|
治療的ヘマフェレーシスにはプラスマフェレーシスとサイタフェレーシスがあり,一般に健康な供血者は耐えられる。しかしながら,軽度のリスクが多数,また重大なリスクが少数存在する。ヘマフェレーシスの実施に必要な大きな静脈カテーテルの挿入は,合併症を引き起こす可能性がある(例,出血,感染症,気胸)。クエン酸抗凝固薬は,血清イオン化カルシウムの減少を引き起こすことがある。血漿を非コロイド溶液(例,生理食塩水)で置き換えると,体液が血管内腔から移動する。コロイド性の代替液がIgGと凝固因子に替わることはない。
ほとんどの合併症は患者と処置の操作とに厳密に注意を払うことによって対処できるが,重度の反応が起こったり,少数の死亡例も発生している。
プラスマフェレーシス:
治療的プラスマフェレーシスは血液から血漿成分を除去する。血球分離装置は,患者の血漿を抜き取るとともに,血漿中の赤血球と血小板または血漿代替液を患者に戻す装置である;この用途には,5%アルブミンの方が反応が少なく感染を広げないことから新鮮凍結血漿より好まれる(血栓性血小板減少性紫斑病患者を除く)。治療的プラスマフェレーシスは透析に似ているが,プラスマフェレーシスではさらに蛋白結合性有害物質を除去できる。1回の交換量でそのような成分の約66%を取り除く。
効果を考えると,プラスマフェレーシスは血漿に既知の病原物質が含まれている疾患に用いられるべきであり,プラスマフェレーシスでは身体がその物質を産生するよりも速く取り除かなければならない。例えば,急速に進行する自己免疫疾患において,有害な血漿成分(例,クリオグロブリン,抗糸球体基底膜抗体)を迅速に取り除くためにプラスマフェレーシスを用い,一方で免疫抑制薬または細胞障害性薬物によりその後の産生を抑制する。
適応症は多数ある(
輸血医学: American Society for Apheresisによる 治療的マフェレーシスの適応表 3: 参照)。プラスマフェレーシスの頻度,除去される容量,代替液,および他の項目については患者ごとに個別化される。低比重リポ蛋白コレステロールは,最近実施されているフィルターに通す方法で,プラスマフェレーシスにより除去できる。プラスマフェレーシスの合併症は,治療的サイタフェレーシスの合併症と類似している。
サイタフェレーシス:
治療的サイタフェレーシスは血液から血球成分を除去し,血漿を戻す。これは,下記の状態を呈する鎌赤血球貧血の患者において,欠陥のある赤血球を除去し,正常なもので置き換えるために最もしばしば施行される:急性胸部症候群,脳卒中,妊娠中,または頻回の重症の鎌状赤血球クリーゼ。サイタフェレーシスは,単純輸血により上昇するヘマトクリットのために粘度が高くなる危険なしに,ヘモグロビンSの値を30%未満にする。治療的サイタフェレーシスはまた,出血,血栓症,肺や大脳の白血球が極度に増加する合併症(白血球貯留)の危険がある場合に,急性または慢性白血病における重度の血小板増加や白血球増加を軽減する(細胞減量)ために用いられることがある。血小板は白血球のように速くは置換されないので,サイタフェレーシスは血小板増加症において効果的である。1回か2回の手技の施行で血小板数を安全レベルにまで減らすことができる。白血球除去療法(白血球低減法)は,手技の数回の施行で数キログラムのバフィコートを除去でき,しばしば白血球貯留や脾腫を軽減する。しかし,白血球数自体の減少は軽度であり,一時的でしかない。
サイタフェレーシスは他に,自家または同種骨髄再構築のための末梢血幹細胞の採取(骨髄移植に代わるもの),および癌の免疫調節療法(養子免疫療法)のためのリンパ球の採取にも使われる。
最終改訂月 2006年11月
最終更新月 2005年11月
|