メルクマニュアル18版 日本語版
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下垂体病変

Ian M. Chapman, MBBS, PhD

視床下部-下垂体病変を有する患者では一般に,腫瘤病変の症状や徴候(例,頭痛,視野欠損特に両耳側半盲または片側視野偏位[像が離れていく],食欲変化,口渇),画像上で偶然に発見される腫瘤病変の証拠,1種ないし数種の下垂体ホルモンの分泌過剰または分泌低下などが組み合わさって認められる。

下垂体の分泌低下または分泌過剰の最も一般的な原因は下垂体もしくは視床下部の腫瘍である。下垂体腫瘍には鞍(トルコ鞍)を拡大させる傾向がある。また,内分泌異常や視覚障害がなければ,トルコ鞍拡大はエンプティセラ症候群を表すこともある。

エンプティセラ症候群: 本障害では,CTでもMRIでも下垂体が認識できない。エンプティセラ症候群には,先天性のもの,原発性のもの,損傷に続発するもの(分娩後の虚血,外科手術,頭部外傷,放射線療法など)がある。典型的な患者は,女性で(>80%)肥満があって(約75%)血圧が高く(30%),特発性頭蓋内圧亢進(10%)または髄液鼻漏(10%)を呈することもある。エンプティセラ症候群患者の下垂体機能は正常なことが多い(下垂体組織はしばしば鞍壁に押しつけられて平たく延びている)。しかし,下垂体機能低下症,ならびに頭痛および視野欠損が生じることもある。ときに患者に成長ホルモン(GH),プロラクチン,またはACTHを分泌する小さい下垂体腫瘍が共存する。診断はCTまたはMRIで確定される。エンプティセラ単独であれば特定の治療は不要である。

前葉病変: 下垂体前葉ホルモンの分泌過剰(下垂体機能亢進)はほぼ常に選択的である。過剰に分泌されることの多い下垂体前葉ホルモンには,GH(先端巨大症や巨人症におけるように),プロラクチン(乳汁漏出症におけるように),およびACTH(下垂体型のクッシング症候群におけるように)がある。下垂体前葉ホルモンの分泌低下(下垂体機能低下症)には,通常は下垂体腫瘍性もしくは特発性の全汎的なもの,または1種ないし数種の下垂体ホルモンの選択的欠損が関与するものがある。

後葉病変: 下垂体後葉ホルモンはオキシトシンとADHの2種である。女性では,オキシトシンは乳腺筋上皮細胞および子宮筋細胞の収縮を引き起こす。オキシトシンは男性にも存在するが,立証された機能はもたない。ADHの欠乏は中枢性尿崩症をもたらす(下垂体障害: 中枢性尿崩症を参照 )。ADHの分泌過剰はADH不適合分泌症候群をもたらす(水分と電解質代謝: 循環血液量が正常な低ナトリウム血症を参照 )。

最終改訂月 2007年2月

最終更新月 2005年11月

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