メルクマニュアル18版 日本語版
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アデノウイルス感染症

数多くあるアデノウイルスの1つに感染すると,無症候性であるか,または軽度の呼吸器感染症,角結膜炎,胃腸炎,および原発性肺炎などの特異的な症候群を来すことがある。診断は臨床的である。治療は支持的である。

アデノウイルスは3つの主要なカプシド抗原(ヘキソン,ペントン,およびファイバー)に従って分類されたDNAウイルスである。アデノウイルスへの感染は一般的に,感染者の分泌物(指による伝染を含む)または汚染物(例,タオル,器具)への接触により起こる。感染は空気または水(例,水泳による感染)によって運ばれうる。呼吸器または胃腸からのウイルス排出は,感染が無症候性であっても数カ月間続くことがある。

症状,徴候,診断

免疫能が正常な宿主においては,ほとんどのアデノウイルス感染症は無症候性である;症状を示すときは,広範囲の臨床症状が起こりうる。最もよくみられる症候群は,特に小児においては39°Cを超えて5日以上続く傾向にある発熱である。咽頭痛,咳,鼻汁,またはこの他の呼吸器症状を来すことがある。個別に起こる症候群としては,結膜炎,咽頭炎,および発熱(咽頭結膜熱)がある。乳児におけるまれなアデノウイルス症候群には,重度の細気管支炎(新生児,乳児,幼児における呼吸器疾患: 細気管支炎を参照 )および肺炎が含まれる。若年成人の閉鎖集団(例,軍の新兵)において,呼吸器疾患の流行が起こりうる;症状には発熱および下気道などの症状があり,通常は気管気管支炎を呈するがときに肺炎を来す。流行性角結膜炎(結膜と強膜の疾患: ウイルス性結膜炎を参照 )はときに重度になり,散発的におよび流行時に発生する。結膜炎は両側性であることが多い。耳前リンパ節腫脹が起こりうる。結膜浮腫,疼痛,およびフルオレセイン染色によって確認できる点状角膜病変などが存在しうる。全身性の症状および徴候は軽度であるか,または全くない。流行性角結膜炎は通常,3〜4週間以内におさまるが,角膜病変はそれ以上続くことがある。非呼吸器性のアデノウイルス症候群には,出血性膀胱炎,乳児における下痢,および髄膜脳炎がある。

アデノウイルス感染症の臨床検査診断が,管理に影響を及ぼすことはほどんどない。急性期の間,ウイルスは呼吸器および眼の分泌物,ならびにしばしば糞便および尿から分離できる。血清抗体価における4倍の上昇は最近のアデノウイルス感染を示す。

予後,治療,予防

ほとんどの患者は完治する。主に乳児,軍隊の新兵,および免疫不全状態の患者でまれに起こる劇症型を除いて,重度の原発性アデノウイルス性肺炎でさえ致死的ではない。

治療は対症的であり,支持的である。

伝播を最小限に抑えるために,医療従事者は感染患者の診察後に手袋を替えて手を洗い,適切な滅菌処置を実践し,同じ眼科器具を複数の患者に使わないようにするべきである。

アデノウイルス4型および7型の生ワクチンは,腸溶性カプセルで経口投与され,軍隊において下気道疾患を以前に減少させている;しかしながら,このワクチンはもはや入手できない。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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