メルクマニュアル18版 日本語版
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マクログロブリン血症(原発性マクログロブリン血症;ワルデンシュトレームマクログロブリン血症)

マクログロブリン血症は,過剰量のIgM M蛋白をB細胞が産生する悪性形質細胞疾患である。症候は,過粘稠,出血,再発性感染症,および全身性リンパ節腫脹などである。診断には骨髄検査およびM蛋白の証明が必要である。治療は過粘稠に必要なプラスマフェレーシスのほか,アルキル化剤,コルチコステロイド,ヌクレオシド類似物質またはリツキサンによる全身治療などがある。

マクログロブリン血症は臨床的に,骨髄腫や他の形質細胞疾患よりもリンパ腫様疾患に似ている。原因は不明である。男性の方が女性よりも侵されやすい;年齢中央値は65歳である。

マクログロブリン血症は,単クローン性ガンマグロブリン血症患者の約12%に発症する。過剰量のIgM M蛋白は,他の疾患においても蓄積することがあり,マクログロブリン血症に似た症状を引き起こす。小量の単クローン性IgM成分がB細胞性非ホジキンリンパ腫患者の約5%の血清中にみられ,この状態はマクログロブリン血症性リンパ腫と呼ばれている。加えて,IgM M蛋白は時に慢性リンパ性白血病や他のリンパ増殖性疾患の患者に存在することがある。

マクログロブリン血症の臨床症候の多くは,血漿内に循環する大量の高分子単クローン性IgM蛋白に起因するものである。これらの蛋白のいくつかは,自己のIgGに対する抗体(リウマチ因子)やⅠ抗原に対する抗体(寒冷凝集素)である。約10%はクリオグロブリンである。続発性アミロイドーシスが患者の5%に起こる。

症状と徴候

大半の患者は無症状であるが,多くは過粘稠度症候群,すなわち疲労,脱力,皮膚や粘膜からの出血,視覚障害,頭痛,末梢神経障害の症状,およびその他変動する神経学的症候を呈する。血漿量の増加は心不全を引き起こしうる。寒冷感受性,レイノー現象,または再発性の細菌感染症が生じることもある。

診察により全身性のリンパ節腫脹,肝脾腫,および紫斑病が明らかになる場合もある。鎖状ソーセージに似た網膜静脈の著しいうっ血や限局性狭窄は,過粘稠度症候群を示唆する。網膜出血,滲出,微細動脈瘤,および乳頭浮腫は晩期に生じる。

診断

マクログロブリン血症は,過粘稠またはその他の典型的な症状を呈する患者において,特に貧血がある場合に疑われる。しかしながら,この疾患はしばしば,蛋白電気泳動で見い出されたM蛋白が免疫固定法でIgMと判明し,たまたま診断される。必要な臨床検査評価には,形質細胞疾患の評価(形質細胞疾患: 多発性骨髄腫を参照 )を用いる検査とともに,クリオグロブリンの測定,リウマチ因子,寒冷凝集素,凝固検査,直接クームス試験がある。

中等度の正球性正色素性貧血,顕著な連銭形成,および高度の赤沈亢進が典型的にみられる。白血球減少,相対的なリンパ球増加および血小板減少が時々生じる。クリオグロブリン,リウマチ因子または寒冷凝集素がみられることもある;寒冷凝集素が存在する場合,直接クームス試験は通常陽性となる。様々な凝固系および血小板機能の異常が生じることもある。クリオグロブリン血症または著しい過粘稠がみられる場合には,ルーチンの血液検査が疑わしい結果となることもある。2分の1の患者において,正常な免疫グロブリンが減少する。

濃縮尿の免疫固定電気泳動により,しばしば単クローン性L鎖(通常はκ)が示されるが,著しいベンス-ジョーンズ蛋白尿症はまれである。骨髄検査は,形質細胞,リンパ球,形質細胞様リンパ球,および肥満細胞の様々な増加を示す。PAS染色陽性物質が,リンパ系細胞中にみられることもある。リンパ節生検は,骨髄検査が正常であれば実施され,しばしばびまん性高分化型のリンパ腫または形質細胞様リンパ球性リンパ腫として分析される。血清の粘稠度は,過粘稠が疑われる場合に確認のために測定され通常4.0を超えている(正常は1.4〜1.8)。

予後と治療

経過は様々であり,生存期間中央値は7〜10年である。60歳を超える場合の貧血およびクリオグロブリン血症では,生存期間はより短くなると予測される。

しばしば患者は,何年もの間治療を必要としない。過粘稠がみられる場合は,神経学的異常とともに出血を迅速に改善するプラスマフェレーシスを初期治療として行う。プラスマフェレーシスは反復して行う必要がある。

アルキル化剤の経口投与による長期治療が緩和療法として適応となるものの,骨髄毒性が生じることがある。ヌクレオシド類似物質(フルダラビンおよび2-クロロデオキシアデノシン)は,新たに診断された患者の大多数に反応をもたらす。リツキサンは,正常造血を抑制せずに全身腫瘍組織量を低下させることができる。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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