メルクマニュアル18版 日本語版
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副腎性男性化症(副腎性器症候群)

副腎性男性化症は,過剰な副腎アンドロゲンが男性化を引き起こす症候群である。診断は臨床的に行い,デキサメタゾンの抑制を伴う,または伴わないアンドロゲン濃度の上昇によって確定される;基礎にある原因を明らかにするために副腎の画像検査を実施し,腫瘤病変が認められる場合は針生検を行う。治療は原因によって異なる。

副腎性男性化症はアンドロゲン分泌性の副腎腫瘍,または副腎過形成によって引き起こされる。ときに腫瘍がアンドロゲンとコルチゾルの両方を過剰に分泌してクッシング症候群がもたらされ(副腎障害: クッシング症候群を参照 ),ACTH分泌抑制および対側副腎の萎縮が伴う。副腎過形成は通常先天性であり,遅発性男性化副腎過形成は先天性副腎過形成の亜型である。いずれもコルチゾル前駆体の水酸化の欠陥を原因とし,コルチゾル前駆体が蓄積してアンドロゲン産生経路に流入する。遅発性男性化副腎過形成では欠陥は部分的なので,臨床疾患は成人期まで発症しないこともある。

症状と徴候

影響は患者の性別と発症年齢によって異なり,男性よりも女性で顕著である。症状および徴候には,多毛(軽症例ではときに唯一の徴候となる),禿頭症,座瘡,および声の低音化が含まれる。性欲が亢進する場合もある。思春期前の小児では成長が加速することがある。治療を行わなければ,早期骨端閉鎖および低身長が生じる。思春期前の男児が罹患すると,性的成熟を早期に経験する可能性がある。女性では無月経,子宮萎縮,陰核肥大,乳房縮小,および筋肉増大が生じうる。成人男性では,過剰な副腎アンドロゲンは性腺機能を抑制して不妊を引き起こす恐れがある。精巣の異所性副腎組織が増大して腫瘍様になることがある。

診断

副腎性男性化症は臨床的に疑われるが,月経過少や血漿テストステロン上昇を伴う軽度の多毛および男性化は多嚢胞性卵巣(スタイン-レーベンタール)症候群でも生じることがある(月経異常: 多嚢胞性卵巣症候群を参照 )。副腎性男性化症は,副腎アンドロゲン高値を立証することによって確定される。副腎過形成では尿中デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)およびその硫酸塩(DHEAS)は上昇し,プレグナントリオール排泄はしばしば増加し,尿中遊離コルチゾルは減少する。血漿DHEA,DHEAS,17-ヒドロキシプロゲステロン,テストステロン,およびアンドロステンジオンは上昇していることがある。コシントロピン0.25mgを筋注投与した30分後に17-ヒドロキシプロゲステロン濃度が30nmol/Lを上回った場合は,最も一般的な副腎過形成が強く示唆される。

デキサメタゾン0.5mgを6時間毎に48時間経口投与して過剰なアンドロゲン産生が抑制された場合は,男性化腫瘍は除外される。過剰なアンドロゲン分泌が抑制されない場合は,副腎のCTまたはMRIおよび卵巣の超音波検査を実施して腫瘍を検索する。

治療

推奨する副腎過形成治療はデキサメタゾン0.5〜1mg,就寝時に経口投与であるが,この程度の低用量でもクッシング症候群の徴候が生じる場合がある。コルチゾル(25mg,1日1回)またはプレドニゾン(5〜10mg,1日1回)で代用してもよい。男性化の症状および徴候の大半は消失するが,多毛および脱毛は緩徐に消失し,声は低いままとなり,生殖能力が障害される場合もある。

腫瘍には副腎摘出が必要である。コルチゾル分泌腫瘍を有する患者では,非腫瘍部副腎皮質が萎縮して抑制されているので,ヒドロコルチゾンを術前後に投与する。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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