(Ⅰ期およびⅡ期): 低悪性度リンパ腫の患者に限局性疾患がまれにみられるが,限局性疾患は局所への放射線療法により長期間制御される。しかしながら,放射線療法後10年を超えてから再発することがある。

侵攻性のリンパ腫を有する患者の約2分の1は限局性の疾患を呈し,局所放射線を伴うまたは伴わない多剤併用化学療法により,通常は治癒する。リンパ芽球性リンパ腫,またはバーキットリンパ腫の患者については,見かけ上が限局性であっても,髄膜の予防療法を伴う強力な多剤併用化学療法を行わなければならない。維持化学療法も必要な場合もあるが(リンパ芽球性),治癒は期待できる。

進行疾患(Ⅲ期およびⅣ期): 低悪性度のリンパ腫については,治療はかなり多様である。経過観察する方法(watch-and-waitアプローチ),アルキル化剤単独での治療,または2剤もしくは3剤のレジメンが用いられることもある。治療法の選択肢を選ぶ際に考慮される基準は,年齢,全身状態,疾患の広がり,腫瘍容積,組織像,期待される治療の利益などである。B細胞に特異的な抗CD20抗体であるリツキシマブとその他の生物学的製剤が有益でありうる;これらの薬物のうち1つを化学療法と併用するか,または単独投与できる。最近報告された放射線標識抗体療法も前途有望であると思われる。生存年数は長期にわたるが,晩期再発が生じるので長期間の予後は好ましくない結果となる。

侵攻性のB細胞リンパ腫(例,びまん性大B細胞)を有する患者の場合,標準的な薬物の併用はR-CHOP療法(リツキシマブにシクロホスファミド,ヒドロキシダウノルビシン[ドキソルビシン],ビンクリスチン,プレドニゾンを加える)である。IPI区分に応じて,患者の70%以上に疾患の完全な退縮を期待できる。完全に反応した患者の約70%以上が治癒し,治療後2年間の再発はまれである。

自家移植は,初診時の治療法として研究されているところである。IPIを用いることによってハイリスクの患者を同定し,治療の強度を選択できる。この治療により治癒率が上昇するか否かについては研究段階にある。マントル細胞リンパ腫を有する若年患者の一部も候補となることがある。

侵攻性のリンパ腫の再発: 初回化学療法後,最初の再発は,ほとんど全ての場合が自家幹細胞移植で治療される。患者は,70歳以下であるか,またはこれと同等の健康状態であり,疾患が反応性で,PSは良好,また汚染されていない十分な数のCD34+幹細胞(末梢血または骨髄から収集)を有していなければならない。強化骨髄除去的療法には,放射線照射を伴うまたは伴わない化学療法が含まれる。移植後免疫療法(例,リツキシマブ,予防接種,IL-2)については研究されているところである。

同種移植とは,適合ドナー(兄弟姉妹または適合非血縁ドナー)由来の幹細胞の提供である。幹細胞の作用は二面的である:正常血球数に再構築することと,移植片対腫瘍作用の可能性をもたらすことである。

治癒は,骨髄除去的療法を受けた侵攻性の適格なリンパ腫患者の30〜50%に期待できる。低悪性度のリンパ腫の自家移植による治癒するかはまだ不明であるが,二次的な緩和的治療を単独で行うよりも良い寛解を得られる。骨髄除去的移植を受ける患者の死亡率は,ほとんどの自家移植手技において2〜5%と劇的に低下し,ほとんどの同種移植手技で15%未満になっている。

標準投与および高用量化学療法における晩期続発症として,特に骨髄異形成および急性骨髄性白血病などの二次性悪性腫瘍が生じる。放射線療法を併用する化学療法ではこの危険性が高くなるが,それでも発生率は約3%にすぎない。

バーキットリンパ腫

バーキットリンパ腫は,主に小児に生じるB細胞リンパ腫である。風土性(アフリカ人),散発性(非アフリカ人),免疫不全関連の型がある。

バーキットリンパ腫は中央アフリカでは風土病であり,米国では小児のリンパ腫の30%を占める。アフリカ風土性の型は,しばしば顎や顔面骨の腫大化として現れる。非アフリカ人のバーキットリンパ腫の場合は,腹部病変が多く,しばしば回盲弁や腸間膜領域に生じる。腎臓,卵巣,または乳房も侵されることがあり,成人では巨大になって全身化し,しばしば肝臓,脾臓,骨髄に大きな病変ができる。中枢神経系病変はしばしば診断時に認められたり,再発時に認められる。

バーキットリンパ腫は最も急速に増殖するヒト腫瘍であり,病理学的所見では,高い細胞分裂割合,単クローン性のB細胞の増殖,およびアポトーシスに陥った悪性リンパ球を取り込んだ良性マクロファージの“星をちりばめた空”のようなパターンを認める。第8染色体上のC-myc遺伝子と第14染色体の免疫グロブリンH鎖遺伝子が関与する特徴的な遺伝子転座がある。風土性リンパ腫ではエプスタイン-バーウイルスと密接に関連している;しかしながら,エプスタイン-バーウイルスが病因として作用するかは不明である。バーキットリンパ腫はAIDS患者にしばしば生じ,AIDSを定義する疾患となることがある。

診断は,リンパ節または別の疑わしい病変部位から採取した組織の生検に基づいて行う。病期分類には体幹のCT,骨髄生検,脳脊髄液細胞診断,およびPETスキャンを行う。

腫瘍増殖が速いため,治療をすぐに開始し,病期分類の検査を迅速に行わなくてはならない。強力な薬剤を交互に投与するレジメンであるCODOX-M/IVAC(シクロホスファミド,ビンクリスチン,ドキソルビシン,メトトレキサート,イホスファミド,エトポシド,シタラビン)は,小児と成人に90%以上の治癒率をもたらすと報告されている。脳脊髄膜浸潤に対する予防が極めて重要である。治療では腫瘍崩壊症候群(癌治療の原則: 腫瘍崩壊症候群を参照 )がよくみられ,患者には静注による水分補給,アロプリノール投与,アルカリ化,および細心の注意を払って電解質(特にKおよびCa)の管理を行わなければならない。

患者が腫瘍に続発する腸閉塞を呈し,初期の治療的/診断的開腹術で腫瘍が完全に切除された場合でも,その後も強力な化学療法が適応となる。治療失敗に対するサルベージ療法は一般に成功せず,非常に強力な初期治療が重要であることを強調している。

菌状息肉腫

菌状息肉腫は,主に皮膚を,時には内臓を侵す,まれな慢性T細胞性リンパ腫である。

菌状息肉腫は,ホジキンリンパ腫およびNHLに比べてまれである。大半の他のリンパ腫とは異なり,発症は潜行性で,時に慢性の診断困難なそう痒性皮疹として発現する。菌状息肉腫は局所的に始まるが,皮膚のほとんどに広がることがある。病変は斑状であるが,結節状になったり潰瘍化することもある。最終的には,リンパ節,肝臓,脾臓,肺を侵して全身性となり,発熱,寝汗,意図しない体重減少などの症状の出現をまねく。

診断は皮膚生検に基づいて行われるが,リンパ腫細胞の量が不十分なことから,初期の組織像は不確実な場合もある。悪性細胞は成熟T細胞(CD4+,CD2+,CD6+)である。特徴のあるポトリエ微小膿瘍が表皮にみられる。一部の症例ではセザリー症候群と呼ばれる白血病期があり,それは末梢血中の曲がりくねった核をもつ悪性T細胞の出現によって特徴づけられている。

菌状息肉腫が確認されたら,体幹のCTスキャンと,骨髄やリンパ節浸潤を確認し骨髄生検により,病期(リンパ腫: ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫のAnn Arbor分類のコッツウォールド修正版表 3: 表参照)を決定する。内臓への侵襲が疑われる場合にはPETスキャンも使用する。

予後と治療

大半の患者が診断時には50歳以上である;治療しない場合でも平均余命は診断後7〜10年である。生存率は診断時の病期次第である。ⅠA期疾患に対して治療を受ける患者の平均余命は,年齢,性別,人種をマッチさせた菌状息肉腫がみられない人々の平均余命と類似している。ⅡB期疾患に対して治療を受ける患者の生存期間は約3年である。Ⅲ期疾患に対して治療を受ける患者の場合は平均4〜6年である。ⅣA期またはⅣB期疾患(皮膚以外の疾患)に対して治療を受ける患者の生存期間は1.5年未満である。

エネルギーのほとんどが組織表面の5〜10mmの部分に吸収される電子線照射療法と,局所的ナイトロジェンマスタード療法が非常に有効であることが明らかになっている。斑状病変は太陽光と外用コルチコステロイドによって治療されることもある。アルキル化剤や葉酸拮抗薬を用いた全身的治療は一時的な腫瘍の縮小をもたらすが,主に他の治療法で失敗した場合や,再発後,またはリンパ節外および/または皮膚以外の疾患が実証された患者に用いる。化学感受性薬を用いた体外光線療法はある程度の効果を示している。アデノシンデアミナーゼ阻害剤,フルダラビンおよび2-クロロデオキシアデノシンも有望であることが示されている。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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